北の書29 ~思春期最大の悩み 合コンへの憧れ・1~
アタシと愛理ちゃんはテイクアウトの飲み物とクッキーを受け取って精算し、カフェを出た。もう外は真っ暗で、肌に触れる空気はとても冷たい。ホットドリンクの暖かさが身にしみるわ。
「でも私、合コンってものにも憧れてるんですよね~。大学生やオトナの男女がやる遊びって感じがして、将来1回くらい経験してみたいんです。のり子さんは合コン行くんですよね?さっきチラッと言ってましたし、どんな感じなんですか?」
「そうねぇ。愛理ちゃんはドラマや映画で合コンのシーン、当然見たことあるでしょう?アタシ的にはもうあのイメージそのままね。正確には画面の中じゃなくリアル世界の出来事だから、意識して話しかけに行かないとすぐ脇役に追いやられちゃうけど…まぁこの点は別に合コンに限った話じゃないし。」
アタシは愛理ちゃんを家まで送っていくつもりで今一緒に歩いている。さすがに街頭があるとはいえ、こんな真っ暗な夜道を女子中学生一人に歩かせるわけにいかないからね。寒いからか、アタシ達はいつもより少し早足である。
「よくSNS見てると、合コンで盛り上がってる様子とか動画でまわってきたりするじゃないですか?大人は出会いが無いって言うけど、そんなことないですよね?」
「うーん、それがあながち間違っていないのよね。学生時代って、共学の学校なら黙ってても異性が絶対周りにいるでしょう?でも大人になるとそうはいかないの、少なくとも自分で積極的に出会いのチャンスを掴みに行けない人は厳しいわね。合コンとかマッチングアプリとか、いろんな手段はあるけれど、結局は本人の行動力次第だと思うし。アタシの方こそ愛理ちゃんがすごく羨ましいわよ?本気で好きになれる相手と同じ学校で同じ時間を過ごしているんだから。しかも合コンやマッチングアプリだって、1回でいい人に会えるとは限らないからね。」
話しながら歩いていると時間を忘れるわね、気づけばもうすぐ愛理ちゃん宅に到着だ。
「大人には大人の悩みがあるってことなんですね、私ももうちょっと成長したら分かるようになりますか?」
「愛理ちゃんはもうお似合いの相手がいるじゃない。わざわざそんなことしないでストレートに幸せ掴み取ってほしいわねアタシは。それにまず受験とクリスマスパーティに集中しなさい?大丈夫、大人になってからのことはいつか大人になったら嫌でも分かる時が来るから。」
「はい!じゃあ私はこれで。ごちそうさまでした!また連絡してもいいですか?」
「もちろんよ、じゃあね。」
お気をつけて!と言いながら玄関先で手を振る愛理ちゃんと別れ、アタシも帰路に着いた。
…寒ッ。愛理ちゃんとのお話に夢中になってあまり寒さへ意識が行かなかったけれど、一人になった途端余計に寒く感じる。タクシー使おうかしら。
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