北の書9 ~思春期最大の悩み 失敗談から学べ~
「そこで聞きたいんですけど、のり子さんの"男を落とすテクニック"が聞きたいです!のり子さんってそういう方面の知識に詳しそうですし。」
そりゃアタシは現役女子中学生の愛理ちゃんよりも人生の先輩だからね、ナメてもらっちゃ困るわ!ただ一つ問題が。
「今アタシ彼氏いないのよね。だから偉そうにアドバイスできる立場じゃないのよ…そうだ!せっかく来てくれたんだし、アタシの恋愛黒歴史でも聞いていく?」
「え、なんですかそれ?聞きたいです!」
身を乗り出してくる愛理ちゃん。
「まず学生時代にやりがちで、やった人も多いであろう"机やノートに好きな人に名前を書く"。これはやめたほうがいいわ。間違いなく黒歴史化するから。」
「あ、私の友達も机の端っこに小さく書いてます。」
「ハッキリ言って学校に置いてあるモノにはプライバシーも何もないわ。机はもちろん、教科書やノートだってちょっと開かれたら何が書いてあるか見られてしまうからね。ここからがメインよ、アタシの黒歴史…。」
愛理ちゃんの表情は見るからにワクワクしている。中学生のこういう純粋な眼差しって結構心に刺さるものがあるわよね…。アタシは気持ちを落ち着けるためにお茶を一口飲み、続けた。
「アタシ、中学の頃は国語の先生に恋していたのよ。もちろん周りには内緒でね。その先生は当時27歳だったわ、ほら思春期の女子ってオトナの男に憧れるところあるでしょ?」
「わかります!」
「関野先生って名前だったんだけど、顔がかっこよくて背も高くてね。もちろん国語の授業だけはサボらなかったし全教科で一番集中して授業を受けたわ。アタシは国語の教科書の一番うしろに、その先生とアタシが結婚したらどっちの名字になるか…みたいな"関野先生との妄想"をメモしまくっていたのよ。今思うとバカよねアタシ。」
「でも気持ちはわかりますよ、教科書とかノートの裏表紙のところって真っ白ですもんね。しかもちょっと固めだからシャーペンやボールペンでも書きやすいし。」
「それであるときにね、別のクラスのお友達が国語の教科書を借りに来たの。アタシは何も考えずに貸したわ。」
「もしかして…。」
「そう、それで友達にバレたのよ。アタシが関野先生大好きっ子だと言うことが。当然のように噂は一瞬で広まったわ。しかもアタシがそこに書いていた、将来先生とはどんなデートをするとか何歳くらいで結婚するなんて妄想ストーリーも全てね。」
「あぁ…。」
愛理ちゃんは両手で顔を覆っている、目も当てられないとはこのことを言うんだわ。アタシは自分の恥ずかしい歴史をさらしながら、どことなく冷静だった。
「しかも最悪だったのは、関野先生すでに婚約相手がいたのよね。それも含めてしばらくの間ずっとクラスメイトにからかわれたわ。元はと言えば教科書にアホな妄想書いてたアタシが悪いから反撃するわけにもいかなかったし。当時は忌々しかった思い出も大人になった今ならこうやって笑い話にできるけど、愛理ちゃんは真似しちゃダメよ?」
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