第二話 失踪
あずきとこの村で過ごして、一年が経った。
あずきは、あたいら学生たちにはもちろん、大人たちにも大人気だった。
かずーのじっちゃんばっちゃんは特に、かわええなー、と溺愛していた。
でも、あれは、朝起きたら、のことだった・・・。
「おはよう、代津子」
「あ!ねえねえおはよ!」
「相変わらず代津子は元気やなあー」
そうしたら、おとっちゃんが、いきなり叫んだ。
「何や!何があったん!?」
代津子がすっとんでいった。
「いないんよ!いないんよ!」
「おとっちゃん、一旦落ち着き!」
「もしかして・・・」
「え、まさか・・・」
そして二人で声が合った。
『あずきがいない!?』
「そうなんよ!あずきが見当たらんくてなあ」
焦りの色がかかりながら、とりあえずみんなで深呼吸をした。
「・・・んで、どうする?」
「どうするも何も、とりあえず声をかけるっきゃないやろ!」
そして、あずきを探すよう、村の人々にも言った。
しかし、あずき村中のどこを捜しても、見つからなかった。
「どこだー!あずきー!」
そう呼び掛けても、返事はない。
捜していると、とうとう村の入り口まで来てしまった。
もう少しで、村から出るところだった。
すると、一匹の黒猫が倒れこんでいた。
「・・・え?あずき・・・?」
その黒猫は、息が絶えていた。
猫を抱えて、村の人々に見せた。
「・・・あずき・・・あずき・・・」
村の人々も泣いていた。
しかし、ただ二人、ゆらぽんと明日香は、全く泣いていなかった。
二人は、時々顔を見合わせながら、その黒猫をじっと見たままだった。
そして、明日香が口を開きかけたのだが…。
「みんな、あずきをどうするっちゃ・・・」
茶太郎の一言によって、さえぎられてしまった。
「ああ、社をつくって、みんなで拝んだがええ。そん方が・・・うっ・・・そん方があずきも嬉しいやろ・・・うっ」
ゆらぽんのじっちゃんは必死だ。
「あずき・・・わしもすぐそっちに行くけんな・・・」
「こら、じいさん・・・何を言っとる・・・」
そんな感じで、大号泣大会になっていた。
それからは、みんなでほこらに社をつくり、毎日毎日拝んでいた。
その黒猫を、あずきだと信じて―




