第三話 再会
その黒猫の社に拝み続き、一週間が経った。
あたいも、ほぼみんなと同じく、しっかり拝んでいた。
最近、やけに明日香とゆらぽんな様子がおかしい。
やっぱりあずきがあんなんなって、すっごい寂しいやろなあ。
きいたらちょっとかわいそうやから、そっとしておこう。
でも―
「明日香、ゆら姉、大丈夫か?何があったん?」
しまった!
代津子が思いがけない一言を言ってしまった。
「う~ん。・・・え?いや、大丈夫だよ。何でもないよ!」
「やっぱ、あずきのこと?」
「う~ん。そうなんやけど、ちょっと言いにくいんやよね・・・」
「なん?何があったん?教えてーな」
「実はな、おっちゃんが見っけたときから思ってたんやけど・・・」
「うん」
「あん猫、あずきちゃうんよ」
「うん・・・ぅん!?」
「それ、ほんとですか!?」
「言ってくれればよかったのに・・・」
「だって・・・みんな本気やったし・・・」
「・・・でも、そうとわかれば、大変なことやない?」
「うん・・・」
「とりあえず、なんかちょっといややけど、掘り起こしてみん?」
「そうすっか・・・」
そうして、あたいらは、土に埋まっていた、黒猫を掘り返した。
あたいらは、ゆっくりとそれを見る。
「う~ん・・・確かに!マルーンじゃない・・・」
「そう・・・だね・・・」
「わかった?あずきじゃ・・・ない・・・のよ・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・ってことは・・・」
そして、みんなで一斉に言った。
『あずきはどこ!?』
そして、急いでとっちゃんに報告した。
「え!?今まで俺たちが拝んできたものは、あずきじゃない!?」
「そうなんよ!あずきがどこ行ったんか、わからんの!」
「あんときは、意識がもうろうとしてたけんなあ、あんま見てへんかった。おまけに、暗かったからのお」
「とっちゃん!言い訳せんといて!」
「だって・・・」
「そんなこと言っとらんで!捜さな!」
「・・・んでも、どこにおるかわからんし・・・」
「せやんなあ・・・」
「・・・」
そう考えこんでいたら、突然、とっちゃんのスマホが「ピロリん!」っと鳴った。
「え!?なんやろ・・・」
そうだ。
この村は、LINEなども一人一人使っているが、受信するのは、ごくまれである。
だから、受信をすると、思わずびっくりしてしまう。
送り主は、とっちゃん、茶太郎の友達の、道雄だった。
道雄は、隣の村に住んでいる。
隣って言っても、車で二時間くらい。
「なんや・・・こんな時に・・・」
そうすると、そこには衝撃の内容があった。
《茶太郎、この前、マルーン色の猫を飼ってたって言っとったやん》
〈うん〉
ちょうど今それを捜してんねん!
《そん猫、気が付いたら、うちの村にいとったんやけど・・・》
〈・・・うん〉
〈・・・えーーーーーーー!!!〉
「え!嘘やろ!」
「みちおっちゃんとこにおるん!?」
《これやよね?》
そうチャットで言い、写真を送ってくれた。
まず反応したのは、明日香だ。
「そう!この子や!この子や!」
《でも、》
〈何?〉
《こん猫、めっちゃ懐いとって・・・》
《ここにいてると、こん猫、落ち着いてるみたいで・・・》
《無理にそっちに行かせない方がいいような気がするんやよね・・・》
「あずき・・・道雄んとこにいたんか・・・」
すると、突然、とっちゃんが、叫んだのだ!
「んんんんんんんんんんんんーーーーーーーーよかったあああああああああああああああああ!!!!!!!」
そしてすぐさま道雄と無料通話をした。
数回プルルル、という音がした後、ガチャ、っと取る音がした。
「みちおう!ほんとにあずきか!ひさしぶりやなあ!」
『え、あ、まあ・・・』
道雄も、いきなりの茶太郎のハイテンションに、驚いているようだ。
「いやあー。黒猫が村で死んでて、それがあずきやと思って、ずっっっっっと拝んどったから!」
『んで、このあずきちゃん、どうするけ?』
「飼ってもろうのはええよええよ!あずきが生きてれば!でも、最後にもう一回会わせてくれんか?村んみんなに!」
『あ、ええよええよ!いつ行く?』
「できれば早めに!」
『じゃあ、明日ん昼12時に行くわ』
「おう!楽しみにしてんで!」
それからはというものの、プロローグにあったような二人の再会と、あずきを村のみんなで愛であって、一日はあっという間に過ぎた。
別の黒猫は、村の社の元あった場所に戻しておいた。
あずきは、この村からは消えた。
けれども、他の村では生きている。
その、他の村で生きている猫も、ちゃんとかわいがろうじゃないか!
この村の、あずきの記憶を、永遠に消さずに・・・




