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男たちの哀歌  作者: 富永真一
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ベストセラーの作り方

この前な、女性誌のインタビューがあったんだ。


きれいなホテルの一室に通されて、ライトが当てられながら俺はインタビューを受けた。時々撮られるカメラのシャッター音が鬱陶しい。

女のインタビュワーが訊く。


「どうやったら、こんなに感動するする話を次から次へと書けるんですか?」


何度もされたが、くだらねぇ質問だ。


「企業秘密です」


「教えてくれませんか?読者のみなさんも知りたがっています」


俺のファンだというその美人編集者はしつこい。

「じゃあ、それはインタビューの後で個人的に…」

女はいやらしくわらった。


ことを終えたばかりの俺に美人の編集者は懲りもせず聞いた。


「ねえ、企業秘密教えてよ」


一度寝ただけで、親しげな口をきく女は嫌いだ。本当に嫌いだ。


「泣かなきゃいいんだ」


ぽかんとした顔をした女を置いて俺は部屋を出た。


出版社からの執筆依頼がいくつも舞い込んでいる。急いで歩く通りにそびえりビルには新作を知らせる広告が打ってある。


遊んでる暇はない。

この話も売れる。

街の至る所にポスターが貼られ、電車広告・新聞・雑誌も絶賛の講評を載せる。

ドラマ、映画化の版権争いが繰り広げられる。


ーどうやったらこんなに感動するお話を次から次へと書けるんですか?


簡単な話だ。

孤独、恐怖、痛み、俺が今まで見てきた全てを空高く放り投げる。


喜び、幸福、安堵、今まで教えてもらった全てを空高く放り投げる。


そいつらは、空から落ちてくるんだ・・・・・・

ある時は、滝つぼに落ちる冷水のように、

ある時は、風に舞う桜吹雪のように、

ある時は、降りしきる粉雪のように、

空から降ってくるそいつらに俺は黙って体をさらす。


そうするとよ、目から涙が溢れるかわりに、俺の指からは言葉が溢れてくるんだ。


くだらねぇ。


                   完


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― 新着の感想 ―
[一言] ひねくれ者 主人公にそういう印象を持った。 だが少し、自分を見ているようで苛立った。 母親のことが嫌いで、でも嫌いになり切れなくて、結局いつも母親の存在が頭から離れない。 自分も十分ひねくれ…
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