北の書17 ~思春期最大の悩み 正反対な男女~
翌日、アタシと雅樹くんは早速自分たちがこなした依頼分の後処理にかかる。まぁアタシのお散歩代行はもう定期の依頼だから、パソコンで日付や金額などを入力して終了。雅樹くんの方は新規の依頼人だったみたいね、ご新規さんだと依頼書の保管や依頼人のデータ登録などやることがけっこうあるのよね。八重島さんはお得意様であるマダムのところへ朝から行ったみたい。
自分の分をさっさと入力し終えたアタシは雅樹くんにパソコンを交代し、コーヒーを淹れにキッチンへ。ついでに雅樹くんの分も淹れてあげてソファー席に2人分を置くと、彼も一段落したのかソファー席へ来た。
「オレに何か聞きたいことでもあるんですか?」
そう言いながらアタシが淹れたコーヒーを飲む雅樹くん。11月にもなると朝晩は冷えるから、温かいコーヒーが美味しく感じるわね。アタシもコーヒーを飲みながら、愛理ちゃんが好きな人に中々話しかけにいけないことを伝える。
「あー女子に多いですよね、積極的にアピールできないって人。オレの妹も本当に好きな相手には緊張しちゃって雑談すら無理って言ってましたから。」
「やっぱり?それにあんまり積極的に話しかけてガツガツしてるとか、はしたないとか思われたくないじゃない?」
「なるほど、そういう風に考えるんですね。男は…というかオレ個人の意見ですけど、女子から積極的に話しかけてくれたら嬉しいけどなぁ~。」
パソコン作業が疲れたのか、うーんと背伸びをしながら答える雅樹くん。アタシもソファに体を預けながら話を聞く。
「それに男は逆のパターンが多いと思います。つまり"気になる子とはいっぱい話したいし、気になる子の前では目立ちたい"って思考です。のり子さんの学生時代も同じクラスに一人はいませんでした?かわいい女子の前で大声出したりおちゃらけて目立とうとするやつ。」
「確かにいつの時代もクラスにも一人はいるわよね、そういうお調子者な男子。アタシはやかましいなとしか思わなかったけど、あれって女子へのアピールだったのね。」
「全員がそうではないと思いますけど、異性からの注目を浴びたいっていう心理が多少あることに間違いはないでしょうね。」
「『好きな子に話しかけたい男・好きな子には話しかけられない女』ってタイトルで本でも出版しようかしらアタシ?」
「なんだか聞いたことがあるようなタイトルですね。そうだ!のり子さんオレの恋愛運を占ってくださいよ、今週末また大学時代の友達から誘われて街コンへ参加するんです。昨日みたいにカードを事前に抜けないよう、オレが持ってきましたから。」
そう言いながら山札をアタシに寄越す雅樹くん。
愛理ちゃんにやったときとほぼ同じ手順で進め、念を込める動作は省いて雅樹くんに一番上のトランプをめくらせる。
彼の引いたカードはスペードの7…ハッキリ言ってよろしくないわね。
「えっダメなんですか?7って縁起のいい数字だと思ったのに。」
「数字というより、スペードのマークがあまりよろしくないわ。古来より用いられる占いの一種タロットカードの訳を借りるとね、アルカナでのスペードは凶札とされていて悪い意味を指すのよ。だからスペードの7だと…そうね。『追い求めるほど失う』という感じかしら。」
腕を組み、頭をかしげながらそれってどういう意味ですかと聞いてくる雅樹くん。
「7はラッキー7と言われるように、みんなが追い求め欲しがる数字でしょう?でも雅樹くんはそれを凶札で引き当てた。分かりやすく言うなら、恋愛面においてはガツガツするほど相手に嫌われるってところね。まぁあくまでアタシなりの解釈なんだけど。」
「ふーん…。でも今回はイカサマなしでしたからね、当たるかどうかは街コンで確かめるとしますか。」
(今回の占い結果は悪い意味を暗示しているから、外れた方が良いんだけどね。)
アタシは内心そう思ったが黙っておいた。
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※この話は一部フィクションです。




