北の書15 ~思春期最大の悩み のり子式の恋占いについて~
※とあるネタバレがあります、嫌な人は後半を読み飛ばしてください。
同日 18:45 事務所
「…ということで、今日の昼間は愛理ちゃんの相談に乗っていたの。」
仕事先から帰ってきた雅樹くんにアタシはことの説明を行った。この事務所は訪れた人に来所者名簿へ名前を記載してもらうことになっているのだけど、雅樹くんがそこに愛理ちゃんの名前が書いてあることに気づいたから。普段は見もしないくせに、こういうときだけ勘が働くのよね。
「前に依頼に来たイケオジの娘さんですよね?いいなーオレも会ってみたいな。かわいいんですよね?」
「まぁね。天使のような顔で笑うのよあの子、きっと学校でもモテるはず。保育園に通う妹の面倒もちゃんと見てしっかりしているし、そんな子の相談だからアタシもしっかり力になってあげたくてね。」
雅樹くんはアタシが占いに使ったトランプをじっと見ている。なにやら言いたそうね?
「てかのり子さんのその占い、オレが説明する通りやれば誰でも好きなカードを引かせることができますよね?(※後述)」
雅樹くんがトランプを用いてアタシに実演してみせる。まぁ、そういうやり方もあるわね。アタシはそう答えるしかない。
「でも占いって100%信じるんじゃなくて、悩んでいる人や今一つ踏み出しきれない人の背中をそっと押してあげるためにあるんだと思うの。そういう意味ではアタシの占いは決して嘘ではないはずよ。今に見てなさい、きっと愛理ちゃんの恋愛は成就するから。」
「また例の"女の勘"、ですか?」
「かもね、じゃあアタシそろそろ定時だから帰るわよ。八重島さんも今日は戻ってこないし、戸締まりよろしくね~。」
アタシはそういうとバッグを持ってコートを着て事務所を出た。11月にもなればもう空には星が瞬いている。風邪を引かないよう空いている方の手でコートの首元を抑えながら帰宅した。
----- ネタバレ注意 のり子式占い(解説:雅樹) -----
「その占いってマジックの一種ですよね?今回ならハートのエースを、占う側が指定してたと聞いてピンと来ました。まず金運ならダイヤ、恋愛運ならハートなど関係のありそうなものをあらかじめ一枚抜き出しておく。」
「そして、タネも仕掛けもないことをさっと確認させる。確認する時間はせいぜい数秒なので、1枚くらいカードが抜かれていても相手は気付けない。今回の場合、抜いたハートのエースはのり子さんの上着のポケットにでも入っていたのでしょう。」
「そして相手に山札をシャッフルさせている間に、のり子さんは片手の内側にあらかじめ用意したハートのエースを隠し持つ。相手から山札を返してもらったら、『念を込める』などと言って一度持ち上げるフリをして手に隠し持ったハートのエースを一番上に置いてしまうんです。」
「こうすればどんなに山札をシャッフルしようが一番上は必ずのり子さんが仕込んだカード、つまりハートのエースになるというわけです。えっなんで分かったかって?オレよくこの手品を合コンで披露するんですよね、盛り上げるために。」
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※この話は一部フィクションです。




