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白と黒の館へ  作者: 主道 学


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4/22

1-2

 後ろを見ながら蜘蛛に早口で叫んだ。

「知らん! 中の中には入っちゃなんね!」

「どうなっているんだよ?! 蜘蛛!」

 僕は堪らなくなって走りながら叫ぶ。

 絵の具の匂いがプーンと強くなった。

 通路はいくら走っても通路のままだ。絵の具は疲れないようで僕を追ってきている。

「あ、そこ! 穴がある!」

 蜘蛛が叫ぶ。 


 走りながら見てみると、少し先に小さい穴が壁に出来ていた。

 僕はその壁の穴に頭から突っ込んだ。

 死にもの狂いで穴をモグラの様に這っていく。這いつくばる姿は誰でも笑える姿だった。

 ……この僕が死を怖がっているかって……冗談じゃないよ。

 絵の具はこの中まで入れないようだった。


 しばらく、壁に出来た穴を這っていくと出口が現れた。真っ暗な穴から光が差し込んでいる。僕はそこまで這っていくと、また別の通路へと出た。

 その通路はドアがいくつかあり、また、安全だった。

「おい、蜘蛛。お腹が空いてきたよ」

 僕は朝から何も食べていなかった。おじいちゃんの死を知らされてから、今まで走りっぱなしだった。

「そのドアを開けてみな」

 蜘蛛の言う通りに赤いドアを軽くノックして開けると、

「いらっしゃい。おチビちャん」


 中には、包丁片手に黄色のエプロン姿の筋肉隆々の中年男性がいた。髪は少し茶色を覗かせている。白い色のズボンとシャツを着ている。精悍な顔つきはボクシングでもしているのだろう。

「こんにちは」

「おチビちゃん。お腹は空いてないかい。よかったら食べていきなよ」

 気軽な口調の中年男性は僕に御馳走してくれるみたいだ。僕は今日一日での初めての食事を切望した。


 その部屋は正面から全て見える。いとこのおにいちゃんのいる1Kのようだった。こじんまりとしていて、手前が大きな鍋があるキッチン。奥の部屋は小さいベットが端っこにポツンとある。独り暮らしのようで、ちょっとだけの生活感。ちょっと留守にするだけで生活感が消えそうな場所だ。


 僕は小さいテーブルに座った。蜘蛛は何を食べるのだろう。

「おい、おじさん。俺にはキュウリを」

 肩に乗った蜘蛛がきゅうりを貰おうとする。

「了解。蜘蛛さんには新鮮なきゅうりをやろう。おチビちゃん待っててくれ、今とびきりの飯をくれてやるから」

 中年男性は意気揚揚とキッチンで包丁を振るい。少しの間で大きな鍋にいろいろな食材を入れるようになる。

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