表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/31

02

―ぽすっ。

「ん?」

光太郎の腹部に、なにかふわふわしたものが当たった。

光太郎が下を向くと、赤い長髪をたなびかせている小さな頭があった。

光太郎は少し困ったように、首を傾げて鼻をぽりぽりと掻いた。

よく見れば、イディアール学園の制服を着た、小柄少女だということがわかった。

「あのぉ、もし?大丈夫ですか」

光太郎が声をかけると、のそっとその赤髪の頭が光太郎を見上げた。

真っ赤な瞳が呆然と光太郎を見つめる。

「――ッ!」

にわかにその黄色い瞳が殺気を帯び、バッと光太郎から離れた。

余りの迫力と、その動作の速さに光太郎はぽかんと口を開けて突っ立ているだけだった。

光太郎から離れた、赤髪の少女は、訝し気な目で光太郎を足元から頭で、じろじろと見てやった。

それから、おずおずと口を開いた。

「あなた、なんともないの?」

光太郎は、一瞬なんのことかわからなかったが、間を置いてから、きっとぶつかったことに対して言っているのだと思った。

「大丈夫ですよ、あんなのぶつかった内に入らないですよ」

赤髪の少女はその答えを聞いてもまだ不満そうに光太郎を見つめている。

光太郎も、その視線に気圧されて、口を噤んで俯いてしまう。

暫くしてから、赤髪の少女は、

「フンっ」と鼻を鳴らして視線を外した。

それから、バサッと体を翻して、すたすたと去って行った。

光太郎は呆然とその後ろ姿を見て立ち尽くしていた。

「なんだったんだ一体…」

再び歩き始めた光太郎はふと思った。

「あの眼、どこかで見たような…」

光太郎は首を傾げ、顎に手を当てる。

「…そんなわけないか」

ぶつくさ言いながら、光太郎も学校へと向かい歩き始めた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ