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極東西遊記~古代日本に転生したぽいので建国してみた  作者: 星 武臣
第3章 そうだ 京都に行こう
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41話 奈良ラブストーリー

メインヒロイン争奪戦に参加させるべくテコいれ

 熊野暦10月上旬


 秋晴れの清々しい朝、俺は新米を携えて復興が進む奈良を訪ねていた、公務としては一度熊野米と伊勢の海産物を試食して貰いかつ奈良の特産品に付いて検討しようと言うのが目的だが、個人的には久しぶりに故郷の味を楽しんで貰いたいと言うのが大きな。


 朝食は奇をてらわず鰺の開きと出汁きと納豆の和定食にした。

 昼食は今伊勢で人気沸騰中の鰻だ、たれも一ヶ月間継ぎ足して作りようやく馴染んできた所だ、鰻も生きたまま運び現地で調理するぞ、奈良にも鰻は居るが泥抜きとかの処理に時間が掛かるためこの方法にした。


 どちらも熊野米を売り込む為なのは言うまでもないな。


「じ…… 仁はん、これ何なの?」


「米だけど」


「そら解るわ、うちの言いたいんわそうゆうことやあらへん」


 いやね、熊野さんに言われてプレゼンしに来てるけど、こっちの人には熊野米は十分に凶器だ。特に味を知ってるマレビトには猫にマタタビを与える位の効果があるだろう。


 朝食と昼食は好評だった、鰻は京都の人ならあっさりした物が好きなんじゃないかと(ひつ)まぶしにした

 まだ板海苔は作って無いが、あおさ海苔を乾燥させた物と山葵を添えて提供したぞ。


「熊野米は危険やわ、つい食べ過ぎてしまう」

 朱里さんは女性には量が多い、お櫃ご飯を平らげてそう言った。


「まあ、初めて食べる人はそう言うね、俺はあっちに飛ばされたから有り難味が薄かったけど」


 今年は熊野米が支援される事と一度食べたら元に戻れないから、奈良で作った古代米(もち米)をこちらで買取して、今から麦を栽培してもらい俺が買い取る事を提案した。


 東海三県では今ビールの需要が高まっている、醤油を作るのにも必要なので今から作って貰いたい、米の方はだぶ付き気味なので日本酒作りに回してもまだ余る。奈良でも来年の春から米を生産できるだろう。


「朱里さん、熊野領との間に平野部(宇陀市)があるじゃない、麦ならそれほど水もいらないしそこで栽培して見ない?、今の相場は米の重量と同じだよ」


「はぁ~ この米と麦が同じ値段とは伊勢の方は面白いことになっとるなぁ」


「まあ、俺が加工して旨い汁を吸わせて貰ってるな、ところで朱里さんにお土産が有るんだけど」


 そういって俺は服の入った箱を手渡した、朱里さんがバブル世代だと聞いて絹製のボディコンスーツと鳥の尾羽で作った扇子をプレゼントした。仁はんこんなのが好きなんかといぶかしむ朱里さんは、一度は着て見たかったらしく一応は喜んでくれた。ネタに走ったが拒絶されなくて良かった。


 では早速と着替えて見せてくれた朱里さんの姿は破壊的だった、少し大きめに作ったつもりだったけどまだ胸周りは苦しそうだ。さすがに1mは無いと思っていたがあの様子は超えてるな、ピチピチのボディコンスーツを着た女性に健全な男子は耐えられるだろうか、耐えられる筈がない。


 まあ、長い髪を編みこんで前に流しているのと眼鏡のおかげで垢抜けない感じがするので助かってはいるが、髪型を変えるだけでも化けそうだな。


「うちも都会に憧れて、こんな扇子振り回して見たかったんよ」


「すいません、バブルと聞いてワンレン・ボディコンしか思いつかなくて」


「ええで、青春を取りもどしたみたいやし、少し髪切ってワンレングスにしてみるのもアリやな」


 へ~ ワンレンと言うのは髪型の事だったのか、聞く話によるとボブカット見たいな物らしい、時代は回ると言うが本当だったな。


「朱里さんファスナーって作れます?」


「まあ、作れん事はないなぁ、素材は金属かいな」


「竹でもいいんですけどね」


「耐腐食性を考えたらそれもアリやなぁ、製造はウチでやってもええのん?」


「こっちも支援されっぱなしじゃ立つ瀬が無いですし、流行の一つでも発信しないとね」


「せやなぁ、お姉さんにまかしとき、上手くやるわ」


 朱里さんは俺の贈った服を仕立て直すついでにファスナー使用にして見るらしい、すべて手作業で削り出して作る為伝統工芸の域の技術が必要になるだろう。


「そういえば、こっちの服の素材は何ですか麻とは違うようですが?」


「藤と苧麻(ちょま)やな紙もコレで作れるで」


「是非その素材も輸出しましょう、必ず売れます」


 絹糸は極上だが値が張るのが痛い、比較的安価な服の材料は伊勢でも喉から手が出るほど欲しい、パッと見ではあるが朱里さんの着ていた、苧麻製の服は麻より着心地が良さそうだった。藤は見て美しい・加工して儲かる・食べて美味しいの三拍子そろっている植物で、藤原と言う場所を設けて栽培されているらしい。


 この後、吉野葛と燻製用の桜の木などの採取と栽培を提案し両方とも吉野山周辺でやって見ようと言う話になった、蕎麦も有ると思っていたけど無かった、奈良と言えば蕎麦よりそうめんの方が有名なのでそんな物か、上の京都に期待したい。


 あと朱里さんが既に作っていた将棋と囲碁も輸出することにした、恥ずかしながら金と銀の動きがごっちゃになって解らなかったため、今まで作って居なかった。

 よっぽど打ち込んでる人間以外の知識はそんな物だろう?


 金が斜め後ろにいけなくて銀が横と下にいけないんだな、銀が金にクラスチェンジしたら斜め下にはいけないと、なんで? 全方向行かせろよ、疑問は残る物のルールは理解したので売り込んで行くとしよう。


 奈良から売り出せる物も多数有り復興も早そうだ、朱里さんはお酒が飲めるとの事なので祝杯を挙げる事になった、夕食つまみは何にしようか、町に出かけ市場を見ると鴨が売っていたコイツをメインで行くか、バブル世代だとイタ飯ブームの頃かな?


 ピザでも焼くか茸もそろそろ出回る時期だし、茸と野草のクリームのピザで行こう。前菜は少し和風になるがカルパッチョにしようか、ソースはサルナシと言うキュウイフルーツの小さい物が有ったのでそれを潰した物を使い、隠し味に醤油とみりんで味を調えるとする。


 鴨も基本的には照り焼きなんだけど山椒を利かしてスパイシーにするのと火加減を調節して身がピンク色に成る様に勤め、銀杏など季節の物をちりばめて少しでも洋食に見える努力をした。見る人が見たらそれ吹き寄せなんじゃねと言われそうだがまあバレないだろう。


 今日は朱里さんの失った青春を取り戻すため頑張るとしますか。


「朱里さんビールは3種類用意しましたけど飲み比べてみます?」


「せやな、どれが好みか解らんから取り合えずもろとくわぁ、ほな乾杯しよか」


 そこはシャンパンだろと思ったが葡萄はないんだ、素焼きのグラスも色気が無いとか言うなよ、俺は体質的に酒が飲めない事を先に伝え最初の一杯だけ付き合い、あとはお猪口でちびちびと飲むことにした。

 これから腹を割って話そうと言うのにこちらだけ飲まないのはフェアじゃないからな。


「朱里さん、ガラスのコップとか出来ないんですか?」


「ヨーロッパの方じゃ紀元前から作ってたみたいやから材料さえ有れば出来るで、愛知県の瀬戸市で珪石ちゅうのが取れるからそれつこうたらええ」


 水晶を溶かす方法も有るらしいが2000℃近い温度が必要なので無理だそうだ、天音さんなら作れ

そうだがヒットしたら過労死するな、身内で使う分だけでも作って貰おうかな?


 中身のビールはアルト・バイツェン・スタウトの三種だ前二つは発酵温度の違いで最後のが黒ビールだ、入れる器はラムネのビンを参考に炭酸が抜けない様に工夫してある、どうしても泡が出てくるので側使えに離れた場所で抜栓してもらい提供して貰った。こうして飲むとなんかビールも高級な感じがするな。


「お酒も料理もええ感じやわ、よくこの時代に洋食作ろうと思ったね、ほんま感心するわぁ、この吹き寄せもええ感じやで」


 うぐっ、バレた。そういえば和食の本場の京都の人だもんな、せめて洋風の皿に盛れば見た目が寄せれるのだけど素焼きの器だと和食に寄るな、瀬戸市で磁器も作るかな?

 イナックスの本社が有る常滑でも良いが……


「なあ仁はん、こっちに移住して毎日うちの料理作ってや」


「今後の事を考えるとこっちに来るのはアリなんだけど、当分は伊勢と行ったりきたりだな」


「お~ 若者の今後の大志とやらを聞こうやないの」


 取り留めのない会話が続き楽しい夕食の時間が過ぎて行ったように見えたが……



 端的に話すと飲ませ過ぎた、ちょっとお茶の間に映像を流せない状況になってる。


 側使えの人に部屋までつれて行って貰い着替えさせてたら、俺も中に入って来いと言われたのでお邪魔した。


 側使えの人が何やらニヤつきながら出て行ったような気がしたが、多分気のせいだろう


 酔っ払った朱里さんは幼児退行している見たいだった。

 うずめのあしらいで馴れているから別にいいか、差し出された水を小動物の様に飲む姿は可愛かったとだけ言っておこう、少し落ち着くまで話相手を務め、朱里さんが寝たら退散するか。


 話を要約すると、本当は東京の大学に行きたかったとか、やっと一人暮らしのキャンパスライフが送れると思ったら課題とアルバイトに忙殺されてそんな華やかな物では無かったとかだ、ちなみにバイトは家庭教師で指名の依頼が多かったらしい、俺も知り合っていたら指名していただろう。


「仁はん、私の事垢抜けてないとか思ってたやろ?」あ

 大学デビューに失敗した人の様に見えたのは秘密だ。あ


「イエ ソンナコトハ ナイデスヨ」


「嘘や、目が泳いえいどる、うちだって都会に憧れて月9みたいな恋がしたいんやぁ~」


「月9は見た事無いですけど、三角関係の何処がいいんですか? 見てる分には面白いかも知れませんが当事者は面倒なだけですよ」


「なんか大人な発言しとる奴がおる どうせうちなんて……」


 あ~ 泣き出した、俺か? 俺が悪いのか?


 朱里さんは魅力的ですよとか頑張ってたんですよねとか合槌を入れながら落ち着くまで付き合った。口には出さなかったがこっちに着た不安とか色々あったんだろう。俺も熊野さんと始めて合った時は大泣きしたな、朱里さんに親近感の様なものを感じた。


 暫くすると泣き疲れたのか眠ってしまったので布団をかけてあげて部屋を後にした。


 翌朝、少し照れながら「ほんま昨日は有りがとぉな、おかげでスッキリしたわ」と言う朱里さんに少しドキッとした。

 ごめん天音さんこれは浮気じゃないから許して……






 

朱里さんの言う月9は東京ラブ○トーリー、社会現象になったらしいセリフ仁っちチョメチョメしよっと言ってハリセンで叩かれるまでがワンセット、これ天音さんの前でやったらストレスゲージ振り切れそうだな、伊勢神宮に荒御霊殿も作らないといけないのでどこかでプッツンしてもらう予定ではいるのだけど・・・


そういえばハーレムタグ付けてたなでも主人公ヘタレだよ、全員行けるのかそれとも無理なのか請うご期待

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