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第六話 初めての場所 


いやぁ遅れました!文法も何だか滅茶苦茶になっていますが、後から修正することにしましょう(コラコラ……


 出発してから半日が経っただろうか。俺達三人は照りつける陽の光に体力を奪われ、だらしなく姿勢を崩していた。

 ふと今はどこにいるのだろうかと思い、抱えていた膝を離して、船から身を乗り出して進路の方を見る。島からは小さく見えていたアルナイルの街がはっきりと見えていた。人の集まる港町らしく、住民しかいないあの島とは違って、多くの船乗りや冒険者やらで賑わっていている(と勝手に思っている。ファンタジーが好きな俺だが、流石に見た目だけで判断は出来ない。ひょっとしたら違うかもしれないしね)。当たり前にある船や市場の他に、木や石で出来た大きな建物がいくつも並んでいるのが分かる。


「おぉ!もうそろそろ着くが、お前ら大丈夫か?」


 アトレと呼ばれていた男は、バテた俺達を見てか、心配そうに話しかけてきた。……いや、俺からすればアンタ達の方が心配だよ。こんな暑い日差しを受けてるのに、飲まず食わずでよくやってるよ。そう思って彼を見ていると、彼は俺の考えが分かったのか大きく笑い、こう言ってきた。


「俺達か?普段からこっちに遊びに来ているからなぁ、これくらいの距離は楽なもんさ」


「ほぇー、流石だなぁ……。メイティア、エンデ。早く起きて。もうそろそろ着くぞ」


 俺は(うずくま)っていた二人の肩をそっと揺らした。しかしその反応は鈍い。特にメイティアは船酔いしたのか顔色が悪く、口元を押さえながら小さな声で話していた。


「むっ………むぅ、もうか。すまないが、少し気分が悪い。放っておいてくれないか……」


「メイティア……。吐いて楽になった方が良いんじゃ……」


「……やめろ。旅の初日に吐くなど、とてもじゃないが死にたくなる。大丈夫だ……うっ」


 青くなった顔を見せながら吐き出すような声で答えると再び(うずくま)った。俺もこれ以上は危険だと思い、すぐに彼女の肩から手を話した。そんな俺達を見て、エンデが小さな笑いと共に呆れたように言ってきた。


「……。最高の旅立ちだな」


「お前……アメリカ人みたいな事を言うなぁ。まぁ、それもそうか」


 俺は腰を下ろした。アルナイルにはもうすぐ着く。今まで喋らなかったボルガが舟を漕ぐ手を止めて、メイティアに話しかけた。


「メイティア、俺の知り合いに、ドレイクという元教団騎士の情報屋がいるんだ。そいつは飲んだくれの屑野郎だが、もし聞きたいことがあるなら俺の名前を出せ。多分タダで教えてくれるかもしれんな」


「情報屋……か。助かる」


「そうか。じゃあ、元気にな!絶対に帰ってこいよ!」


 ボルガはそう言って再び舟を漕ぎはじめた。あれだけ遠くに見えたこの町も、今では逆に向こうが手を遠く見える。俺達の舟は遂に着陸したのだ。あの苦しみから解放されたことに喜び、勢いよく立ち上がると体が悲鳴を上げた。間違いなく同じ姿勢で居続けたせいだな。俺は腰を(さす)りながら、俺以上に辛そうな顔をしているメイティアに話しかけた。


「メイティア、大丈夫か?」


 彼女も同じように体の痛みを感じているらしい。俺は彼女の肩を支えて、刺激を与えないよう舟からゆっくりと降りた。エンデも少しふらついた足取りであったが、何事も無さそうだ。


「うぐっ……大丈夫だ。陸に上がって少し楽になった」


「少し風に当たった方がいいって」


「いや、本当に大丈夫だ」


 俺の手を肩から外して一人で歩き出したが、その足取りは酔っぱらいそのもの。遂には海面に倒れこんで、そのまま胃の中の物を全て戻してしまった。……あまりにも最悪な始まりに俺達は顔を歪めるが、次に見えた彼女の鬼の形相に一同は背筋が震えあがり、その場の空気を換えるためにエンデは重い口を開けた。


「そうだ、腹も減ったし食事を取らないか?勿論、情報屋を探すついでにだが……」


 こんな死を一番感じる状況でアレだが、俺の腹は『食事』という言葉を聞いた瞬間に大きく鳴った。それを聞いて二人の辛そうな表情は消し飛び、大きな笑顔に変わった。しかし、出した方の俺はあまりの恥ずかしさに掠れた笑い声が出る。人に腹の音を聞かれるのはなんだか、小さな子供っぽくて本当に恥ずかしくなる。


「あぁ……い、いいよ!それでいい!メイティアもそれでいいよな?なっ?」


「ふっ、そうだな。私も喉が乾いているし、少しくらい休みも欲しいしな」


 二人は笑みを浮かべたまま答えると、港の階段を登って行った。俺は額の汗を拭い気分を落ち着かせようと思ったが、知らない場所に来るというのはやっぱり心が(おど)る。それが異世界なら尚更、心が子供に戻ったようになる。


「すぅ………はぁ……。っしゃあっ!」


 俺は大きく深呼吸をして二人の後を追うように階段を駆け上がった。目の前に広がっていたのは、俺の思い描いていた幻想の世界そのものだった。行きかいする人々はそれぞれ違った服装、違った表情をしていて、普通の人の他に猫や狐の耳を持っている人や、トカゲや魚のように鱗が生えた人もいる。中でも一番多いのは猫耳だ。きょろきょろと周りを見回す俺の姿は、ここに来る前に言っていた田舎者そのものだった。


「カケルどうしたんだ?猫獣人(シャトー)兎獣人ラパーニャをそんなにじろじろと見て」


「あ、いや、その。……俺の世界には動物の耳をした人間なんてゲームとかしかいなかったし、それにまさかこの世界にいるとは思わなくて」


 俺がそう話すと彼女は考えるように顎を抑えて、思い出したように鞄から本を取り出した。そしてペラペラと捲る。


「……ふむ、お前の世界には獣人はいないのか。成る程、では私からこの世界の種族について説明しよう。エンデ、私達は話ながらゆっくり行くから、お前はどこか食べられる場所を探していてくれ」


「分かった。じゃあ見つかったら戻ってくる」


 そう言い残して、奥の方へと走っていく。正直ここに来たばかりなのに大丈夫かと思ったが、彼なら大丈夫だろう思いそのまま話を続けることにした。


「そうだな。獣人達の話をする前に、まずは私達人間について話そうか。人間は大きく分けて、私のようなホミニアン、魔法と知識に優れたエルフ、筋肉が発達し運動に秀でるオークの三種類だ。ホミニアンにはこれといった長所が無いが、両者の中間の能力を持ち、また耳が丸い。……これで分かったな」


 話を聞きながら道行く人達の姿を見ていると、確かに耳が長い人や兎の耳をしている人がいる。へぇ……、本当にエルフがいるんだ。でもまさかオークが人間として扱われているなんて思わなかったな。だってオークといえば、豚とか猪の顔をしたモンスターのイメージだし、獣人に含まれているのかなって思っていたからな。


「じゃあ獣人は?」


「獣人は………はっきり言って多すぎる。大きく分けて、獣の特性を持つベスティア、蜥蜴(とかげ)やドラゴンの性質を持つドラゴノイド、魚や海獣の特徴を持つマーマンだな。他にも虫とかいるが、それについて話をしなくてもいいだろう」


 それくらいいるのか。異世界ってやっぱりスゲェ……。感動に浸る俺であったが、メイティアは続けてこう言ってきた。


「それと最後に、あまり連中を刺激するなよ。獣人は人間に比べて待遇が悪いからな。因縁を付けられるぞ」


「待遇が悪い?」


「獣人は人間よりも社会的な地位が低いんだ。人間の中にはそれを良いことに、奴隷として売り飛ばす(やから)もいる。だから獣人達は人間を良く思っていない」


 奴隷……。やっぱり世の中良いことばかりじゃないのか。はぁ、俺のテンションも下がるなぁ。そんな風に芸人みたいなリアクションをしていると、周りの視線が俺に集まってきた。やッべぇ……俺はまた恥ずかしくなって頭を下げた。


「おーい!二人共、こっちの店なんてどうだ」


 その声を聞いた時の安心感は凄まじく、俺は思わず突進して泣きついた。勿論もっと注目されたが、周りの目がさっきの面白そうなものを見る目じゃ無くなったから大丈夫だろう。一方で抱きつかれているエンデは戸惑っていたが、追いかけてきたメイティアに俺が引き剥がされる形で解放されると、大きくため息を吐いた。

 話は代わって食事の事だが、エンデが見つけてくれたお店は木造りの二階建てで、玄関の上には大きな木の看板で多分だけど店の名前が書いてある。そして何よりも扉から(かす)かに漏れる肉の焼ける匂い!たまらなくなってきた!


「思っていたよりも早く見つけられて良かった。じゃあ早速入ろうか」


 木の両扉を開けて中に入った途端、様々な物が匂いが鼻を満たす。中では多くの客が食事を取りながら談笑をしていたり、まだこんな時間だというのに酒を飲んでいたりと自由に過ごしていた。


「ここの店はどんなシステムなのだろうか?」


 頼りになるメイティアも、流石に初めて来た店でどうすれば良いのか分からず、しばらく入り口に突っ立っていたところ、空いたの席の片付けをしていた店員らしき女の子が俺達に気付いた。

 彼女は近くの席に皿二十枚程を分けて置くとこちらに駆け寄ってきて、。


「いらっしゃいませぇ!実家のような安心感!酒場アメフラシにようこそ!」


 褐色の肌と尖った耳、銀色に輝く髪とべっこう飴のように澄んだ金色の目を持つ少女は俺達ににっこりとほほ笑み、いつもやっているような口調で接客してきた。そして口元に手を当てて俺達の顔をじっと見て、こう問いかけてきた。


「おにーさん達見ない顔だねー。ひょっとしてここに来るのは初めて?」


「うん。あ、ごめんメイティア。勝手に答えちゃって」


「別にいい。そのまま続けろ」


「そっか、初めてのお客さんなんだねー。じゃあまずは好きな席に座ってね。もちろん空いた席だよ」


 そう言うと彼女は置いていた皿を一つにまとめ、慣れた手つきで両手に納めると、そのタワーを揺らすこともなく厨房の奥へと行った。ここに来て驚きの連続だったが、今起こったことはそれ以上に驚かされた。

 俺達は皆口を開けて呆然としたが、また鳴った俺の腹ではっと意識が戻る。メイティアがとりあえずと刺した席に腰を下ろすと、全員今までの疲れが来たのか、体を大きく伸ばして大きな欠伸(あくび)が出た。


「それじゃあ……。何か食べよっか?」



詳しい種族の設定は後程掲載させていただきます!

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