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翌日、一年生はレクリェーションの一環として、行楽地への遠足が行われた。
近場の山の中腹にある公園が目的地だった。
朝、学校に貸し切りのバスが数台やってくる。
それぞれのクラスで整列をしてから、バスに乗って行く。
一組担任の近藤翔子が声を張り上げて、騒ぐ生徒を静める。
光太郎も、列の流れに乗ってバスに乗る。
「えぇと、僕の席は…ここか」
光太郎は自分の席を見つけ、どかっとその席に座った。
「―あ」
光太郎のすぐ隣から、素っ頓狂な声が上がった。
「え?」
光太郎も声をあげて、振り向くと、隣にはソニアが座っていた。
ソニアは文庫本を開いて、ぽかんと光太郎の顔を見つめている。
「なんでアンタが隣なのよ…」
「いや、知らないよ…、近藤先生が決めたことだろう」
ソニアはつんと顔を反らす。
「ふん、あっそ。私、ずっと本読んでるから話しかけないでね」
そう言ってまた本に目を落とす。
「バスん中で読んでたら、絶対酔うぞ」
「そんなのだいじょうぶよ」
ソニアは光太郎の忠告に耳を貸さず、読書に集中しはじめた。
数分後、ソニアは青白い顔になっていた。
本は片付けられ、項垂れて、息が荒い。
はぁはぁ言いながら、冷や汗をかいている。
光太郎は、いわんこっちゃないといった風な顔つきでソニアを見る。
光太郎はソニアにそっとガムを一枚渡した。
「これ噛んでさ、外の景色でも見てなよ」
げっそりとした顔つきになったソニアは、それを受け取る。
「…ありがとう」
と、消え入るような声で答えた。
それから、ガムを噛みながら窓の外を眺めはじめた。
手持無沙汰になった光太郎も外の景色をぼんやりと眺める。
――元ドラゴンでも、転生したらただの女の子なのかな…。
光太郎はひいひい言っているソニアをちらりと見て思った。




