北の書20 ~思春期最大の悩み 雅樹の青春~
って雅樹くんの街コンの話はどうでもいいわ。いつものことながらすぐ話が脱線してしまうのがアタシの悪いクセよね。
「そうそう、それでね。雅樹くんって大卒でしょう?高校や大学を受験するとき、好きな子と一緒の学校がいいな~なんて思ったりした?」
本題を投げかけると、ピタリとキーボードを打つ指を止め俯いてしまった。そのまま腕を組んで黙り込んでしまうと、しばらくしてから姿勢はそのままに口を開いた。
「まぁ…もう10年以上も前の話だからいいか。オレ中学の時、志望校の高校をまさに当時好きだった子と同じところに設定しましたよ。公立・私立と両方ね。」
「なんだかそれだけ聞くとストーカーみたいで怖いわね。」
アタシの方へ向き直すと、まぁまぁ聞いてくださいよと言いながら続ける。ここは黙って聞いたほうが良さそうね。
「あるあるじゃないですか?誰だって友達や気になる人と一緒の学校へ行きたいでしょ、思春期ならなおさらね。オレ当時、小学校から同じ学区だった子のことをずーっと好きだったんですよね。小学5年生くらいまでは男女で入り混じって遊んでたんですけど、小学6年生くらいから思春期に入りだすじゃないですか?そこからはなんとなく女子と遊んでるのが恥ずかしくなっちゃって、男女で友達グループがハッキリ分かれたりしましたね。小学生の間はずっと同じクラスだったのに。」
アタシにもあるなぁ、思春期の時期って意識しちゃうともうダメなのよね。それまで一緒に遊んでいたはずなのに、急にクラスの子たちに冷やかされたりして離れちゃう。アタシの様子を見ながら雅樹くんは話を続ける。
「今にして思えば当時からその子のこと好きだったんですよねきっと。小学校の頃ってクリスマスパーティやったりするでしょ?オレその子にだけ用意した中で一番高いやつあげたり席替えも隣を狙ったりして、露骨にアピールしてましたから。相手の子もいつも楽しそうに笑ってくれていたから、嫌われてはいなかったと思います。占いをチェックするようになったのも小学校高学年の頃だったし。」
コーヒーだけではちょっと味気なくなってきたから、アタシは愛理ちゃんに出したモナカの残りを持ってきて雅樹くんにも半分渡し、そのままソファーに戻った。彼はさっそくむしゃむしゃと食べ、飲み込んでから話を再開する。
「ただ男女交際の関係になることはなく、しかも中学校では一回も同じクラスにはなりませんでした。それでもその子の噂には常に耳を傾けていたんです。背が低くて小動物的なかわいさのある子でしたから、学年を問わず男子からの告白を年に数回受けていたみたいです。それを聞く度にオレはハラハラして、そして断ったということを聞いてホッとして…を3年間繰り返しました。」
良いわよ、話も佳境ね!アタシは邪魔しないよう相槌を打つだけにして黙って聞き役に徹した。
「それでその子には心に決めた本命がいるんじゃないかと、当然のように噂が流れました。なにせ男子からのアピールを全部断ってましたからね。それを聞いたオレはもしかしたらその本命って自分なんじゃないかっていう期待半分、違う人だったら玉砕する恐怖が半分って気持ちでした。むしろ恐怖の方が勝ってたかもしれません、だから告白できないままに高校受験のシーズンを迎えました。」
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※この話は一部フィクションです。




