東の書4 ~入学早々、ライバル出現~
「えっ!やっぱり…小野くんの話になっちゃいます?」
「そりゃそうでしょ。愛理ちゃんの自称姉貴分として、恋愛事情くらい把握しておかないとね!」
世間ではきっとこれを余計なお世話と呼ぶのかしらね。しかし大好きな彼の名前のはずなのに愛理ちゃんの顔は途端に曇ってしまう。
「それが…強力なライバルが現れたかもしれません。それも小野くんと同じ3組に…十和田絵梨さんっていう女の子なんですけど。」
「えっ!ちょっと待ちなさい、入学早々に恋のライバルが出現ってこと?中々展開が早いわね。どういうことよ、その子のどういうところがライバルだと思うの?そもそもカワイイの?その子に彼氏はいるの?」
アタシは興奮のあまり自分でも気づかぬ内に矢継ぎ早に質問を連発してしまった。愛理ちゃんのポカンとした顔でアタシはハッとし、ごめんなさいねと謝る。
「その十和田さんって子は背が低くて、多分150cm弱くらいかな?顔も小動物みたいで可愛いから男子にモテるみたいなんです。今日話した子が十和田さんと同じ中学だったみたいで、低身長・おっとり可愛い系・誰にでもニコニコと愛想よく対応するので、特に女子に免疫のない男子はすぐに虜になっちゃうんだよと教えてくれました。」
なるほど小動物カワイイ系ね。そういう子って一部の男子のモロ好みってパターンが多いのよね、しかも愛想が良いとは鬼に金棒ね。俗に言う陽キャよりも、真面目系男子が好むイメージね。
「それでそれで?」
「やっぱり私、小野くんのことが気になっちゃって…。用もないのにもしかしたら話しかけてくれないかなって、期待して廊下に出たりしてたんです。彼とは同じ中学出身でしたから。その時見ちゃったんです!私…小野くんが、十和田さんとすっごい仲良さそうに喋ってたんです!」
ありゃ!先手を打たれたのかしら。厳密には相手はこっちの事情なんて知ったこっちゃないから、アタシ達が勝手に焦っているだけなんだけど。
「その十和田さんって子には彼氏いるの?」
「聞いた話だといないって…。どうしようのり子さん、小野くんがもし十和田さんと付き合うってなったら…。」
どうしようって言われても困ったわね、下手なこと言ったら傷つけかねないし。ここはとりあえず情報収集ね。
「そのとき二人はなにを話してたの?」
「わかりません。そもそも距離が離れてたし廊下には他の生徒もたくさんいて、話し声などの雑音でかき消されてしまいますから。ただ2人ともニコニコ笑顔ですっごい仲良さそうでした。」
もはや涙目になっている愛理ちゃん。これはまずい。
「ま…まぁそんな気にすることないわよ、ホラ愛理ちゃんみたくその子も愛想よく挨拶して、小野くんがそれに笑顔で答えただけって可能性もあるでしょ?同じクラスですもの挨拶くらいしてもおかしくないわ。」
「でもあれは挨拶だけって感じじゃなく、明らかに会話していました。それに今日が入学式だったんですよ!?おまけに中学校だって違うはずなのに、初対面の者同士が仲良く笑顔で会話なんて…。」
まずいわ、どんどん悪い方に思考が向いている。なんとか方向転換させなくては。
「確か小野くんって陸上部の選手なのよね?その十和田さんって子も陸上関係で、以前から知り合ってるとかはあるかもね。」
「うーん…でも十和田さん、体育は苦手なタイプだって聞いたからその線はないと思います。」
はぁー…と俯き大きなため息をつく愛理ちゃん。アタシはかけてあげる言葉が見つからず、気まずい沈黙が訪れた。
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※この話は一部フィクションです。




