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14話 熊野式ブートキャンプ

最近知ってびっくりした事

鹿の速さ、平均時速50km/h・最高時速70km/h 名古屋・奈良まで1時間と少しで行ける


ごま300gから150gのごま油が取れる。

大豆から大豆白絞油はあまりとれない、この後の展開どうするんだ? 揚げ物は何時作れるのか?

 熊野暦10月下旬 朝


 俺は奇兵隊の連中と伊勢の森(現伊勢神宮内宮)を走っていた。奇兵隊の戦闘能力向上の為だ、熊野さんに相談した所、まずは体力作りと言われ、こうして森の中を走っている、ついでに藪を切り開いてこいと言われて、鉈で藪を切り開いての走行だ。


 かなりしんどいがこれは為にに成るな、力を入れすぎれば体力を消耗し、逆に入れなければ立ち止まって切るはめになる、素材の堅さなどを見極め、必要最小限の力で枝を切らないといけない。


 この走る速度なら腕の力はこの位でと、どの位の効果か出るかを体で覚えられる。

 そして消耗してきた時は、腰の回転など使う筋肉を変えて対応し、体力作りと戦闘勘の両方を鍛えられる良い訓練だ。


「若、もうダメっす」


「ああ、少し休もうか」


 元々猟師の息子だった者は苦も無くこの訓練が出来るが、漁師や大工の息子達だった者達はそうは行かない、そもそも山林を歩く経験すら無い俺もその中の一人だ。


 今猟師の息子達には、岐阜方面に紙の材料を探すついでに、食い扶持に困っている人がいれば熊野領へ移住しないか誘うよう頼んでおいた。


「そろそろ始めようか? 歩いても良いからとりあえず完走しよう」


 それから2時間掛けてようやく熊野神社の敷地まで戻って来て、それから昼まで休憩し午後の訓練が始まる。午後からは戦闘訓練だ、二人一組で模擬戦闘を行なう事にした。


「仁、お前の相手は俺だ」


 熊野さんは12歳位の時から日本帝国陸軍の訓練を受けた経験が有り、学徒動員前に終戦を迎えて2日後に、こちらに飛ばされてきたと言う経緯の持ち主だ、その経験をベースに格闘術を組み立てたらしい。


 使う技は銃剣術だが、銃はないので木を削り出し形取った物にナイフを着けている。


 行くぞと熊野さんが掛け声かけ迫ってきた。俺がカウンタを狙って突きを放つとするりと避けられ銃剣の底で肩口を殴られた。


「お前の攻撃は隙が多い、長柄の武器の弱点くらい知っているだろ?」


「もう1本」


 次は先手必勝だ、竹槍を横に持ちチャージをしかけたが受け止められた瞬間、くるりと銃剣が回り顎を強打した、まるで子供あつかいだな。


「どうした、もう終わりか?」


「へっ、冗談じゃない」


 実力の有る相手に真っ向勝負は危険だな。何とか横に回り攻撃せねば……


 熊野さんの攻撃を受けるふりをして、半歩斜めに下がって攻撃をいなして見た。


 今だ、俺は竹槍を回転させ打撃を放ったが銃剣の底で弾かれた、まだだ俺は竹槍の逆の先を掬い上げるように打ち上げたが、半歩下がられ回避され胸に銃剣の底で一突き、胸の空気が一気に押し出され昏倒した。


「今日は、ここまでだな」


「有り難う御座いました」


 俺は木陰で休み考えた。槍の強みは何か? 自分の距離で戦うにはどうしたらいいか?


「槍を横なぎにしてもかもかまわず突っ込んできそうだな」

 突進力の有る相手の対処……


「これ、対オーク戦を想定してるんだ」 熊野さんの親心に感謝した。


 突進力の有る相手をする人で連想するのはスペインの闘牛士だな。

 アレどんな動きしてたっけ?

 思い出せなかった俺は、体重移動や足運びなど基本的な所から煮詰めて行く事にした。


「うずめも熊野さんと組み手してるんだよな」 うずめはどう戦うんだろ?

 弁慶vs牛若丸の様に、ひらりひらりと交わすうずめを幻視した。


 やっぱりこの戦法か? 身軽じゃないと出来ないか?


 うずめは攻撃が軽いから相打ち覚悟で攻撃すれば何とか勝てるが、あれで武器を持っていたらヤバイな、ハンドアックスなんか装備させたらかなり凶悪だ。


 縦横無尽の動きから繰り出される致死の攻撃、森の中だと立体機動もしそうだな……


 やはり、素早さはある程度必要だな。どうやって鍛えるんだ? 反復横跳び?

 なんか横移動のコツは掴めそうだ。練習メニューに加えるかな。


 それから俺は森ので動きの確認を考える事にした。


 よく漫画に出てくる槍使いは三段突きとかしてるよな……

 突き手の早さも重要だが引き手の速さも必要か?


 あとは当たればガードされても足を止めしたり、体勢を崩したりする威力の攻撃は欲しいな。


 俺は昔見た漫画を参考に足~腰~肩~腕と加速し更に捻りを加え突きを放った。


「威力はあるが隙が多いな。ここぞの時に位しか使えんな」


 格闘ゲームのコマンドで言うならば↓←→Aだな、せめて←→Aで出したい。


 俺は立った状態から右足を一歩下げ、タメを作り反動を付けて突きを放った。

「通常攻撃ならこれだな、この二つを洗練させれば勝機が見えるかもしれない」

 年内に熊野さんから一本取る事を目標に頑張る事にしよう。


 次の日の昼、日課のロードワークを終えた俺は天音さんの所を訪ねた。

 奇兵隊の連中には、裏の森でうずめと鬼ごっこをして貰っているが、かなり苦戦しているようだ。


「こんにちは、天音さん」


「あら仁さん、今日はどうしたんですか?」


「魔法のコツを教えてほしくて」


 解らない事は得意な人に聞けば良い、強くなる為には恥も捨てる。今までこれが出来なかった。

 天音さんの話では、おなかの辺りに暖かい物がグルグルとなって手にもわ~っとした物がと、要領をえなかった。


 ダメだこの人感覚派の人だ、女性は論理的な話が苦手と言うが、皆そうなんだろうか?


「手をかして下さい」と言われ、手を握られると何か木漏れ日の様な暖かい物が体に流れ込んできて臍の下辺りで渦を巻いているのが解る。


 要するに丹田で魔力的な物を練り、それから魔法を使えと言う事だな。


「では、魔法を使って見て下さい」


 俺は最初に使って以来、一度も使っていなかった土槍を使った。

 どごっと言う音と共に1m強、足の太さ位の槍が出た、以前出た物が腕と同じ位の物なのでかなりの威力向上だ。


「でも、両手に武器を持ってると使い所がないんだよね」


「別に手を使わなくても良いんじゃないですか?」


 そう天音さんが言うと、タンッと足を踏みならした、すると前方に土の槍が出た。しかも7本も……


 これが才能の差か? 

 いや幼い頃からの努力の積み重ねだと思いたい。

 魔法に関してはこれを目標にしよう。


「遠距離攻撃が欲しいところですね。何か良い物ありますか?」


「一度見たらイメージできるんですけど中々思い着かなくて」


 天音さんでも無理かって言うか、一度見たらパクれるなんて何処の車輪眼の持ち主だよ。


 それは置いといて、土で壁なんか作れると戦略の幅が広がるな。


「この位の土の壁は出来ますか?」俺は1.5m四方の壁を手で表現した。


「やってみましょうか」


「えいっ」と言う可愛らしい声と共に、前方に土の壁が出来た。イメージできれば出来るのかと思い俺もやってみたが、30cm位のお粗末なものだった、何事も練習あるのみだ挫けずに行こう。


 魔法の可能性に俺の胸は高まった。この後天音さんにお願いし、料理を教える事を交換条件に時間の有る時に一緒に魔法の練習と開発をする事になった。


 それから数日後、熊野神社の敷地に2頭の鹿がやってきた。頭の高さが150cm位の奈良公園でよく見かけるサイズの鹿だ。


 ためしにうずめに乗って貰ったところ、たまに跳ねるがちゃんと走って居る様だ。もしかしたら有効利用できそうなので、今後の調教をうずめにたのんでおいた。


「うずめ、この鹿に乗ってしばらく遊んでやってくれ」


「しかさんと遊ぶの~ いいよ~」


 二つ返事だった。この後猿田彦に鞍と(あぶみ)を作ってもらうことにした。

 ちなみに鹿の名前は「忠勝」と「幸村」だ、どちらの武将も兜に鹿の角を使っていたと思う。




 おまけ 「この世界の日本に置ける長さ重さの単位」


 少し前熊野さんと、長さや重さの単位はどうするかと言う話し合いをした。

「尺貫法で良いんじゃないか?」と言う熊野さんを拝み倒し、なんとかキロ・メートル法を採用してもらった。


 1mの長さは俺の足のサイズが25cmだったので、その四倍が1mだ数センチの誤差があるかもしれない。


 次に1kgだが、うずめの重さが米俵1個分の重さ位だったのでこれを基準にした。

 忠勝(鹿)たちの鞍を作りに行くついでに猿田彦に少し手伝って貰う、3mの板の中心に石を置きシーソーの様な物を作り片方にうずめを乗せた。


「うずめ後で遊んであげるから ここの端に座ってじっとしててくれ」


「うん わかった~」


「猿田彦やってくれ」


 うずめの座る逆側に角材を載せると少しづつ、うずめが浮いて来た。


「なにこれ~ おもしろ~い」


「うずめ もう少しの我慢だからじっとしててね」


「はぁ~い」


 この後、平行を保った角材の重さを30kgとして、1/30うずめが1kgとなった、こちらも数十gの誤差は有るかもしれない。


 このあと俺は十数年ぶりにシーソで遊んだ。








うずめ Eせいどうのおの +10

じん  Eたけのやり   +6

くまの Eどうのナイフ改 +12

ドラクエ風で言うと この位の攻撃力でしょうか?

うずめの装備はロマン武器の鉄扇も捨てがたいが 現実的には斧かな

ロリキャラの斧使いは多いからシャクだけど

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