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3話 日本に似て何処かが違う世界

ほぼ説明回

熊野暦5月1日


 魔物が出るとの話を聞いた俺は、

 現実世界では実家の有った場所を目指し、東に向かっていた。


 此処が日本の愛知県かもしれないと言う気持ちは、 

 周囲の山が近づくにつれ強くなってきた。

 しかしこの世界の日本が俺の知っている地形だとは限らない。


 現に現実世界で飛島とか長島とか言われて居た地名は実際に島だった。

 入り組んだ川の流れのおかげで木曽川と言う、

 日本有数の大河を越えるのに苦労しなかったのは幸運だったのかな?

 あと梅雨に入る前に川を越えられたのが大きいだろう。


 熊野暦と言う物は現代暦とほぼほぼ合っているのではないのだろうか?

 俺は熊野と言う人物に興味を覚え会って見たくなった。


 そうそう、今現在分かる現実世界の相違点としては、兎と鼠がデカイ。

 どの位デカイと言うと1m位だ、稲作しなくても狩猟で食っていけるんじゃね?


 俺は試しに兎を狩って見る事にした。

 俺を見つけた兎は猫の様に尻を上げ毛を逆立たせて威嚇行動をしていたが、

 俺が逃げないと察して突撃して来る。

 素早い突撃を横に飛んでかわそうとしたら、

 俺の体は3m以上横に跳んだ。


「うわっ、なんじゃこりゃ」


 兎に吹き飛ばされたとかじゃ無く、俺の身体能力が強化されて居て少し避けたつもりが一足飛びでかなり移動してしまった。

 今の俺ならオリンピックでメダル取れるかもしれない。

 異世界転生お決まりの特典の様な物は俺にも有ったんだな。

 内心、最初に会った神ぽいヤツに何かねだっておけば良かったと後悔したが、

 心配は杞憂に終わったな。


 さあ、今の俺に何が出来るのか試してみようか。

 あゆちの里で貰った竹は槍に加工して貰い、一応武器は持って居る。

 再度突っ込んで来る兎にややカウンター気味に竹槍を突きつけると、

 あっけなく兎の頭は吹き飛んだ。

 正直かなりグロい、俺の足元では首から上の無い兎が何かピクピクしてる。

 そしてそこから放射状に兎の頭で有ったであろう何かが飛び散っていた。


 食べるには血抜きをしなくてはならないので丁度良いが……

 あまり触りたく無いな~


 そんな事を言っても腹は空くだろうから、気を取り直し丈夫そうな草で縄を編み竹槍の先のくくりつけて移動しようか、この世界の勝手は分からないが取り合えず食い物に困らないのは大きなアドバンテージだな。料理人の端くれとして鴨くらいは捌いた事は有るから、少しだけグロ耐性が有るのも幸いしたな。


 あともう一つ試したい事が有ったんだ、異世界と言えば魔法じゃない?

 水や火は上手くイメージ出来なかったが、地面に手をかざし突き出る杭を念じた所70~80センチ程の岩の塊を生成することに成功した、俺はこれを土槍(つちやり)と銘銘した。


 ネーミングセンスが無いと言う苦情は一切受け付けない。


 試した所、壁の様な物も生成できて、かまども土魔法で作る事が出来た。

 この前は水分不足で倒れたが、水場があれば自給自足の生活ができそうだ。




 順調に長良川と揖斐川を越え、実家の有ったと場所と思われる漁村に着いた。

「その手は桑名の焼きハマグリ~♪」と歌を歌いながら砂浜を掘っていると、

 おっさんに白い目で見られていた……


「お前さん何者だ?」


 俺はあゆちの村から来た天野と言う者で、

 熊野と言う人に会うために旅をしていると伝え、

 漁師のおっさんに村の中を案内してもらう事にした。


 この辺りは高床式住居なんだな、いったい何時代なんだろうか?

 案内するおっさんに聞いた話では、どうやら此処は熊野領の端で定期的に起こる川の氾濫の為に稲作を捨て漁業一本で生活している寒村らしい。


 現在の人口は150人程で、昔は活気が有ったが最近の若者は富を求めて大きな町へ出て行ってしまうとおっさんがぼやいて居た。しかし自分の地元がこうも寂れていると何とかテコ入れしたくなるのは人情だろうか?


 この辺りの地名が桑名だとしたら、きっとあれが有るはずだ。


 裏山を捜索すると、そこには桑の木の林が有った。

 そしてそれを主食とする蚕の幼虫も居た、俺は村人を集めこの虫の繭から上質な糸が取れる事と飼育が比較的手間の掛からない事を説明し副業とする事を提案した。


 村人たちに、半信半疑ながらも仕事の片手間で出来る事から、試しにやってもらうことにした。

実際には試行錯誤が必要だろうが、そこは村人に頑張ってもらおう。


 養蚕の天敵は鼠で、たいがい猫をセットで飼っているものなのだが探しても見つからなかった、まあこの世界の鼠は大きいから知らずの内に蚕が食い荒らされることはないだろう。


 ああ、取ったハマグリはスタッフ(村人)と一緒に美味しくいただきました。


 俺は、村人に熊野の地に向かう事を告げると、漁師のおっさんが途中まで送ってくれる事になった。

 手漕ぎの小船で陸地沿いに1時間ほどで、そこそこの大きさの港町についた。

 建物は全て木造の平屋建てで1000人位は住んでいそうな感じだな。


 この町の名前は何故か現代と同じく鈴鹿と言い、

 山間部との交易と知多半島への海運で栄えていた。

 と言うか普通に此処には帆をで進む船があるんだな。

 見た所青銅器と陶器中心とした日用品と食品の物々交換が主な交易だと思う。


 情報収集も兼ねて午前中に狩った兎を何かと交換しよう、

 想像通り貨幣の様な物は存在せず、

 この辺りに兎は居ないと言う事で兎には結構な価値が有るようだ。

 貨幣が無いとお釣りが出ないのが痛いよな、

 一つの店で不必要な物も買わないと行けないし……


 例えるなら深夜のテレビショッピングでセラミック製のフライパンを買ったら、文化包丁が付いて来るような物だ。俺の実家は料理屋なので家庭用の包丁は必要無いのだけど、フライパンがあまりにも使いがってが良さそうなので、文化包丁が3本も有って困っていたな。


 そういえば、俺が流された時に持っていた短刀は刃渡り40cmほど、柄が20cmほどの片刃の直刀だ、刺身包丁をイメージすると良いだろうか?


 材質はおそらく鋼鉄製?で恐ろしく切れ味が良い。

 さすがに石では試さなかったが自分の二の腕位の太さの木は難なく切断出来て、

 刃こぼれ一つ無い。

 この刀の材質は現代でも作るのは難しいんじゃないだろうか?

 これはある意味オーパーツだな。


 中国では紀元前から製鉄してたようだが、この刀は争いの種になりかねないのでしばらく封印することにした。


 兎は青銅製のハサミと針などの日用品と交換した。

 鉄器が無いのに何故かハサミと針は見慣れた形の物が存在した。

 銅製の鍋やフライパンまで存在する。

 銅製の鍋とかの調理器具は熱伝導率が良く喉から手が出る位欲しかったが、

 兎一匹じゃ少し足りないようだ。今度纏めて買いに来よう。

 俺以外にもコッチに来てるヤツが居て鍛冶職人でもしているのだろうか?

 少し疑問は残るが目的地の場所を聞いてみよう。



 町で情報を集めたところ、此処から歩いて2日ほどの所に、

 熊野様とやらの屋敷があるらしい。

 時速4kmで8時間で32km×二日で64km

 現在の地理で言うと伊勢市辺りか?


 金物屋のオヤジがこれでは儲けすぎだから家に泊まっていけと言ったので、

 言葉に甘え一泊した後、熊野の地と呼ばれるに向かう事にした。



今回の移動経路

挿絵(By みてみん)

やっと次回で主要キャラが出せる


後猫は奈良時代に中国から輸入されたたようです、なのでファンタジー物定番のネコミミ少女は出ない


狐の少女獣人は話が進めば出す予定です

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