表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
極東西遊記~古代日本に転生したぽいので建国してみた  作者: 星 武臣
第4章 天下布武(岐阜・滋賀南部編)
85/190

70話 魔法の検討

熊野暦3月上旬


 今回判った事を朱里さんに報告しておこう。魔力は電流・電圧に当たる計算式で事象の具現化に際しての答えが出来そうだと言う事を……


 早速、朱里さんの屋敷に有る応接間に行くと、安部さんと朱里さんがなにやら考え事をしていた。


「ただいま朱里さん、うずめの歌について何か判った?」


「あの歌が呪文詠唱と一緒で言霊の類と同じなのは判ったんやけどな発動条件が判らへんねん。ウチらが同じ歌を歌とうても効果はあらへんのやわぁ」


「うずめ様の回復魔法もそうですが五行系では説明がつかないですし」


「じゃあ、陰陽五行とか言うから、陰陽のどちらかの属性じゃない?」


 陰陽道と言うとお祓いや結界のイメージが強いが、札とか使って魔法を発動してもいるな。うずめの歌は本人を起点とした周囲限定にバフを掛けるから結界術に近いのかな?


「朱里さん、陰陽和合とか急急如律令とかの意味って判りますか?」


「急急如律令は和訳すると、早急に律令の如く正確に行えと言う意味でま、主に結界術を多用する陰陽道に使われとって、術式の高速化を促すのに使われるんや。陰陽和合の方はなぁ……」


 そう言った朱里さんは、顔を真っ赤にして言いよどみ、指で輪を作りもう一方の手で中を突つき始めた。恐らく男女の夜の営みに関する事だよな。男女のどちらが陰陽に当たるのかは判らないが、その行為によって新たな命を生み出す事に何かヒントが有りそうだ。


「つまりセックスの事だと」


「なっ…… 何ゆうとんのや、もう少しオブラートに包みぃや」


 どうやら朱里さんに下ネタ耐性はなさそうだ。

 でもココは耐えて貰わないと話が進まないので強引に話を進める事にしよう。


「朱里さん卑猥な話ではなく学術的な話です。ここは堪えて聞いて下さい」


「ううっ…… 判ったわぁ」


 顔を真っ赤にしてそう答える朱里さんはとても可愛かったので、もう少しからかいたくなってしまうな。耳元で猥談を語りたくなる衝動に駆られたが、今は真面目な話の最中なのでぐっと我慢しよう。


「陰陽和合はアレをすると新しい命が生まれる事に対する比喩表現なのかな?」


「つまり仁はんは、陰陽の属性の融合によって新しい物が生まれると言いたいんやな、そう言えばどこぞの国旗に書かれとる白と黒の勾玉見たいなのが互いに合わさっとる図は、万物の創造を意味しとるんやったな」なぜ韓国と明言しないのか?


 そうすると陰陽は上位属性で下位属性の五行に大きく関わっていると言う事か、熊野姉妹の起こす奇跡や、ゆうなの念動力は上位属性が働いているんだな。天音さんの使う奉納舞は五穀豊穣を願う純粋な思いが具現化したと……


「願いと呪いは根っこの部分では同じだから属性は限定し辛いよね」


「そうやな、仁はん髪の毛一本くれへん、少し試して来るわぁ」

 いやいや呪いの藁人形を俺で試すんじゃない、死んだらどうするつもりだ?


「呪いは抵抗されると呪詛返しの副作用とかあるかもよ」


「人を呪わば、墓穴二つちゅうからなぁ」


 何とか思い留まらせる事に成功したな、魔法の存在する世界で藁人形の実験体とかまっぴらごめんだ。さっきのは俺の失言だったな。ゆうなの超能力つながりでスプーン曲げとかから始めれば良かった。


「まずはスプーン曲げとかから始めよう」


「ウチは木属性が得意やから、木製の匙なら好きに曲げれるで、金属加工なら金属性やな。特殊効果を付けるのも金属性と他の属性の融合やし」


 この後も朱里さん達と話し合い、純粋な願いを叶えるのは陽属性で、呪いとかの負の感情を具現化するのが陰属性じゃないかと言う仮説が立てられた。うずめが陽属性の魔力を込めて攻撃すると無茶苦茶痛いがケガが無いと言う現象が起こる。アレを悪意を持って行ったらどうなるだろうか?


「朱里さん、話は変わるけど北斗の拳って漫画知ってる?」


「秘孔を突くと電流見たいなのが流れて、人が内部から破裂……」

 朱里さんもピンと来たようだな。


 俺は人差し指に魔力を集中し、アキレス腱固めを掛けられた際に使われる秘孔? つまり肩関節の結合部分を突いて魔力を流してみた。ココを攻撃されると手が痺れて力が入らなくなるらしい。


「ちょっ…… ちょっと仁はん何するんや、今なんかゾクっとしたわ。今の話の流れからソレは洒落にならんて」


 さっき俺で呪いの藁人形の実験をしようとした人間の言葉とは思えないな。

 朱里さんには危害を加えるつもりはないと説得し、最近肩が凝ると言っていたので魔力を使い治療出来ないか試して見る事にした。


 朱里さんの肩を揉みながら魔力を流すと、朱里さんの体がビクッと動き俺から逃がれる様に距離を取った。俺から離れた朱里さんの顔は紅潮しどこか息も荒くなっている。たしか天音さんの時もこんな感じだったな。


 あっ、陰陽和合は夜の営みに関する属性でも有るんだった。

 男女で魔力を流すとエロい効果が有ると……

 俺はなろう系主人公にありがちな初回から女性が満足すると言うテクニシャンにいつの間にかなっていたようだ、これはエロの伝道師からエロ神へと昇神する日も近そうだ。


 あれ? 俺は以前天音さんに魔力を流して貰った事が有るが何も感じなかったな、煩悩の塊な俺と違い天音さんにはそう言う欲求はないのかな?


「ゴメン朱里さん、発現する効果について考えていなかった」


「ええよ、いきなりだったから少しビックリしただけや、なんならもう少し続けてみる?」なんとも嗜虐心をそそられる上目使いでこっちを見るんだ。


 だめだ朱里さんのスイッチがそっち方面に入ってしまった。

 朱里さんの申し出はとても魅力的だ。今度は正面から魔力を流して、どんな表情で絶頂に至るのか観察したい衝動に駆られたが、お互いの今後の関係のためにもココは我慢しよう。


「やめておくよ、それより科学的な観点からの意見が聞きたいな」


「ウチはええのに、仁はんはいけずやなぁ」

 すまない、だがこの状況でラブシーンに突入するの気が引ける。


 朱里さんはトイレに行くと中座したので、安部さんに電気の概念を説明して置こう。まずは少し離した両手の人差し指の間で電気系魔法を使い、バチバチと音をたてる電気を見せてから細かくした竹ひごの両端に電気を流すと、竹ひごはオレンジ色の光を発し始めた。


「安部さんこの現象は俺の流す電気に、竹の繊維が抵抗して熱や光として発現しているんだ、魔法に似てるでしょ? 俺たちの居た世界ではこの現象に関しては研究が進んでいて、朱里さんなら細かく説明出来ると思うんだよね」


「ほお、これは面白いですね。もしかして魔力を使わ無くても可能なんでしょうか? だとしたら民草の生活が飛躍的に向上しますね」


「理論上は可能なんだけど蓄電する機材が必要かな? あと大量の銅が必要になるね」


 しばらくすると朱里さんが戻って来たので考察を再開した。

 まず竹ひごの光の強さであるワット数(威力)電流×電圧(消費MP)で計算できる。

 又ワット数÷電流又は電圧で必要な電流又は電圧が計算できる。


 これは魔法にも応用できる、発現する現象((ワット))は個人が一度に使える魔力量((アンペア))に関係し、一度に使える魔力が少なくても魔力を圧縮((ボルト))して使えば同じ現象が起こる。


 

 話し合いの結果、天音さんは一度に使える魔力量(A)が規格外で、

 理論上は数日かけて魔力を圧縮すれば同じ事を起こす事ができる。


 逆に魔力圧縮のスペシャリストはうずめで、普通の人間では発現しない事が驚異的なまでに圧縮された魔力により奇跡として発現すると言う結論に至った。

 

 理論上は儀式魔法の様に複数人で魔力を貯める事も可能だけど、人の思考に違いが有るため抵抗値(Ω(オーム))を考慮しないといけない。


「よくファンタジー小説で見る魔石見たいな物が有ると良いんだけどね」


「仁はん、バクダット電池でも作る?」


「何それ?」


「古代のオーパーツの一つでな、素焼きの壺に電解液で有るワインや酢を入れると蓄電出来るちゅうものやな、正確に言うとアスファルトとか必要やけど無くても出来るはずや」


「車のバッテリーとか希硫酸だけど酢で良いの?」


「使こうとるのが酢酸(さくさん)か硫酸の違いなだけや、純粋な酸の方が電極に不純物が付かない分機能的やけど、硫酸に必要な硝石と硫黄はドコに有るか知っとる?」


「硫黄は火山地帯や温泉で取れそうだけど、硝石は肥溜めの底か……」


 とある漫画で信長様が死体や排泄物から硝石を得て黒色火薬を作っていたが、肥溜めの汲み出しは勘弁してほしい所だな試作品だし酢で良いか。


「取りあえず試作品はそれで行って、アルカリ電池やマンガン電池の研究に移行していこう。日本で取れるならリチュウム電池でも良いしね」


「リチュウムは日本では取れへんけど、海水から取る方法が有るなぁ」


 まあ、貯めるのは電気では無く魔力だしそこまで拘らなくても良いのか?

 でもレアメタルを混入した墨で札とか作ると魔法の発現とか出来そうだけど、魔力を込められれば良いので銅の粉末でもいいのかな? そういえば水晶とかの検証がまだだったな。この辺りで水晶の有名な産地は岐阜県の中津川周辺だな、滋賀県との軋轢とか気になる所だが伊勢に戻って研究した方が良いかな?


「ニギハヤヒ様、電気の有効活用への検討をお願いします」


「だってさ朱里さん、水車とか作って発電でもする?」


「水車自体は粉ひきとかにも利用できるから作ってもええけどな……」


「了解、伊勢神宮はもうじき出来るから、猿田彦を置いて行くから作ろうよ」


「発電に必要な磁石は滋賀県の甲賀市にしか無いんや、出来たとしても天然磁石やと発電量は微々たるもんやけどええの?」


「この町の夜が明るくなるだけでも十分でございます」


 電気を利用せずとも魔法で可能だから、蓄電池の類ができたら魔道具の類も作れるかもしれない。安部さんの願いである、奈良の住民の生活の向上を図るだけでは無く新な交易品の取引にも繋がるな。






この回を読んで主人公もげろと思った読者様はおられるだろうか?

安心してくれ、近いうちに天罰を下す事を約束しよう。


以前、天音さんが仁に魔力を流した時にはあまり異性として意識していませんでしたが、今は意識しているので何かしらの効果が有ると思います。


リチュウムはナトリュウムに溶け込む性質が有り、岩塩の採掘所や塩湖で取れますが日本に岩塩の採掘所は無い。考えてみたら長野に有れば武田信玄は苦労していませんな。あの辺りはプレートの移動で出来上がった地形なので数億年前は海の底でもおかしくは無いのですが塩は取れそうですが取れません。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ