第一話 龍の魔女 part2
勢いで書いちゃいました。フルボトルを振りながらやると作業が進むんだ。
………ふぅ。久しぶりに結構食べたな。シチューなんてもう何年も食べてなかったけど、こんなおいしかったんだな……。おっと口の周りに付いてるな………んむぅ……カボチャクリームがいい感じに甘い!
「その反応、どうやら気にいってくれたようだな。そのカボチャは近くの村の特産品なんだ。少し時間が経ったものを使っているが、さほど問題は無いだろう」
「特産品!?そんな結構しそう物を俺みたいな奴にくれちゃっていいのかよ?」
「別にいいさ。それは元々貰い物だったんだが余ってしまった物でな。腐る前に何かに使おうと思っていた所だったんだ。まだ鍋に残っているからどんどん食べて早く空にしてくれ。出ていく前に洗いたい」
「じゃあお言葉に甘えて!俺もまだ腹が膨れてないしな」
・・・・・・食事が終わり、俺はメイティアと一緒に食器や鍋を洗った。彼女は「別にやらなくていい」って言ってたけど、流石にこんだけ世話になってるんだから少しくらい手伝わないとな。その後は少し話してから、モノリスに向けて出発することになった。
小屋の外へ出ると周りには木々が深く生い茂っていた。日の光に照らされて木々は輝きながら、小刻みに揺れている。ふと故郷の森山の景色を思い出した。もう桜の花は全部散ってしまっただろうか?………遠くからか?潮の匂いが風に乗って伝わってきた。
「すぅ…………はぁ~~。やっぱり森の中って良いよなぁ。それと近くに海があるだろ。良い場所だな」
「そう言ってくれると嬉しいが、そんなにいい場所じゃあない。ここは森のモノリスとソルマの間にある村なんだが、魔物たちの住み家でな。あそこでいつもビクビクしながら生活している」
魔物ってド〇クエでいうスライムみたいな奴なのか?まぁそれでも十分怖いよな…………じゃあなんでわざわざこんな危険な場所にいるんだろうか………?
「メイティアはどうしてここに?」
「この地のモノリスの研究のためさ。私の一族は昔から……それこそ神話の時代ずっとあれを調べて守り続けてきた」
「そうか。それはそうとメイティア、俺って帰れるのか?」
「……帰れるといえば帰れるが………だが無数にある異世界の中から探すとなると時間はかかるぞ」
「かかるってどれ位?」
「……下手すればお前の一生を使っても見つからんかもな」
「…………そんな!さっき絞り込んだって!」
「言ったぞ。だが見つけられるとは言っていない。それほど同じ条件の世界が多いんだ」
「……嘘だろ」
あまりにも衝撃的な言葉に足が止まってしまった。俺は………ただ帰りたいだけなのに、あの場所に帰らなくちゃいけないのに。
「……だが物は試しだ。とりあえず動かしてみよう。すぐに見つかるかもしれない」
「…わかった!もしもなんて今考えている時じゃない。急ごう!」
メイティアを追い抜いて森の奥へと走って行く。今の俺にとって一秒すら惜しいものだった。
「あぁ。だが先行するのは私だ。この森にはモンスター……」
「何…………うわぁっ!!!」
俺の足元が突然崩れた。咄嗟に淵を掴むことで底に落ちずに済んだが、下を見れば何本もの杭が俺の方に先を突き付けていた。
「あっぶねぇ……」
「だから私が先に行くと言ったはずだ。なぜあの見え見えな罠に引っかかる」
「………見えてたの?」
「見えてたというよりも、長年の経験さ。地面より盛っていて特殊な臭いがしているんだからな」
「あぁ……そういえば確かに……。でも言わなきゃわからないよ!」
「なら大人しく私の後に付いてこい。そうすれば何も問題は無いだろう?」
……はい。正論です。軽率な行動を取って本当にすみませんでした。…………でもメイティアって思っていたより姉御肌なんだな。……いやどちらかというと兄貴肌か?
「何か言ったか?」
何でもないです。何も考えてないです。
太陽が俺達の真上に来た頃、やっとの思いでモノリスに着いた。周りには俺のリュックの中身が散らばっていた。………だがその前に、
「これだ。俺があの時見たのはこれなんだ!」
「……やはりそういう事か。試してみる」
メイティアは両手を付けて目を閉じる。……だが何も起きない。
「…………」
「…どうだメイティア?」
「駄目だ。全く反応しない。………あの日からずっと力を失ったままだ。やはり一部が欠けてしまったから か」
……なんてことだ……。モノリスに辿り着いたのはよかったが、まさか動かないなんて。
「………荷物だけでも持っていこう。メイティアも探すの手伝って」
「わかった。………力になれなくてすまない。…………いや、まだ手はあるか?」
「あるって?」
「モノリスは全てで十個。世界中に散らばって存在している。それを使えば……だがあまりにも遠すぎる」
「……遠くたっていい。何年かかってでも帰ってやる」
「………そう……か」
………どれくらいかかるかはわからないけど……どんな道であろうと俺は………。
「……これもカケルのか?」
………するとメイティアは(カッコイイ)模様が付いた宝石を俺に見せてきた。俺のじゃないとはわかっているが。
「それは……俺のだったかな」
欲しくなって嘘を言ってしまった。……あれぇ?いつもなら嘘なんて言わないのに。
「よし、それでもう全部だな。ソルマに行こう」
少し不思議に思いながら俺はこの場所を後にした。
ソルマへと向かう間、俺はメイティアに村の事を聞いていた。
「………なぁなぁ。ソルマってどんな村なんだ?」
「ソルマか?あそこは小さな漁村だ。カボチャと干物で有名だが、良い釣り場がある場所としても知られている」
釣りかぁ………。爺ちゃんが入院して以来長くやってないよなぁ。……久しぶりにやってみるか。
「だったら釣りをやってみたいな。俺釣りすんの好きだからさ。良い釣り具のお店とか知ってる?」
「知ってるぞ。村に着いたら教え………」
突然メイティアの足が止まった。そして周りを見回して小さな声で話しかけてきた。
「何か匂わないか?………何かが燃えている匂いだ。森の中じゃない」
そう言われると………確かに、何かが広範囲に燃えている匂いだ。風向きは変わっていないから……海の方からか?
「今日は祭りごとなど無いはず。……まさか、村で何かあったのか!?カケル!走って付いてこい!」
村だって?………何か嫌な予感がする!!
「……もうそろそろ着くはずだ!しっかりしろ!」
「……ハァ…ハァ……なっ!?」
……森を抜けた俺たちの目に飛び込んできたのは………燃えたソルマの村だった。
感想をお願いします!………それにしても遊戯王の再放送のopのラスト、汗ベイベェにしか聞こえん。