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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ありふれた魔王と勇者の物語

作者: 月石梅雨

勇者と魔王…ふたつは相反するものであるが、決して仲が悪いという訳では無い。

だが、勇者は善なるもの。魔王は悪なるものと世間は思ってしまっている。

だから、結果このようなことになってしまった。


「勇者!逃げるのじゃ!奴の目的はこのワシじゃ!」

「ざけんな!このゴスロリのじゃ娘め!何でもかんでもひとりで全部抱え込むな!」

「なんだ?この世界の勇者は、魔王と仲良しごっこしてんのか?」


勇者と魔王がいつもの様に談笑していると、突然強大な気配が現れ、魔王城に攻め込んできた。

奴は魔王を目の敵している様子で、魔王に攻撃を仕掛けてきた。

それだけならまだいいが、相手が強すぎた。

勇者と魔王が二人がかりで倒せない相手は魔神以来であった。


「ガハッ…!」

「勇者!こやつ…!地獄の底で後悔するがいい!!」


炎の玉が相手の周りを囲む。普通の相手ならここで死ぬだろう。


「ハッ、そんなもんか?」


しかし、奴は剣を一振りし、全ての魔法をかき消した。


「そんなものは、攻撃のひとつにすぎんわ」


魔王は軽く笑う。

すると、奴の背後をとった勇者がその背中を切り裂く。


「なっ!気配を感じなかっただと!?」

「気配なんかに頼ってるから当たるんだよ!」


そして、ひとつ、ふたつ…。そして、数えきれない程斬る。

そして、魔王がその隙に詠唱を終わらした。

そのコンビネーションは勇者と魔王だからだこそだろう。


「消え失せろ」


そして、凄まじい轟音と共に周囲は弾け飛んだ。


「…ハハッ。ハハハハハハハハハハハ!!!!!」

「何がおかしいのじゃ?お主の負けじゃ、安らかに眠るが良い」


奴はニヤリと笑い、そして、


「この僕が奥の手を残してないと思ってるのか?」

「なんだ!?この魔力は!?」

「不味い!勇者!」


魔王は何重にも障壁を張る。


「あばよ、世界と魔王」


光が辺りを包みそして、世界が震えた。


「魔…王…?」

「なんじゃ、お主…。何故、そんなしけた顔をしてるのじゃ?」

「だって…。俺の…俺なんかの為に…」


魔王の体はほぼ消し飛んでいた。まだ生きているのが奇跡であった。


「馬鹿者。俺なんかの為になんて言うではないわ。何故ワシがお主を助けたか分からなくなるじゃろ…」

「分かってる。分かってるから!だけど!」

「アレじゃろ?ワシがいなくなると寂しいんじゃろ?」

「そうだよ!お前と出会って、毎日が楽しかった。もっと一緒にいたいって思っていた!」


勇者の顔はくしゃくしゃになっていた。


「そんなに泣くのではない。ワシが…我慢出来なくなるじゃろが…」


この時初めて魔王は涙を流した。


「最後にいいかの?」

「あぁ」

「ワシにキスをしてくれぬかの?」

「わかった」


そして、魔王と勇者の唇が重なる。

魔王はその時間を愛おしそうに、勇者は願いを込めて。


「ふふ、ワシは満足じゃ」

「そうですか、姫君」

「あり…がとう…勇者」

「そして、これからもよろしくな」

「ぬ?体が治って…」

「俺の寿命を半分あげたんだよ」

「っーーーー!恥ずかしいぃぃぃぃ!」

「ハハハハハハハハハハハ!!!!!どうだ!今までの仕返しだ!」

「このーーーー馬鹿者があああああああああああぁぁぁ!!!!!」

「ハハハハハハハハハハハ!!!!!」


今まで以上に魔王と勇者の仲は良くなり、後にこの魔王夫婦は世界一のおしどり夫婦として語り継がれるのであった。

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