東の書5 ~入学早々、ライバル出現 その2~
ネガティブ思考とは恐ろしいものだ、一度ネガティブな考えに陥ると最悪な状況ばかり頭に浮かんできて、またネガティブな思考になり…と永遠に負のスパイラルとなってしまう。ここは状況を打破するために、アノ手でいこう。
「でもね愛理ちゃん、前にも言ったけどもし小野くんがその十和田さんって子と付き合う事になっても、それは受け入れなきゃ駄目よ?彼がいつ誰を好きになって誰と付き合うかなんて、極論個人の自由ですからね。」
「それは…分かってます。」
「もうこの際、先手必勝でさっさと告白しちゃうのもアリかもね。どうせ玉砕するなら早い方が、傷の直りも早いわよ?」
アタシは努めて冗談めかして言ってみた。誰にでもできる負のスパイラルを脱却するための必殺技・開き直りである。
「え!ほとんどしゃべったこともないのに無理ですよ、今告白したってドン引きされるだけです。っていうかのり子さん、玉砕前提で話さないでください!!」
「アハハ!冗談よ、冗談。でも恋愛なんて結局は椅子取りゲームみたいなものだからね。愛理ちゃんが本気でその小野くんと交際したいのであれば、愛理ちゃんがまっ先に恋人ポジションの席を取っちゃうしかないの。ただ告白の確率を上げるためにはもっとお互いのことを知ってからがベターよねぇ…って、ん?」
アタシはとあることを思い出した。
「あれ?そういえば愛理ちゃん、クリスマスパーティで小野くんと連絡先を交換したって言ってなかった?」
「はい、SNSのメインアカウントと電話番号などの個人の連絡も。でもほとんどやり取りしてません。なんて送ったらいいか分からないし、変なこと送って嫌われたくないし。」
そうよねぇ、そこが乙女心の難しいところよね。
「せめて同じクラスだったら宿題の確認あたりを口実に気軽に連絡できるけど、違うクラスっていうのがまた厄介よね。教室が違えば当然授業の進みも違うから。」
「あーあ、私ってどうしてこう恋愛下手なんだろう。周りの子なんて早い子はもう中学時代から何人も彼氏いたりするのに。」
思春期にありがちな悩みである。実際は恋愛など大人になってからでもできるため、焦る必要など全然ないんだけどね。
「愛理ちゃんの悩みも分かるけど、アタシはどうかと思うわよ?確かに元カレ・元カノの人数が多いってそれだけモテる証拠でもあるから、聞こえは良いわよ?でもそれって裏を返せば"一つ一つの恋愛が長続きしていない"ってことでしょ?アタシ的には交際人数は少なくても、一途な人の方が安心できると思うけどなぁ。」
「まぁそうですけど…私なんてそもそもゼロだから、そんなこと言っても説得力ないし。それに周りにカップルがチラホラいると、やっぱり自信無くしちゃいますよね。髪の毛とか染めたりしてイメチェンしてみようかな。」
「アタシは別に反対しないわよ、ただ校則に引っかからない程度にね。それともう一つ、愛理ちゃんって中学時代に男子から告白とかされなかったわけ?」
アタシの唐突な質問に、ぽかんとした表情になる彼女。だってこんな可愛い子が同じ学校にいるのよ?男子たちが放っておくわけ無い…とアタシは以前から踏んでいた。
しかし愛理ちゃんは苦笑いしながら、胸の前で右手をぶんぶんと左右に振り、ナイナイと大げさに言う。
「それに一度でも告白された経験があったら、私だってもっと自信ついてますよ。そういう経験が無いからこそ、こんなネガティブ女なんですもん。バレンタインだって1年と2年のときは友チョコで終わっちゃったし、3年のときは受験シーズンだからそんな浮かれたことしていられなかったし。」
アタシは相槌を打ちながら、頭の中で考える。
(ふーん、それってちょっと変よねぇ。もしアタシが同学年の男に産まれていたら玉砕覚悟で告白するか、ラブレターの1つでも書いてみるもんだけど。同級生にもっと可愛い子がいたのかしら?それとも思春期男子って意外と女子に興味ないのかしら?)
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※この話は一部フィクションです。




