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バスが学校に着いてもまだソニアはまだ寝ていた。

光太郎が起こそうとして体を揺する。

「おい、ソニア。もう学校に着いたぞ。起きろ」

ゆさゆさと何回も揺する。

ソニアに少し反応があった。

「…むにゃ」

光太郎は揺さぶりを強めにして繰り返した。

「おい、もう皆バス降りたぞ。起きろ」

ソニアの目がパチリと開かれる。

突して、ソニアは光太郎の手を振り払い、後退った。

ソニアの眼は瞳孔が開き、鬼気迫る迫力を出している。

光太郎は、その迫力に気圧されて、後退る。

「あ、ごめん。触られるの嫌だった?ホントごめん」

ソニアは獰猛な動物のように殺気立っている。

「あなた、なんともなかったの?」

光太郎は質問の意味がよくわからなったが、取り敢えず答えた。

「え、いや、僕はなんともないけど」

ソニアはその言葉を聞くとはぁっと大きく息を吐いて、肩を下ろした。

さっきまでの迫力は無くなっている。

「ならいいんだけど。勝手に女子の身体に触るのは良くないわよ」

「ホントごめん…」

光太郎は謝りつつも、思う所があった。

――それにしても過剰な反応だと思う…。初めて出会った時も、ぶつかった相手の僕を尋常じゃなく心配していたし…。どういうことなんだろうか…。

ソニアは席から立ち上がる。

「ほら、降りましょう」

「あ、あぁそうだね」

二人はバスを降りた。最後の二人だった。


解散後、光太郎とソニアは帰路についた。

さっきのことがあってから二人の間には重い空気が満ちていた。

夕方の歩道を二人は無口で歩く。

二人ともそれぞれ、深く思惟している様子だった。

周りには同じく家路についている生徒たちがちらほら見えた。

光太郎はやっとの思いで言葉を発した。

「ボブスレー、楽しかったね」

ソニアはそわそわと落ち着きなく答える。

「そ、そうね。楽しかったわね」

話はそれ以上伸びず、ぴたりと終わってしまった。

二人はまた沈黙しながら歩く。

光太郎は思う。

――明日になれば、元の空気に戻っているだろう…。

二人は黙ったまま、別れ道に着いた。

「それじゃ、また明日」

光太郎は立ち止まって、ソニアに軽く手を振る。

「ええ、それじゃ」

ソニアは手を上げてそれに答えた。

夕陽に照らされる中、二人は別れた。


その夜、光太郎はなかなか寝付けづにいた。

――やっぱり軽々しく体を触った僕が悪かったのかなぁ。

光太郎はふと、小学生時分のある事件を思い出した。

それは小学生の光太郎が何か劇の練習で、女子の髪の毛を触った時のことだった。

その女子は、光太郎に触られた途端、大声で泣き始め、光太郎はクラスの女子から大顰蹙を買ったのだった。

光太郎はその思い出と照らし合わせて、今日のソニアとの出来事を考えた。

「やっぱ男子に触られたのが嫌だったんだな…きっとそれだけの事なんだろうな」

光太郎はそう結論を出して、反省した。

――明日、もう一度謝っておこうかな。いや、逆にしつこくて駄目か。

光太郎は悶々と思いを巡らして、布団の上を転がりまわる。

そうしているうちに段々と眠けがやってきて、光太郎はガクリと眠りに落ちた。



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