北の書30 ~思春期最大の悩み 合コンへの憧れ・2~
「ほぅ…。そんなに良いもんかね、合コンは。」
翌日アタシは事務所の所長である八重島さんに、雑談がてら愛理ちゃんの話を聞かせて反応を伺うことにした。
この八重島さんは顔が整っている上に背も高く、元警察官で未だにジム通いということもあって細マッチョで車の運転もこなす。寡黙なところも良く言えばクールだし、頭の回転も悪くない。まぁいわゆる"モテ男"ってところね。事実、本人曰く学生時代からよく女性に告白されたり、何度も友人知人から合コンの数合わせに呼ばれたりしているくらい。合コン・街コン同席の件についてはアタシや雅樹くんが働くようになってからも度々正式な依頼として頼みに来る人がいるほどなの。
しかしこのモテ男、今まで『本気で人を好きになったことがない』らしいの。恋愛感情というものがどういうものか、わからないんですって。アタシや雅樹くんからすれば信じられない話だけど。
「で、八重島さんはどう思う?合コンについて。」
アタシは昨日こなした依頼分のデータ入力をするためにパソコン席を占領、今は八重島さんがソファーに座っている。いつもと逆の位置取りがなんだか新鮮。
「どう思う、ってまた漠然とした質問だな。」
「だってこの事務所のメンバーで一番合コンや街コンに参加しているの、八重島さんじゃない!愛理ちゃんはオトナの遊びって認識しているみたいだけど。」
「俺は仕事か友達からの頼みでしか行かないし、初対面の人間からグイグイ来られても気が引けてしまうというか。だいたいなんで数合わせの俺に言い寄って来るんだ、とかただの騒がしい食事会だな、くらいにしか思ってないぞ。」
ハァァ~、とアタシはわざとらしく大きなため息をついてやる。全く贅沢な悩みよね、異性から積極的に言い寄られるってだけで貴重な体験なのに。気が引けるですって?
「八重島さんはそういう、みんなでワイワイする場が楽しいとか思わないわけ?」
「俺は少人数が好きだからな。なんというかこう、人数が多いと自分の立ち位置がわからなくなるというか。それぞれが思い思いの話題を話したりするだろう?俺はそういうの、頭が追いつかなくなるんだよ。雅樹の方があぁいう場は得意そうなんだけどな、なんで俺の方にばっかりみんな頼みに来るんだ。」
ルックスが良いからよ!と叫びたくなるのをこらえるアタシ。人間の考え方や感じ方ってホント十人十色って感じよね。アタシや雅樹くんなんか合コンのお誘いがあったら喜んで行くのに。
ま、一応愛理ちゃんにメッセージしておいてあげましょうか。
「愛理ちゃん、ウチのイケメン所長は『合コンなんて面倒くさいだけだ』って言ってるわよ。」
ちょうど休み時間なのか、30秒ほどで返信が返ってきた。
『えー!私なんて1回行ってみたいくらいなのに、なんだか贅沢な悩みですね!イケメンさんは遊び慣れて、もう合コンなんて飽きてるってことでしょうか?』
んーまぁある意味、八重島さんは合コン系の依頼に飽き飽きしてるから、あながち間違っていないわね。
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※この話は一部フィクションです。




