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10話 蜂蜜と伊勢の名物

日清製粉のホームページによりますと、冒頭に出てくるパンは、弥生時代から食べられているらしい。


キリストが種なしタイプのパンを食べたかは定かではありませんが、ミサに行くと似た様な物がもらえます。

 熊野暦9月中旬


 俺と熊野一家の前の食卓には、見慣れない食べ物とお茶が置かれていた。お茶と言ってもタンポポの根っこを乾燥させて焼いてから煎じたもので、別名タンポポコーヒーとも言う。所謂戦時中の代用コーヒーだな。


 俺の親父が、昔の料理を再現すると言ってたまに作っていたっけな。


「これ 何です?」


メリケン(アメリカ)人 の食ってたちゅう パンを作って見たんだが……」


 パン? 何で? 奇をてらわず、すいとんとか作ればいいじゃない、戦時中の人なんだし……


 まあ、とりあえず食って見るか。


 それは味の無いスコーンと言うか南部せんべいと言うか、ゴワゴワしていて口の中水分が一気に持って行かれる。そんな感じの食べ物だった。


 種無しパンってこんな感じだったのかな? かのキリスト様も食べたと考えると感慨深い味だな。


「や~ 美味しくな~い」ちょ おまっ  


 あっ、天音さんに叩かれた。


「うずめ 思っていても 言っていい事と悪いことが有りますよ」いやいや、天音さんそれ自分も不味いと言ってるのと同じだからな。


 ほら熊野さん、うつむいて肩震わせてるよ、泣いてないだろうな。なんとかフォローせねば……


「蜂蜜とかかけると旨いんだろうけど……」


「おお、蜂蜜か」


 えっ? 有るの?


 聞いた話によると、農家の人が夏場出稼ぎ(狩猟)に行って、たまに持って帰って来るらしい。


「養蜂しましょうよ、養蜂」甘いものが食べれる、俺は興奮を隠せなかった。


 こういう転生物の話には養蜂は付き物だが、まさか出来るとはな。この前の馬のダメージが抜けていないらしい、人間諦め無い事が肝心だな。


 俺は猿田彦の所に、養蜂箱と手回し式の遠心分離機を依頼しに行った。


「おっ、旦那今日はどんな用件で?」


「こう言った物ってつくれるか?」と地面に絵を書き説明していった。


「まあ作れますよ、ちょっと待ってくだせぇ」そう猿田彦が言うと工房の裏手に有る端材置き場に行った。そして待つ事小一時間後ほぼ期待通りの物が出来上がった。


「たいした腕だ、天才との噂は伊達ではないな」


「やめてくだせぇ旦那、褒めても何も出ませんぜ」


「ありがとう、また何かあったら頼む」


 俺はそう言い代金代わりの熊野美人()を渡し猿田彦のもとを後にした。


 そして熊野さんの名代としてついて来た、天音さんを伴い熊野町から西にある狩猟時に使うと言う集落に向かう、広大な伊勢の森は気を抜くと迷いそうだ。


「今日はお仕事大丈夫なんですか?」


「ええ、たまにはうずめに任してみようと言う話になりまして」


 うずめに? 熊野さんも冒険するな。まあ仕事と言っても、簡単な祈祷と町の人のお悩み相談なんだけどな。うずめのお悩み相談なんて想像できないが……


「あら、あの子結構人気なんですよ」


「マジで? 相談されても うずめわかんな~いとか言いそうだよ?」


「なにやら毒気を抜かれるらしくて」うふふと笑い天音さんはそう言った。


「あ~納得、お悩み相談とは言え大半が愚痴だからな」


「そうなんですよ、の前なんか……」などと他愛の無い話をしていると、目的地が近づいてきた。


 天音さんもストレス溜まってるんだな、今日のハイキングも気分転換になってくれたかな?たまに は仕事に支障の無い程度に遊びに誘ってみるか。


 集落に付くとこれは姫様とか言いながら、集落の住人たちが仕事の手を止め集まってきた。天音さん人気物だな。普通に食卓を囲んだりして気にしていなかったが、この姉妹お姫さまだったのか、俺も姫様と呼んだ方がいいか?


「仁さん」と呼ばれたので俺はナイトの様に片膝をつき、こう言った。


「はっ姫様」


「もうっ、いつもの呼び方でいいです」そう言って少し怒った天音さんは可愛いかった。


 俺はおふざけもほどほどに、住人の案内でミツバチを採取して養蜂箱にお引越してもらった。この方法でミツバチが増やせるか解らないが、軌道に乗るようなら規模を拡大していきたいな。


 そして住人に今年とれた蜂蜜を少しもらい帰路についた。


 さあ蜂蜜を使って試作をしよう。

 目の前には小豆・米・小麦粉などの食材がならぶ、とりあえずおはぎは作れるな。普通に作っても面白くないから、こしあんを作るのは面倒だが、伊勢名物のアレの形にしよう。熊野さんの驚く顔も見てみたいしな。


 しかし、粘度のある蜂蜜であんを練ったら舌触りが悪くなるかな?濃度調整とかで 何とかするしかないな。


 よし、もう一品何か作ろう。


 それから2日の試行錯誤の末、ようやく試作品が出来た。


 俺は、熊野さん一家を食卓に集め、試食してもらうことにした。


「おお これは赤福か」いやいや見た目はそうだけど、それおはぎだからね。


 そうツッコミを入れる暇なく、熊野さんはひょいひょいと、赤福もどきを口にいれ感動に打ち震えていた。


「また、これが食べられる時が来るなんて……」


 あ~ 目に涙浮かべちゃってるよ、まあ味はそれっぽく作ったけどさ。これだけ感動されると料理人冥利につきるな。


「「美味しい~」」と天音さんとうずめも大満足だ。


「こっちも試食してくれないか?」俺はそう言いクッキーの様な物を取り出した。この前、熊野さんが作っていたパンを改良したものだ。


 生地にあんこと蜂蜜やバターなど(成分調整で牛脂と塩を少々)を、練り込み薄くして焼いたものだ。糖分を蜂蜜オンリーで作ったので少しねっとりしている。食感はカントリーマ○ーム見たいな、食感だと思ってほぼ間違いない。


 早速試食してみることにした。最初に芳醇なバターの香り、次にあんこのやさしい甘さが口に広がる。塩分が味を引きしめ全体の調和を保っていて、飲み込んだ後舌にかすかに蜂蜜の余韻を感じる。甘さは少し控えめだが、どこか牧歌的でなつかしい味がするな。


 俺はこのクッキーを「農村の母」と名付け、今後予定している井村屋の看板商品にしようと考えた。


 俺は熊野さん一家の反応が気になり目をやると、三人とも無言でクッキーをほお張っていた。やはり。甘い物には人を虜にする何かがあるな。


「これ、売れますかね?」


「ああ、絶対に売れる」と太鼓判をおされた。


 この後行なわれた熊野家家族会議にて、熊野領一帯に養蜂箱を設置することが決まった。


 なお今回作ったおはぎは、伊勢の名物として売られる事になった。今後もち米(古代米)を発見できれば、現在に有る赤福餅と同じクオリーティーに近づいていくだろう。


 醤油の生産が出来れば、伊勢うどんも作って行きたいと思う。



 おまけ 天野式バターの作り方


 用意する物

 竹の筒

 煮詰めた牛乳(生クリーム)

 うずめ


 1 まず竹の筒に煮詰めた牛乳を入れ蓋をする


「お~い、うずめこれ持って回ってくれないか」

「うん、いいよ~」


 2 うずめに持たせ手を伸ばした状態でバレリーナみたいにまわってもらう

 この際密閉されていれば持ち方は縦でも横でもいいが縦のほうが好ましい


「おに~ちゃん、まだ~」

「うん、もうすこし」

 などと会話し回り続けてもらう


 3 そして待つ事10分

 乳脂肪分 脱脂牛乳 ぐったりしたうずめ

 が出来上がる


 乳脂肪分を集めて固めるとバターの出上がり


 遠心分離出来れば良いので、泡だて器とかでも出来るな。



養蜂のくだりは良く見かけるためさらっと流しましたが、必要であれば追記します。


掛け合いを通してキャラを出しつつ、話を進めるのは難しいですね。

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