外伝 女三人よれば……
かしましいと言いたい所ですが、ゆうな以外あまり喋るキャラじゃなかった。
司会進行役はゆうなです。
熊野暦12月中旬
仁の部屋を掃除していたら、日記を見つけたです。
極東西遊記なんて大層な名前がついてますが中身は日記ですね。
誤字脱字が多いので赤字で修正してやりました。
これを読んだ感じでは、かなり前から九州に行きたかったようですね。
行ったきりで帰って来ないなんて事にならないように私達の日記も貼り付けて置くです。こうなったら早速天音様達に相談です。
「ゆうなさん、人の日記を勝手に読むのは……」
「天音様は、自分の事がどう書かれて気にならないですか?」
この日記によると、仁は天音様に惚れてるです。
そして、天音様も悪く思って無いです。
天音様にはお世話になって居るので応援するです。
「気にならないと言えば嘘になりますが、やっぱりダメです」
「そうだよ、ゆうなちゃん後で怒られるよ?」
「天音様は仁が、奈良のおっぱいお化け(朱里)の事をどう思っているか気にならないと…… 有る程度経ってから、結婚しましたと言われても後悔しないと……」
「ううっ、そ……それは……」
効いてるです、後一押しです。
「私に任せるです、悪いのは全て私なので天音様は悪くないです」
外に簀巻きで放置されるのはイヤですが、しょうがないのでもう一度泥を被るです。
「そう言って、ゆうなちゃんが気になるだけなんじゃ……」
「ばっ…… 馬鹿な事を言っちゃダメですよ、くくりちゃん」
あんな変態何とも思ってないです、天音様に更生させて貰うです。
「私は仁様の事好きですよ?」
「あの馬鹿の何処が良いんですか?」
「仁様と出会う前とは生活が全然違いますね、今日より明日は良い日になりそうな気にさせてくれますよ?」 技術革新はマレビトなら当然です。
美味しい物を作れるのは少しは評価しても良いですね。
「確かに、仁さんが来てから生活が大分快適になりました。この絹の服とか一度着たら元の麻の物は着れませんね。町の人の顔も仁さんが来てから明るくなった気がします」
日本酒と醤油のせいですかね、この二つは日本人には麻薬的な効果が有ると思うです。伊勢は漁師町です、新鮮な魚と日本酒の組み合わせは危険だと聞いた事が有るです。
「でも、馬鹿ですよ?」
「ゆうなちゃん…… 仁様の悪ふざけは、ゆうなちゃんが寂しく無い様に気を使っているんじゃ無いですか?」
アレは素でやってると思うです。気を使うならもっと私を大事に扱えです。
今の所ヨゴレ芸人みたいな事をさせられて居る気がしてならないです。
「まあまあ、お茶が入りましたよ。柿の葉を煎じた物ですが……」
天音様は少し前まで柿の葉を煎じた物がお茶だと思っていました。
仁がお茶っ葉を見つけて来ると言っていましたが、宇治には宇治茶が有るのですかね?
「仁はいつの間に、ちんすこうを作ったんですかね?」
「ちっ…… ゆうなさん、いきなり何て事を言うんです!!」
天音様は耳まで真っ赤にしていましたが、細かいセクハラを入れて入れてくるとは流石です。天音様の反応が可愛いので、少し仁の気持ちが解かった気がします。
「南の島のお菓子で、ちんすこうと言うです」
「あらためて聞いても変な名前ですね」
天音様は多分むっつりスケベです。
それっぽい言葉に反応してしまう中学生男子を見ている様ですね。
天音様押しをするために、この反応も日記にしっかり書いて置くです。
「仁様、はいつ帰って来るんでしょうか?」
「月末までに帰って着て、御館様と忘年会の準備をすると言っていたですね。板海苔が出来たから鉄火巻きを作ると言っていましたが、鮪なんて取れるんですかね?」
鮪漁師のドキュメントは年末のテレビで良く見ますがアレは青森県の話です。
「まぐろ…… 鉄火巻き……」
「くくりちゃん、よだれが出てるです」
仁はくくりちゃんの胃袋をがっちりキャッチしているようですね。
海無し県の岐阜に居たくくりちゃんは、今ではすっかりお魚好きです。
ついでに握り寿司も作ると言っていたので少し気になっているのは此処だけの秘密です。イクラは無理ですがウニやアワビは有るです。個人的には煮穴子を少し炙って出して欲しいです。穴きゅうも良いですが、きゅうりが無いです。似た様な味の真桑瓜が有るので作って貰うです。
お寿司の事を考えたら無性に食べたくなりました。
仁、早く帰ってきて私達にお寿司を作るです。
基本的には仁の日記をうずめが子孫に読んでいると言う形で物語を締めたいと思っています。
主人公の知りえない情報は、こんな感じで日記に悪戯されてる体で行こうと思います。




