表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白と黒の館へ  作者: 主道 学


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

8/15

1-6

 雲助が僕の寝巻きの腰の財布辺りを見て尋ねる。

「僕の世界のお金さ」

 ハリーは少し考えて、

「俺のショーは有料だから……。仕方ない30クレジットやるよ。それがこの館のお金さ。そのお金を無駄遣いせずに必ず俺のショーを見に来てくれ。ところで、このおチビちゃんはどこから来たのかな?」

「解りました。必ず見に来ます。どんなショーなのか今からとても楽しみです」

 ハリーは満面の笑顔で、

「この館には楽しみがないんだ。俺はそんなんじゃつまらないといつも思っている。そこで、このショーを思いついたんだ。このショーをやったら絶対楽しい……。この館の他にはない楽しみになってくれるさ」

 僕は目をキラキラさせた。ふと、

「いつ頃始めるんですか?」

「だいたい三日後さ。楽しいことは早い方がいい」

 そういえば、この館には時間があるのだろうか。


 去り際に、

 ハリーが明るい口調で、目を四方八方に向けて、

「一生心に残るショーさ」


「雲助。お腹が空いてきたよ」

 僕はハリーのところから、数時間。階段の上り下りと散々歩きまわったせいでお腹が空いてきた。


「じゃあ。適当なドアの中の住人から食べ物を貰えばいいのさ」

 雲助はお腹が空いているのかいないのか解らない口ぶりだ。

「うん。解った。おいしいきゅうりもあればいいよね」

 僕は意気揚揚と隅っこにポツンとある灰色のドアを開けた。

「あら、いらっしゃい」

 そこはピンクのエプロン姿の陰気なおばさんと、黒のズボンに白のセーターのしかめっ面のおじさんの部屋だった。

「何にする。何にする」

 陰気なおばさんは怖い顔で、挑むように何度も僕に身を乗り出して尋ねた。しかめっ面のおじさんは、

「適当に作れ!」

 そう一言、陰気なおばさんに言い放った。


 僕はそれまでの意気揚揚な気分が、急に萎れて落ち込む気分になりだした。俯いて陰気なおばさんの進めたテーブルに座り、しかめっ面のおじさんの真っ正面になる。

「坊や。何か食べにきたのか」

 ぶっきらぼうにそう言い放つと、

「さっさと、作れよ! 鬱陶しいんだよこの子!」

「そうね」

 僕は落ち込む気持ちが心の底まできていた。まるで海に沈んだ古い船のよう。気分はどんよりとして、この場でどうしていいのか解らない。


「さっさと食え!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ