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極東西遊記~古代日本に転生したぽいので建国してみた  作者: 星 武臣
第3章 そうだ 京都に行こう
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62話(1/2) 八咫鴉襲来

長くなりそうなので一端切ります。

熊野暦1月中旬


 新春を迎えた奈良では佐瑠女君(さるめのきみ)の興行が始まった。

 演劇の題目は朱里さんが奈良の領主になったきっかけである「花咲か爺さん」だ、まあ爺さんではなくキャストは女性なんだけどな。


 うずめの歌は奈良の人に人気なので、脚本を少しいじってミュージカル調になっている。朱里さんは男前な女性がいたら宝塚歌劇団調の物もやって見たいと言っていた。


「宝塚はうずめとくくりの成長を待たないと流石にキツイんじゃない?」


「宝塚歌劇団は最初子供達でやってたんやで、題目は桃太郎やなぁ」


「マジで?」


 聞く話によると温泉街で有った宝塚で最初はプールを経営して居たが、客足が伸びず苦肉の策でプールの水を抜き中を客席にして演劇を行ったところヒットしたらしい。世の中何が当たるかわからないな、朱里さんは猿楽(能)に近い伊勢の演劇と差別化を計り華やかな舞台にしたいようだな。


 演劇を終えたくくりを連れて橿原市を連れて歩いてみると、オークの被害に合いながらも笑顔を絶やさず荒らされた田畑を耕やして居る人々が目に付いた。


「くくり見てみろ、この人達にくくり達が興行する事で希望を与えているんだ」


「仁様の作る料理では無くですか?」


 まあ俺の料理もそれなり影響は有ると思うが、新たな娯楽が出来たのが大きな所なんじゃないかな? 

 異論は有るかもしれないが、素材が良い物は塩を振って焼くのが一番美味いと思う。奈良では田畑を耕しても、オークに荒らされたり隣の堺(貝塚市)の連中に略奪されたりで、娯楽に力を入れる余裕が無かったから、その影響は計りしれないだろう。


 こうして考えると東海地方と近畿地方の同盟は、地域に住む人達に取ってとても有意義になったな。明日には何か良い事が有ると思えば、町の人達も頑張ろうと言う気になると思う。俺は手を変え品を変え周りの人々にそれを与えれる様に努力しよう。


 田畑の視察を終えて朱里さんの屋敷に行くと、タマの声が聞こえて来た。


「……ホンマにホンマにお稲荷様だぁ~ 近すぎちゃって、ど……」スパン


「どうもせんわ!!」

 俺のサブウエポンがハリセンで固定されたらどうしてくれる。


「痛いじゃないか主様よ、会いに行けるお稲荷様を称える歌を作ってたんじゃぞ」

 なんだよ会いに行けるお稲荷様って、地下アイドルの類か?


「そんなパンパンの顔じゃあ、アイドル(偶像)にはなれないな」

 ロリプニボティに需要は有るかもしれないが、喜ぶのは猿田彦位だろう。


「ワシもうずめに負けず、歌って踊れる人気物になりたいのじゃ」

 そういえばタマは獣人の広告塔だったな。


「じゃあ、少し痩せないとな」


 少し前に近衛さんに何を食べさせたのか聞いた所、一食に付き米を1合強と言い出した所で会話を打ち切った。広くしられて居るとは思うが米のカロリーは高い、炭水化物を分解したら糖分になるから当然だよな。熊野米は魅力的だが朱里さんとタマにはお米を控えて貰うしかないな。


 あと朱里さんの屋敷には掘りごたつが有るのがダメなんだろうな。

 少し掘って有る場所に火鉢を入れて炭を焚く方式の炬燵なんだけど、これが中々快適だ一度入ってしまうと外に出ようと言う気が起きなくなる魔性の家具だ。


 タマの運動不足を解消する目的も兼ねて、京都までサクラ達の様子を見に行こう。

 俺は大きな狐に変化したタマの背中に乗り京都え向かう、ドスドスと言う足音が何か哀愁を感じたがタマの為にもココは気付かないフリをして置いてやるか。


「あ~ ご主人様が遊びに来たの」


「ようサクラ元気にしてたか?」


「お山で遊ぶの楽しいの」


 そうかそうか元気そうで何よりだ、朱里さんの話ではここは京都市の伏見区に有るらしい。巨椋池に流れ込む鴨川や桂川沿には湿地帯が広がっており。大雨により流れの変わる桂川が運ぶ土砂が堆積して京都駅周辺の地形が出来たと朱里さんが言って居た。たしか扇状地だとかなんとか……


 朱里さんに書いて貰った地図を見ながら、サクラ達の住む桃山から辺りを見渡した。


「巨椋池に流れ込む宇治川の上流に平等院鳳凰堂が有って、鴨川の上流には三十三間堂が有るのかそして北側の湿地から覗く平地が京都駅周辺で任○堂が有ると……」


 何で寺に混じってしれっと○天堂が混じっているんだよ!!

トランプや花札をココで作れと言うフリか? それとも家庭用ゲーム機を作れと?


 朱里さんの仕込んだイタズラの少し混乱してしまったが、京都駅周辺には平地が有りその奥には鞍馬山が有るようだ、鞍馬山と言えば源義経に修行をつけた天狗が居る逸話が有る場所だな。


 東海地方では猿田彦が天狗と同一視されて居るが、猿田彦の鼻はあんなに長くない。と言うか、あんな鼻をした人間がいる訳がない。仮面を被った何かの獣人なんじゃないか?


 そう考えると京都の山には何かの獣人がいるかもしれないな。


 好奇心に駆られた俺はタマの背に乗り京都市の北を目指した。

 暫く進むと山道になったので、徒歩に切り替え先に進むと見事な竹林が広がっていた。朱里さんに渡された地図によるとココは嵐山か貴船神社の辺りかな? 確かこの辺りに川が有るはずだ、貴船の川床は有名だもんな。


 水場を探してうろついていると大きな鳥の影が俺の頭の上を通過した。


「危ない主様よ」


 タマに突き飛ばされ転がって避けたが、俺の居た場所は見えない何かで抉られた後が有り。上空には人型のカラスが飛んで居た。


「カラス天狗か?」


「八咫鴉じゃ」

 は? ヤタガラス? 日本サッカー代表のマークの?


 頭上に居る鴉の獣人は木で出来た六角形の棍を持っているがアレか?

 スフィンクスの出すクイズに出て来る、

 朝は4本昼は2本夜は3本の生き物の3本足か?


「セイイキヲアラス モノハハイジョスル……」

 しまったココはコイツ等の縄張りか?


 拙いな、さっき何の攻撃を受けたか解からない。

 物理攻撃なら何とか対応できるが未知の攻撃は厄介だ、無事撤退できるだろうか?


「タマ、アイツがどんな攻撃をして居るか解かるか?」


「直感で何かが来るのは解かるんじゃが、何かまではわからん」


 背を向けて逃げるのは悪手だよな、少しずつ対峙しながら逃げるしかない。


「ア~~~」


 八咫鴉は問答無用で攻撃を仕掛けて来た。

 持って居る棍を振ると不可視の刃が迫る……

 

 俺が大きく避けると地面が抉れる、どうやら攻撃は放った棍の延長線上にしか進まないようだな。


 俺も似た様な技を使うがカマイタチでも飛ばして居るのか?

 熊野さんの放つのを見た事が有るが、先端がかなりの速度を出さないと出ない筈だ。

 魔法の類か? 鴉天狗は妖術の類を使うらしいからな。


 しかし、頭上を取られているのは厄介だな。

 こっちの攻撃が届かない、ゆうなが居れば楽に倒せそうなんだけど……


「ええい、鬱陶しい。ワシが山ごと焼き尽くしてくれる」スパン


「やめろタマそんな事したら禍根が残る、俺は出来ればコイツ等とも縁を結びたい」


「じゃあ、どうするのじゃ」


「わからん」


 会話の最中も不可視の斬撃が俺達を襲う。

 どうやらアイツは話している最中は攻撃をしてはいけないと言うお約束を知らないらしい。


 確かにこのままでは一方的に蹂躙されるだけだ、コッチに近づいてくれないと話にならない。

 何かいい手は無いか? 間違って直撃を受けても大丈夫な様に身体能力強化を使うと、胸元に忍ばせた鏡が光出した。


 以前天音さんと八咫鏡の試作品として作ってお互いに贈り合った物だ、今は加工して首からさげれる様にして有るんだった。その鏡は天音さんから手渡された時と同様に神々しい光を放っている。


「ソレヲ…… ヨコセ……」


 八咫鴉は急降下して俺に迫って来たので、手に持っていた物で殴ってやった。

 スパンと良い音が山に鳴り響く、しまったタマにツッコミを入れた時に使ったハリセンを手に持ったままだった……


「タマ俺の竹槍を取ってくれ、そして手出しは無用だぞ」


「ほれ主様よ、危なくなったらワシが山ごと燃やしてやるからの」

 環境破壊になるからそれだけは止めてくれ。


 さあ、反撃開始だ……






八咫とは長さの単位で約144cmなのですか、大きいと言う意味合いが有ります。常識的に考えたら八咫鴉はカラス天狗じゃないかな?


何やらナメプしてるしてるような感じですが、相性の関係で苦戦する予定です。

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