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部室に着いた三人は、それぞれの武器を片付けると、椅子にもたれてお茶を飲み始めた。
梨宇洲が一息つく。
「ふぅ、いやぁ疲れたねぇ。二人ともホントお疲れさん」
光太郎がそれに答える。
「お疲れ様です。魔術の迫力、圧倒されました」
「陣形も連携もしっかりしてたから、ちゃんと詠唱できたよ」
ソニアが横から口を入れる。
「その魔術に見惚れて、一瞬隙を作ったけれどね…」
光太郎は痛いところを突かれ、ぐうの音もでない。
梨宇洲が笑顔で間に入る。
「まぁまぁ、それにしても光太郎君の成長は早いよ。もう初心者用ダンジョンを卒業してもいいと思うねぇ」
光太郎は嬉々として顔を上げる。
「ホントですか!」
「うん、今度は次のレベルのダンジョンにでも挑戦しようかねぇ」
光太郎はガッツポーズをとる。
「今日は疲れたし、一服したらもう解散しようねぇ」
二人は頷いてお茶を啜った。
それから三人は部室を後にした。
帰り道、光太郎とソニアは夕方の歩道を並んで歩いていた。
光太郎がソニアに話しかける。
「今日は、僕も成長を実感したよ。剣が軽くなったように感じたよ」
ソニアが前を向いたまま答える。
「そう、それはよかったわね」
ソニアは素っ気なく言い捨てた。
そう言ってから言葉を続けた。
「ただ、敵を倒した後も周囲への警戒を怠らないことね」
「うん、わかってる」
光太郎は叱られた気がして、少ししゅんとした。
その後、二人は黙って歩き続けた。
別れ道に着いて、ソニアは口を開く。
「それじゃ、さよなら」
「うん、また明日」
光太郎が身を翻して帰ろうとした時、背中に声を掛けられる。
「まぁ、それなりに成長したと思うわよ。前世の記憶、戻るといいわね」
光太郎は振り返って、返事をする。
「あ、ありがとう」
ソニアは片手を振って去って行った。
光太郎はにこにこと笑みながら家路についた。




