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第二話 契約の真実 前編

久し振りに描きましたよ……誤字脱字などがあったら感想で指摘してください

 まどろみの中で燃える家……燃える町、あの日の風景を思い出させるものばかり。それだけ俺が罪深いってことなのか。


 そして……燃える家の中にいるのは、父さんと母さん……そして俺の妹。皆外にいる俺に向かってあともおとも分からない呻き声を向けていた。


 もう嫌なんだ、もう見たくない、見たくないんだ……もう十分だろ。父さん……母さん……美那(ミナ)……ごめん……俺だけ逃げて、ごめん……ごめん。許してなんて言えないのは知ってる、でも……もう無理だよ。俺の……俺をそんな目で見ないで……。


「………っ!?……ハァ……ハァ……」


 俺はソファーの上で飛び跳ねるように起きた。喉の辺りを違和感を感じる、あまりの酸っぱい臭い(におい)に被っていた毛布に吐きそうになる。それを堪え急いで胃の中へと戻した。ふと額に軽く手を当ててみると、驚くほど量の汗をかいていた。自分の身に何が起こっているのか全く分からなかった。

 ……さっきのは夢か。こんな異常な夢を見るのは久しぶりだな。……いや、そんな事より……ここは何処なんだ?

 呼吸をゆっくり整えてから辺りを見回す。

 そこはメイティアの部屋よりも広く、壁や床の色は肌色に近い明るい色合いで、大きな窓から入って来る光もそれを強調していた。しかし内装はというと非常に質素で、大量の本(恐らく何かの資料や医学書だろう)が所狭しと詰められている本棚が三つに、大きな机と椅子が一組、それらから離れた位置に俺が寝ていたソファーがあるぐらいだった。正直言ってこの時の俺は何故か誰もいないことに安心していた。……ここが何処か分からないが、少なくとも安全な場所には違いない。そう考えていた時、突然囁くような声が聞こえた。


《……やっと起きたか。異世界の者はこちらと違う時間を生きているとは聞いていたが、まさか本当に違うとはな》


 驚いて辺りを見回してみるが誰もいない。さっきの夢の事もあってか、本当に自分は狂ってしまったんじゃないだろうなと嫌な考えが浮かんだ。

 ……いや待て、さっきの声は何処かで聞いたこと無いか?


《我の声が聞こえておらぬのか?》


 さっきの声だ。今度は耳を澄ませてどこから聞こえているのか探ってみる。どうやらそれは俺が付けている龍の頭を象った指輪から聞こえているようだった。……思い出した。確か、


「……ドラゴンなのか?」


《ふむ。どうやら聞こえているようだ》


 指輪の龍の口の部分をカチャカチャと鳴らしながら俺の問いに答える。正直まだ声だけの方が良かった。身に着けているものが自我を持ったように動き出すというのは怖すぎる。というか何故指輪が喋るんだ。……とまぁ色んな言葉が出てきそうだったが、それよりも聞くべきことがある。ここは何処かと

いう事だ。


「ドラゴン、ここは何処なんだ?」


《ここか?ここはソルマの診療所だ。貴様が倒れた後に、貴様の連れがここへと運んできたのだ》


 連れというのはメイティアの事か。ここが診療所と聞いてようやく肩の力を抜けたが、それでも何かおかしい様な気がした。俺の居る場所はどう見ても病室には見えない。


「本当に診療所なのか?」


《あぁ。空いていた病室は怪我人や家が燃えて無くなった奴らで埋まったようでな。それを聞いたあの女は、布だけでも充分だと言って貴様を物置小屋に一人で寝かせていたぞ》


 物置小屋?ここがか?俺にはそんな風には見えない。むしろ掃除がいきとどった綺麗な部屋にみえるんだが。


《それから三日……四日か。村の建物の修復が終わったらしく、病室にいた者どもも少なくなった。それであの女は物置にいる貴様を空いた部屋に移す事にし、ベッドの代わりにソファーを使い貴様を空いた資料室に寝かせた。その後は特に何もない》


 ……四日だって!?俺はそんなに眠っていたのか。……しかし資料室か。それにしては棚が少ないと思ったが、普通に考えて避難してきた人々の分のスペースを開ける為にどかしたんだろう。そんな事を考えていると部屋のドアが開いた。入ってきたのはメイティアだった。彼女は俺を見ると驚いた顔をこしてっちに駆け寄ってきた。


「……大丈夫か?痛みとかは無いか?」


「うん。俺は大丈夫だよ。ありがとう」


「いいさ。……ただ眠っている間ずっとうなされていたみたいだったな。何か変な物でも見たか?」


 ……眠っている間ずっとか。記憶にはないが、四日間ずっとアレを見ていたのだろう。……考えただけでも嫌だな。この事はメイティアには言いたくないし。


「ううん、そんなんじゃないよ。ただ打ち身が苦しかっただけ……だと思う」


 俺がそう言うと彼女は「そうか」と答えて俺の額に手を当ててきた。別に熱とかは無いと思うけど。


「……大丈夫そうだな」


 俺の額から手を離すと机の上にあった本を手に取り、俺に話しかけてきた。


「早速だが聞きたいことがある。お前は魔物と契約したのか?」


 魔物?もしかしてドラゴンの事か?


「ドラゴンの事?」


 俺がそう答えると彼女は驚き、持っていた本のページを乱暴に捲った。そしてその手を止めると本を俺に見せてきた。……もちろん何が書かれているのかはわからないが、そのページの右に紋章のような物が描かれているのはわかった。だがそれと俺にどういう関係があるのかはわからない。


魔力炉(エーテルリアクター)は?お前の身体のどこにある?」


 リアクターってなんだ?そう聞こうとしたが、彼女が俺の右腕に掴みかかってきたことに驚いて、聞くことが出来なかった。彼女は本と俺の右手の甲を睨むように見比べると、大きな溜め息をついて俺に言ってきた。


「これが何故お前に……。少し待っていろ」


 そう言って俺の手を離すと駆け足で部屋から出て行った。……一体何の事だ?俺はどうなってしまったんだ?俺の右手には何があるんだ?


《……行ったか。恐らくあの女、我に気付いているのだろう》


「……ドラゴン、教えてくれよ。俺に何が起きているんだ?メイティアは俺に何を隠しているんだ?」


《我等の契約の事だろう。……今は知らなくて良い》


「どうしてだ?俺に悪い事なのか?」


《……古よりの盟約ゆえにだ。我等「幽世(かくりよ)」の者達が貴様ら「現世(うつしよ)」の者に契約の内容を教えることは出来ん》


 幽世……。祖父から聞いたことがある。そこは神々が訪れる場所で、永遠に変わることが無い世界だという。……つまりドラゴンはそこに……。


《……その事はあの女に聞くがよい。あの女なら我の代わりに貴様に伝えられる》


「わかった。でも一つだけ約束してくれ」


《……なんだ?》


「契約がどんなものであろうと、俺の力になってくれ。俺が元の世界に戻るための力に……」


《いいだろう。何があろうとそれだけは守ろう》


 俺はソファーに寝転んでメイティアを待つことにした。……俺とドラゴンの契約がどんなものであったとしても、俺は必ずあの世界に帰らなくちゃならないんだ。あの世界には待ってくれている人がいるんだ。

 そんな事を考えていたが、次第に眠気がやってきて俺はいつの間にか寝てしまった。

文章の書き方がわからなくなってきた

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