北の書18 ~思春期最大の悩み 恋すると占いが気になる~
「でも好きな人ができると恋愛占いしたくなる気持ち、分かるなぁ。」
雅樹くんがデータ登録の続きをしながらアタシに聞こえるような声量で言う。独り言っぽいがわざとアタシに聞かせているあたり、これは会話したいサインである。アタシは露骨に怪訝な表情を出しながら雅樹くんを見てやる。
「あ、怖いなー睨んじゃって。オレ何か変なこと言いました?」
「いいえ。さっきはアタシの占いを手品呼ばわりしておいて、随分とムシの良いことを言い出したなと思っただけ。」
そ、そんなんじゃないですよ!と余計に声が大きくなる雅樹くん。分かりやすい男ね。そんな雅樹くんはパソコン前で足を組み、両腕を頭の後ろに回した姿勢で続ける。
「ただオレもガキだった頃を思い出したんですよ。ほらよく朝のニュース番組なんかでやるでしょ?数分だけ放送されるプチ占いコーナー。オレそういうの興味なかったんですけど、高校のとき同じクラスの子を好きになっちゃって。その頃は今まで見ようともしなかった占いコーナーや雑誌の占い企画を片っ端からチェックするようになってたなぁ。おかげさまで友達や妹に速攻で恋したのがバレて随分話のネタにされましたけどね、当時は必死に隠してたつもりだったのに。」
アタシは2杯めのコーヒーを雅樹くんのカップに追加。雑談してはいるけど、一応彼は仕事中。これくらいはサービスしてあげてもいいわよね。コーヒーポットを持ったままソファに着席し、自分のカップにも注ぐ。
「でもある意味、人間として当たり前の行動だと思うわ。誰だって好きな人から嫌われたくないじゃない?占いはそんな人達に"こうしたら良いよ"ってそっとアドバイスをくれるの。そういうちょっとだけ背中を押してあげる感じがしてアタシは占いが好きなのよね。それにアタシは例の関野先生の件でしばらく恋愛恐怖症だったから、自分が恋をするっていうよりもっぱら友達の相談を受ける側だったわ。」
「へぇーなんだか意外ですね。のり子さんと言えば恋バナ!くらいなイメージですけどオレ。じゃあもしかして当時から例のトランプ占いを?」
話に夢中になっているのか手が動いていない雅樹くん。まぁ他に依頼がないならごゆっくりどうぞって感じだけど。
「えぇそうよ。いろんな占いのサイトや本を見ているうちに、気づけばアタシはタロットカードを始め様々な占いの知識を得ていたの。それで学校にトランプを持ってきている男子がいたからそれを借りて遊び半分に始めたの。しかも不思議なことにアタシの占い当たるって評判だったのよ、アタシは自分を占うことがないから実感できないんだけどね?」
そこまで言うとバッといきなりアタシの方に顔を向けた雅樹くん。彼の目はなにやらキラキラしている、何か企んでるわね。
「のり子さんの占いがよく当たるかどうか、簡単に確かめる方法があるじゃないですか。のり子さんが自分で自分を占えばいいんですよ!」
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※この話は一部フィクションです。




