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6話 真珠の養殖

 熊野暦5月10日


 熊野さんの家に居候して5日が過ぎた。何か出来る事は無いかと考え町の周辺を散策したけど、思いつく事は大体やりつくされて居た。


 中でも感心したのは製塩技術だ、人力で砂を引いた丘に海水を上げ天日干しにして、その砂を集めて桶に入れ海水を追加し塩分濃度を上げて行き、その水を煮詰めることで塩分を結晶化させる。ほぼ現代の天然塩の作り方と同じだな。


 さすが転移者マレビト、誰でも考える事は一緒か…… いや実際熊野さんは凄いよ。海水を蒸発させたら塩が取れる所までは誰でも想像出来るけど、ここまで効率的に塩を生産出来るなんてな。ちなみにこの辺りで米の栽培を始めたのがきっかけで、農耕神と呼ばれていたらしいけど、家業が漁師なのでそれはおもばゆいと家の隣に神社を立て娘を巫女としたらしい。


 その娘に神通力の様な物が発現したため町の人間の間では神格化されている様だ。誰だって天音さんのあの舞を見たら神の存在を考えてしまうだろう。


 その日の昼俺は熊野さんの漁(地引き網)を手伝いながら聞いてみた。


「熊野さんの元々の生まれは何処なんですか?」


「一つ山を越えた鳥羽だな」


「鳥羽と言えば牡蠣と真珠の養殖が有名ですがやらないんですか?」


 俺がそう言うと、熊野さんは大きく目を見開き俺の肩を掴みこう言った

「真珠を養殖できるのか?」


「ええ出来ますよ、鳥羽と志摩以外での養殖はあまり聞きませんが」

 あれ? 真珠の養殖って何時からやってるんだっけか?


 確か生後3歳位のあこや貝に核を入れ6~8ヶ月ほどでできるはずだ。

 細かく言うと卵巣に核を入れるため卵を産卵した後に入れるのが好ましいが

(卵と一緒に排出される可能性有り)、流石に貝の生態までは解らないな。


 なんで知ってるかって?

 三重県民は社会科見学で一度は鳥羽のミキモト真珠館を見に行くからだよ。

 志摩の真珠の里では時期が合えば(5月~7月)

 一般人でも真珠の核入れ体験ができるぞ。


 それで早速つくって見ることにした。

 熊野さんに親指と人差し指で輪を作った位の大きさのあこや貝とって来てもらった。

 さすが漁師と言うか、あこや貝で一発で解ってくれたのは幸運だった。


 あとは真珠核をどう作るかだな…… 有る程度の厚みを持った貝殻を球形に削り出さないといけない。俺はこの辺りのもう一つの特産物牡蠣の殻を利用することにした。


 この時期だと岩牡蠣だな。現代でも三重県はそこらじゅうの岸壁や岩場に牡蠣が張り付き、胃腸に自信が有ればただで牡蠣は食べ放題だ。まあ当たっても自己責任と言う言葉が付きまとうが……


 しかし、牡蠣の一番美味しい食べ方は何だろうな。煮る焼く蒸すなどの色々な調理方法があるがこればかりは十人十色だろうな。


 ああカキフライが食べたい。でもフライ用のパン粉を作るために、パンを焼かなくてはならない。


 どれだけハードル高いんだよ、ちくしょうめ!!


 せめて揚げ物が食べたい。油の確保は最重要課題だな。菜の花は今の季節間に合うのか?結構な数を消費しないといけないので、有志の村人を集め牡蠣の味噌鍋にすることにした。5月中旬とは言え夕方はまだ肌寒いので鍋はまだ十分な馳走だろう。


 大根・人参・おっ牛蒡も有るんだ、食材と共に剥いた牡蠣を投入し、味噌を入れて一煮立ちしたら完成だ。


 ―さて実食―


 牛蒡の土臭さと牡蠣から出てくる出汁が良いアクセントになって旨い、高級食材(1個500円ほど)の岩牡蠣をふんだん使用した牡蠣鍋は贅沢な食べ方と言える、大きめに切った大根も煮汁を吸って最高だ。


 白菜の取れる時期では無いのが少し残念ではあるが、十分及第点と言えるだろう。


 〆は雑炊だな、卵は無いが葱の代わりに入れた野草の苦味が舌を刺激して、結構満腹なのにあと少し食べたいと言う気にさせてくれる。


 いや~旨かった。これには村人たちも大喜びだった。


「兄ちゃん又馳走してくれ」「意外な才能だな」と村人達はと口々に俺の肩をたたき解散して行った。


 話は少し…… いやかなりそれたが、牡蠣の貝殻を集め削り出し100個ほどのあこや貝に核を打ち込み、籠に入れ元いた場所にもどしておいた。


 養殖を開始する時期など試行錯誤が必要だろうが、軌道に乗るようなら稚貝の養殖から始めたい。




 おまけ 「まて貝漁」


「おにーちゃん 遊ぼ~」とうずめにせがまれ俺は外出することにした。


「熊野さん 塩を少し貰えないか?」


「塩? 別に良いが何に使うんだ?」


「いや まて貝を獲ろうかと思ってね」


「おお あれ旨いな」


「今夜の晩飯は期待してくれ」


 と言い残し俺は砂浜までやってきた。


 本当に遊ぶのか?といぶかしむ、うずめを横目にまて貝の巣穴を探した、巣穴を見つけ塩を掛けると、ニョキッと棒状の貝が飛び出した。


「わ~ おもしろ~い」とうずめも大喜びだ。


 まて貝と言う貝は、塩分濃度に敏感で、塩を巣穴に掛けるとびっくりして飛び出す習性がある。


 現代でもこのあたりでは、まて貝が良く取れる、。味は浅利に似ているが個人的にはこちらの方が好きだな。


 主な調理方法としては、バター焼きが主流だがこの世界にバターはまだ無い。


 バターは、加熱した牛乳を遠心分離して乳脂肪分を集めて作られる、バターが無いなら牛乳を極限まで煮詰めればいいじゃない。


 俺は、そう天啓にもにた閃きを得て近くの農家を尋ねた。熊野領の牛は主に農耕作業用の牛で牛乳を飲む習慣はないようだ。大漁で消費し切れなささそうな貝と交換で牛乳を手に入れる事に成功した。


 家に帰り早速調理をすると、ねらい通りで当たらずとも遠からずと味と成った。


 しかしあれだな……


 加熱したまて貝の形状は若干 ち○こに似ている。


 大切なことなのでもう一度言わせてもらうと、若干ではあるがその形状は ちん○に似ているんだ。


 ―さて実食―


 いただいま~すとの声と共に、うずめは勢いよくまて貝にかぶりついた。

 痛い、うずめ痛い、もうすこしやさしくして。 


 自分の体ではないが股間がキュッとなった。


 対象的に「熱っ」とうめきながら上品に口に運ぶ、天音さんは実にエロかった。


 小さな口に入りきらないマテ貝が、熱いと言う言葉と共に押し戻され、また口の中に含まれていく、個人的にはもう少し舌を上手く使ってほしい所だが……


 若干眉間に皺を寄せて繰り返される、まて貝のピストン運動と時折見せる恍惚の表情に、別の意味で俺の股間は熱くなった。


 あまり凝視していると父親に感づかれそうなので俺は目をそらした……


「仁、昼間も思ったが料理が得意なのか?」


「あれ? 言って無かったっけ、俺の実家は日本料理店なんだよ」


「ほお、じゃあメシは任せても良いんだな」


「ああ、大船に乗った気でいてくれ」


 俺にも出来る事が有って良かった。このまま穀潰しとして肩身が狭い思いをするんじゃないかとヒヤヒヤしていたんだ。天音さんに私にも料理を教えて下さいと言われたので快く引き受けた。


 うずめは食べるのが専門みたいで作る方は興味が無いようだ。将来「私は料理が出来る人と結婚するからいいもん」とか言い出さないだろうか?まあまだ8才だし、好きな人が出来れば料理に興味を持つだろう。その時は男の胃袋をがっちりキャッチする料理を教えるとするか。


ちなみに真珠の養殖は昭和26年に始めて成功します。

調べた所長崎県と琵琶湖でも真珠の養殖をしているそうですね。


志摩の真珠の里では10個8000円20個11000円で真珠の核入れ体験が出来ます。出来た真珠は郵送で送ってくれるので運良く沢山真珠が出来れば安い上がりで真珠が手に入るかもしれません。


あと白菜を食べるようになったのは20世紀になってからだそうです。

採油用の菜の花のヨーロッパ又は西アジア原産、中国では漢の時代から栽培されるが、日本で本格的に栽培されるのは江戸時代からです。


しつこい位の三重県押しですが舞台が伊勢のためご容赦下さい。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 『俺の股間は熱くなった』 たまりませんね!
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