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極東西遊記~古代日本に転生したぽいので建国してみた  作者: 星 武臣
第3章 そうだ 京都に行こう
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62話(2/2) 八咫鴉襲来

カラスは光物を集める習性があります。


 八咫鴉は遠距離からの攻撃を止めて接近戦を挑んで来た。

 俺に取っては渡りに船だがヤツに何が有ったのだろうか?

 深く考えてもしょうがない、千載一隅のチャンスで有るのは間違い無い。


 ヤツの機動力を削ぎ落とし、上手く撤退出来ればいいのだが……


 そう考える間にも八咫鴉は迫って来る、

 先ほどは上手くカウンターで一撃を入れられたが、

 何度も同じ手は通用しないようだ、恐ろしく学習能力高いな。

 何とかヤツの足を止めて打ち合いに持ち込めれば勝機は見出せると思うが、

 飛んで居るのがかなり厄介だな。


 俺は身体能力強化を駆使し、全身のバネを使って竹槍を横薙ぎに振りぬくと

カマイタチが発生し目の前の木々が落ちて行く。


「やはり距離が有ると避けられるな」

 タマと同じで第六感が敏感なのだろう。


 そして一度見せたのは失敗だったな、

 八咫鴉は木々に隠れて斬撃を飛ばしてコッチの隙をうかがって居る。

 俺の身体能力強化にはタイムリミットが有るのも痛い所だ。


 腕だけ部分強化したら持続時間を稼げるかな?

 少し試して見ようか……


 腕だけに魔力を意識して溜めて攻撃を受けると俺は衝撃で後方に吹っ飛ばされてしまった。くそっ、足回りも強化しないとふんばりが利かないのか。


 腕だけの強化だと普段魔法を使う時と同じ要領で強化される事が解ったのは収穫だな。

 足回りを強化して回避することに専念しよう。


 お互いの攻撃は当たらない千日手の様な攻防が続く、

 これは根競べだな先に集中力を切らした方がやられる。


 そして野生動物と人間ではどちらが体力が有るかは聞くまでもないだろう。

 何か打開策を打ち出さないとマズイよな……


 こちらの切り札で使えそうなのはは土槍と土壁のみだな、

 御雷は当たらないと意味が無いので却下だ、

 何か意表を突ける攻撃手段があれば良いが……

 

 搦め手も大切だが、通常攻撃の方も模索して行こう。

 大振りだと避けられるので、なるべく振りを小さくして突く

 ボクシングはやった事がないがジャブの打ち方は漫画で読んだ事が有る。

 タイミングを合わせて踏み込み、肩口から最短距離で突き出した竹槍は次第に当たるようになって来た。


 しかしながら威力が出ないのが玉に傷だ、恐らく八咫鴉も不可視の鎧の様な物を纏って居るな、ゆうなと手合わせしている時の様な違和感が有る。インパクトの瞬間、流動性の有る何かに阻まれ打点をずらされているのが手ごたえで分かる。例えるなら暖簾に打撃を入れて居る様な物だ。


 ボクシング漫画で非力なボクサーはどんな攻撃方法をしていた?

 フィニッシュブローは描かれては居るがジャブに関してはあまり記されていないな。やや内側に抉り込む様に打つべしだったかな。


 お互い攻めあぐねて居ると八咫鴉が突っ込んで来た、俺の攻撃は脅威ではないと言う事か? 舐められた物だな。至近距離から土槍を食らわせてやる!!


 八咫鴉の攻撃を竹槍でいなしながら機を伺う、

 学習能力の高い相手に同じ攻撃は通用しないと考えた方がいいだろう。

 八咫鴉が上空から助走をつけて襲い掛かる。

 今がチャンスだ。


「土槍!!」


 放たれた土槍と正面衝突した八咫鴉は地面を転がるように跳ね、

 奥に有る木に激突した。


「やったか?」


「まだじゃ、気を抜くでない主様よ」

 そこはお約束を守るのか忌々しい、一撃必殺は神話の世界の話なのか?


 八咫鴉は少し目をまわして居たが直ぐに上空に飛び上がった。

 あれが厄介だせっかくダメージを与えても回復する余地を与えてしまう。

 しまったな、粘土状の物を生成して激突と同時に固めれば機動力を奪えたな。

 相性の悪い相手との戦いは詰め将棋だ、一手しくじると勝機が遠のいてしまう。


 八咫鴉は怒り狂ったかのように無数の斬撃を飛ばしてくる。

 マズイこれは避けきれない。


「ぐはっ……」

 身体強化が間に合わず胸部に攻撃を受けてしまった。


 なんとか切り裂かれる事は阻止したが、

 おれは地面に叩きつけられ転げ回る。

 そんな隙を見逃してくれる相手でも無く、

 八咫鴉が急降下して一撃を食らわそうと迫って来た。

 俺は土を投げつけて対処するも、

 不可視の鎧に阻まれ目潰しの効果は無い。


 八咫鴉の渾身の一撃を竹槍で受け、蹴りを放つが効果はいまひとつだ、

 浮いてる相手に打撃は悪手だよな、さてどうする……


「主様よ、ワシが代わってやろうか?」


「手出しは無用だと言ったはずだ」

 タマの炎ならたとえ不可視の鎧が有っても蒸し焼きに出来るだろうな。


 蒸し焼き…… ホイル蒸し…… 乞食鳥……


 よし良い手を思いついたが、どうやってそれをやるかな?

 なんとかヤツの足を止めないといけない。


「タマ竹林に行ってタケノコを取って来てくれ、無かったら地下茎でも良い」


「何か思いついたんじゃな、何に使うか分からんが取ってきてやろう」


 さて、八咫鴉と俺の実力とダメージは似たり寄ったりだろう。

 集中力の要る不可視の鎧を常に纏っているアイツの方が少し不利なのかな?

 体力の基礎が違う野生動物にソレを問うのは愚問か……


 こんな事になるなら他の属性の魔法も習得しとけばよかった、

 あと槍が金属製なら電撃魔法も有効だったかもしれない。

 愚痴を言ってもしょうがない、すべては自分の撒いた種だ。


 先ほどから再生動画でも見ているかのような既視感の有る攻防が続いているが、タマが戻って来た事で流れが変わった。放り投げられた竹の地下茎にはどんぐりサイズのタケノコが存在した。


 後は八咫鴉を上手く釣り出すだけだな……


 俺はワザとらしく疲労で膝を突く仕草を装い地面にタケノコを埋め込む、 

 その姿を見た八咫鴉はこれはチャンスとばかりに急降下して来た。

 来い、度肝を抜いてやる!!


 俺は両手両足に魔力を溜めて機を伺い、八咫鴉が近づいた所で魔力を解き放つ。


「伸びろ、如意棒(タケノコ)!!」


 俺に迫った八咫鴉は急に下から生えてきた竹を棍でなぎ払い一瞬の隙が出来た。

 それを見逃さず、八咫鴉に抱きつき足払いを掛け押し倒した。


「今だ、土壁ぇぇ!!」


 八咫鴉は地面に現れた土壁と同化して身動きが取れなくなっていた。


「よし、動きは封じた帰るぞタマ」


「グググ…… ハナセ……」


「嫌なこった、少しそこで頭を冷やしていろ」


 今回は近くに竹林が有ったのが幸いしたな。

 竹は一日で最大1mも伸びるチート植物だ、朱里さんが大豆を魔法で発芽させた事が有ったので出来ると思ってはいたが、メインウエポンがタケノコと言うのが気に入らなくて保留になっていた技だが、世の中何が役に立つか分からないな。


「すこし間抜けじゃやったが、良い勝ち方じゃったぞ」

 間抜けなのは本人が良く分かって居るから、あまり言わないでくれ。


 日記に西遊記と冠しているから、孫悟空の使う如意棒の案は前から有ったが余りにダサイからお蔵入りしていたんだ、国民的アニメの方の孫悟空の使う必殺業は俺の魔力は大気中に霧散するから出来無かった。見た目だけならゆうなとくくりは放つ事は出来るが、魔力の壁を押し付ける物理攻撃になるため何かで殴った方が早いと言う結論に達している。


「まあ、その言葉は褒め言葉として受け取っておくよ」


 朱里さんの話では京都には鉱物資源が多く有るとの話なので、金属製の武器も考えないとな。今回は色々と課題の残る戦いだったが得る物は有ったと思うので良しとしようか。





乞食鳥は鳥を泥で固めて焚き火で焼く料理です。

多分うずめが相手するとワンサイドゲームになります。

恐らくゆうなも戦い方次第で楽に勝てる相手かもしれません。

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