8話:英雄の予言
違法薬と、圧倒的な力で支配された小さな村。
今では極悪非道な男、ファナンが王として君臨する地獄の王国と化している。
高い木の柵で村は囲まれ、外部から中の様子が見えないように遮断されており。
完全に外部と隔離されたこの村は、大きな外壁で囲まれたラティーバを彷彿とさせた。
国民と呼ばれる元村人達はあの日からずっと。
絶望の苦汁をすすり、覚めない悪夢に蝕まれ続けていた・
「……ぅ、……」
「ほぉ……。あれだけ痛めつけられてまだ息があるのかい?」
本来であれば、人が住む村なら当たり前のように存在する民家は無く。
強制労働を強いる生産工場、村人達を収容する狭く不衛生な建物、非人道的な行為が行われる小屋。
拷問と牢屋を兼ね備えたファナンの屋敷。
「やれやれ。馬鹿な真似してくれちゃってさぁ……。お前は他の国民達よりも優秀だったんだけどねぇ。こういう結果になってしまったのは本当に残念だよ」
「……ぐ、ぐ、ぅ……」
そして。
村の中心に、それは村人達への戒めとして用意された処刑場がある。
普段、処刑場であるこの質素な壇上には太い鉄棒だけが存在する。
だが、今は――――
「あっはっはっはっ! 今更、この僕にそんな態度をとるのかい? ただもう遅いっ! あの歴戦の戦士と謳われた”ジェイド・マクター”ともあろう男が、僕に媚びへつらう姿は実に愉快だったよっ!」
「っ、ぐ、ぎ……っ」
鉄棒に両手を回され、手錠で拘束され。
口は布で縛られ。
木を食いしばった状態で固定され。
もう怨みつらみを吐く事すら許されない。
「……うぅっ、ぐ、う、う……っ!!」
のしかかる怒りに膝をつき、年齢に反したその溢れんばかりの筋肉質な身体にはいくつもの傷跡が。
今では他の奴隷達と同じようにボロ布一枚だけを身につけ、不衛生な白い長髪の隙間から血走った眼差しでファナンを見下ろす老人がいた。
セラの祖父、ジェイド・マクターである。
「あはは、まるで猛獣だなぁ。食い殺されそうで恐いよ~。マクター……。でも、お前は他の国民達よりも優れた人材だった。本当によく今まで僕の為に働いてくれたね」
ファナンが引き連れてきた手下達は、まるで見世物小屋を見物するかのように壇上を囲み。
ジェイドの哀れな姿に先程から静かな笑い声が飛び交っていた。
「ひゃっはっはっ、もう虫の息でだぜあのジジイ!」
「そりゃぁなぁ? あんだけ痛めつけりゃ流石にもう立つだけで精一杯だろうよ!」
「へっへっ、違ぇねぇ!」
「ふへっ、処刑が始まるのが待ち遠しいぜ! あのジジイの死ぬ瞬間が早く見たくてしょうがねぇ!」
先程から、あくまで殺さない程度に手下達によって暴行が繰り広げられていたのだ。
そして身体中が傷だらけとなった無残な姿を村の中心で晒し続けていた。
「……ぐ、っ、」
身体や口は拘束され、度重なる暴力によってジェイドはすっかり衰弱していしまっていた。
他の村人達に対する見せしめとして、ただ公開処刑を待ち続けるしかできない。
それでも――――
「が、ぁ、ぁ、ぁ……ッ!!!!!」
ファナンを目の前にすると尋常でない殺意の眼差しを放ち、何度も手錠を荒々しく鉄棒にぶつけていく。
殺してやる。
ジェイドは焦がれる程の怒りと、ドス黒い復讐心に包まれていた。
「が、ぁ、あああああああッ!!!!!」
だが頑丈な手錠がその程度で壊れるはずもない。
虚しく響く金属音とジェイドの咆哮。
その様を見て、ファナンは愉快だとばかりに性根の腐った笑みでジェイドの変わり果てた姿を嘲笑う。
「あっはっはっはっ! まったくタフなジジイだっ!」
悪意に満ちた表情で。
ファナンはジェイドの元へとゆっくりと足を進め、その途中で右手をかざすと素早く手下の一人が鞭を手渡す。
そして鞭を手に入れると軽やかに壇上の階段を上がっていき。
「――――往生際が悪いぞ、マクター」
鞭はしなやかに風を切り。
拘束されて身動きの取れない老体へと容赦なく強烈な音をあげた。
「ぁぁあああッ!!!!!」
壇上に血飛沫が舞う。
惨い絶叫が周囲の者達の背筋をゾクッとさせ、歪んだ快感を生ませていく。
傷だらけの老体が更に肉を抉られ、大量の血を流させて膝を崩させる。
「……ふぅ、少しは静かになってくれたみたいだね」
痙攣して白目を剥くジェイドの頭を踏みつけ、ファナンは満足そうに鞭を壇上の下へと放り投げ、自分の足元に不気味な視線を向ける。
「おいおい、お前はこの程度で意識を失うような男じゃないだろ? ……ほら、早く起きろよ。せっかく僕がこんなに近づいてやってるんだ。僕を殺すチャンスじゃないのかい?」
ファナンは必要以上に何度もジェイドの頭を踏みつけ、歴戦の戦士でさえ自分には敵わない事に愉悦が込み上がり、快楽に包まれた笑い声をあげていく。
「あっはっはっはっはっはぁっ!!!!!」
公開処刑が行われる時間まで、手下達に散々痛めつけられていたジェイドはもう限界が近づいていた。
もう抵抗する気力や体力も残されていない。
と、思われていたが。
「……あぁん? ――――なにぃッ!?」
突如けたたましい老人の叫び声と共に、ファナンの足が浮かぶ。
「うがぁああああああッ!!!!!」
「――――お、おいッ!? ぅ、うひぁぁあああああああッ」
ジェイドは溢れんばかりの力を振り絞り。
顔を必死に突き上げ、何とファナンを壇上の下へと振り落としたのだ。
情けない叫び声をあげて地面で苦しむファナンと、目を疑って唖然としてしまう手下達。
「……はぁっ!? まだあんな体力残ってたのかよ!?」
「し、死に損ないのジジイのクセに……っ!!」
「お、おい……っ! それより俺達の王が……っ!!」
「そ、そうだっ!?」
まさかの事態に周囲は慌しく驚愕の言葉を並べ、王の身を案じてファナンの元へと集結していく。
頭を押さえて苦痛で表情を歪め、衣類を砂まみれにしたファナンが手下達に心配そうに囲まれる中。
「って、痛てて……ふざけやがってッ!!!」
すぐにファナンは立ち上がり、砂まみれの研究衣を払う事なく眉間にシワを寄せて足早に壇上へと上がっていく。
「ぐ……う……っ」
その間、ジェイドは壇上の上で横たわりながら階段を上がってくるファナンを恨めしそうに睨んでいた。
「随分と……ふざけた真似をしてくれたなぁ……っ!!」
ジェイドの無駄な足掻きに肩を震わせて怒りに満ちていたファナンだったが。
「……あはっ」
眼鏡のズレを修正しながら、何やら笑顔を取り戻して冷静にジェイドの元にしゃがみだす。
そして。
最もジェイドが苦しむであろう手段に移る。
「あはは……マクター。君の考えとしてはこうだろう?」
その声はとても優しく静かなもので。
だが、その中身はジェイドの身の毛が凍るような恐ろしいものとなる。
「大事な孫娘が逃げ出せた今、自分はもうどうなろうと構わない……。だからこの僕にそんな態度が取れるんだ」
先程まで憤怒と憎悪を宿していたジェイドの瞳が。
大切な自分の孫娘、セラの安全を願うように静かに閉じていく。
しかし。
「その孫娘なんだけど――――さっき無事捕まえる事ができたよ」
「――――ッ!?」
自分の死よりも恐ろしく、思わず意識が持っていかれそうな発言を受け、ジェイドの身体は一気に力が抜けていった。
「うんうん。そういう反応が僕は見たかったんだよねぇ」
静かに閉じられていたジェイドの瞳は大きく開き、その表情からはすっかり血の気が引いていた。
今までに無い絶望に呑み込まれ、もはや抵抗する気配の無いジェイドの様子にファナンはゲスな笑みを浮かべて口を耳元に近づけ。
「君が死を覚悟して逃がした”最後の家族”……。それがまた僕の国に戻ってきた。ねぇ……今どんな気分だい? ぜひ、教えておくれよ」
不自然な程に落ち着いた口調でファナンはジェイドの口を封じていた布をそっと解き、優しい手つきで歯跡のついた木を取ってやる。
すると、ようやくジェイドは言葉を発する事ができた。
「ぁ、ぁ、……そんな……セラが……」
その声はとても弱々しくなっており。
今にも泣き出しそうな程に震えていた。
「おいおいマクター……。せっかく口の拘束を外してあげたんだよ? そんな言葉じゃなく、もっと今の心境を聞かせて欲しいんだよ」
悪魔の囁きに、ジェイドの瞳から遂に涙が零れだす。
涙は壇上の床を濡らし、ファナンの心を潤していく。
「あはっ、あっはっはっ」
腹の底がくすぐられるような快感に身をよじらせ、盛大な拍手を送りながらファナンは壇上で立ち上がり。
「そうっ! それそれっ! あっはっはっ! 泣いてるよこいつぅ~っ! まぁっ? 泣いちゃうのも無理無いよねぇ~っ?」
大きく両手を広げ、まるで演説をするように周囲で見守る手下達に大袈裟な立ち振る舞いを見せていく。
「諸君っ! この男は同じ村の人間を裏切りっ! そのせいでこの男はどれだけ指を差されて罵られてきたっ!? それでも健気に僕に付き従いっ! この男は僕達と同じく多くの悪行を重ねてきたっ!」
涙を流して動きを見せない惨めなジェイドに両手を向けるファナン。
「あぁっ! 反吐が出る程に素晴らしき家族愛をこの男は僕達に見せてくれたっ! 村人全てを敵にしたっ! 全ては愛する孫娘を守る為にっ! あっはっはっはっ! 笑いすぎてもう涙が出てきてしまうっ!」
周囲の手下達も大きな笑い声をあげていく。
「ぐはっはっ最高だぜ! あのジジイ、今じゃ奴隷共全員から無視されてんだぜぇ?」
「当然さぁ! 今まで苦楽を共にしてきた仲間を簡単に裏切ったんだぜ? ひゃっひゃっ! 正真正銘のクズじゃねぇかよ!」
「そういやぁ、もっぱら奴隷共の拷問はこのジジイの仕事だったよぁ?」
「ひーひっひっ、もう駄目だっ! 笑いすぎて腹が痛ぇっ!」
もうファナンの耳には、その笑い声すら届いていない。
怒りすら沸いてこない程に、心が打ちのめされていた。
「ふぅ……。永遠に僕の下で働いていれば良かったものの……。何をトチ狂ったのか馬鹿な真似をしたもんだ……」
歪な狂気が蔓延していた。
この場には、もうまともな感覚を持つ者は居ないのかもしれない。
皆がファナンの声に大きく拍手をして賛同の声をあげていた。
「さて……よく目に焼き付けておきたまえ――――これが己の命を投げ出してまで王に盾突いた愚かな罪人の顔だぁッ!!!」
ファナンはジェイドの髪を乱暴に掴みあげ、大量の涙を流して嗚咽をあげる悲惨な姿を右往左往に振って周囲に晒す。
「あっはっはっ! 結果、この男は間のなく公開処刑されるッ! 孫娘も女に生まれてきた事を後悔するハメになるッ!」
「ぐ、ぅ、ぅ、ぅ……っ」
湧き上がる観衆にファナンは仰々しく片手を振り、適当にジェイドの頭を投げつけるようにして床に解放してやる。
「さぁて……」
そして眼鏡を怪しく光らせ、両手を組んで嬉しそうにジェイドを見下ろし、僅かに希望を感じさせる言葉を投げかけた。
「僕は優しい王だ。君の今までの行動の全てを、誠意ある謝罪で侘びれば許してあげても良いんだよ? ぺッ」
そう言ってジェイドの頬に唾を吐き捨てる。
「……き、さ、まぁ、っ」
ファナンの言葉など信じられない。
心優しき王が治めるラティーバを、内側から腐敗させていくファナンが許せなかった。
「……っ、」
ジェイドはうつ伏せになったまま拳を強く握り締め、”あの言葉”だけを頼りに――――顔を上げ。
「おいおい……何だその目は?」
瞳に闘志と希望を灯らせ、醜悪な悪魔の姿を射抜く。
「いつまでも貴様達の思い通りにはなると思うな……ッ、いつか……ッ、いつかこの村のッ! ――――”この国の闇は再び光によって晴らされる”ッ!!!!!」
乾き霞む老いた声で、しかしどこか力強さを感じさせ。
英雄の”予言”を口にした。
「それが答えなんだなマクター……ッ!!」
反抗的な態度に加え、最も自分を腹立たせる発言にファナンは静かに歯軋りを鳴らしてジェイドから背を向けて立ち上がる。
「……っ、……諸君。この男はどこまでも我々を笑わせてくれる。……まだ”あの予言”を信じているらしい」
後ろで両手を組み、苛立ちによって声も次第に大きくなっていく。
「諸君らも覚えているだろッ! かつてこのラティーバに現れッ! 英雄と呼ばれるようになったあの忌々しい錬金術師を……ッ!! 奴が放ったあの言葉を……ッ!!」
周囲はすっかり静まり返り、ただひたすらファナンの声に耳を向けて英雄の予言を思い出していた。
「ク……ッ!!」
――――ファナンも英雄に対する恨みを募らせ、当時の記憶を思い出していた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
――――あれは、もう20年も前の出来事だ。
当時、滅亡の道を辿っていたラティーバに”ある錬金術師”が現れた。
その錬金術師は、この国を襲う天災を退けただけでなく、”宝樹”と呼ばれるモノを構築し、見事再生させて英雄と呼ばれるようになった。
そしてしばらくして。
危機を脱却したラティーバにも、ようやく錬金術の知識が広まり、今の体勢や錬金術師が生まれていった。
しかし、人は大きな力を手に入れると心に闇を芽生えさせてしまう。
若かりし頃のファナンもその一人であった。
ファナンは錬金術の知識を人々の役に立てるのではなく、それを悪用して歪んだ野心の為に利用したのだ。
「あっはっはっ、たかだか王従士でいつまでも満足してられるかっ! 僕はいつかこの国だけじゃなく、世界すら手にしてやるっ!」
己の欲望を叶える為に、ついにファナンはその手段となる違法薬の開発に成功した。
「これで僕は――――王としての第一歩を進められる!!」
まずはその効力を確かめる必要がある。
適当に実験となる人間を見繕う為に、ファナンは鼻歌を交えながら違法薬を懐に忍ばせて外出をした。
すると。
とても不運な事態が起きてしまった。
「――――珍しいな。……まさか、この国で違法薬なんてお目にかかるとは……」
「……ッ!?」
突如、ファナンの背後から心を突き刺すその言葉が飛び込んできたのだ。
何故、違法薬を持っている事を知っているのか。
ファナンが懐を必死に押さえながら慌てて振り返ると。
「あ……貴方はッ!? な、何故再びこの国にッ!?」
自分が救った国で悪しき闇が包もうとしている。
きっと英雄は哀しかったのだろう。
そこには、どこか寂しそうな朱色の瞳で自分を見つめる英雄の姿があった。
あまりの驚きにファナンが表情を青ざめていると、英雄はそっと耳元にまで口を近づけ。
「……何故そんな危険なものを構築してしまうのか理解できない。……教えてくれないか?」
「……っ、そ、それは……」
その声は、ファナンを何とも言えない恐怖で戦慄させた。
違法薬の構築は禁忌とされている。
それは百も承知だったが、違法薬を所持しているだけでなく、それを自分が構築した事すら見抜かれてしまったのだ。
先程から身体の震えが止まらない。
すると。
不安と恐怖に怯えるファナンの耳元から英雄は静かに離れていく。
「……この国が再びどれだけ大きな闇に呑み込まれそうになったとしても――――”必ずその闇を晴らす光が現れる”。……今回は、それをこの国に伝えに来たんだ。それだけさ」
「……な、ど、どこへッ!?」
そう予言を残し、英雄はその場から姿を消していった。
これから自分のしようとしていた事を全て見透かすように。
ファナンは釘を刺されたのかもしれない。
英雄はその予言をファナンだけでなく、王や国民達にまで伝えていた。
再び現れた英雄の言葉を誰もが信じ、その予言を胸に刻んでいった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「はっ……。馬鹿馬鹿しい。何が英雄だ……っ。何が予言だ……っ。闇を晴らす光が現れるだぁッ!? そんなもの一向に現れる兆しなんてないじゃないかぁッ!? むしろ、順調に僕の国は繁栄していってるッ!!」
「……」
まるで何かに怯えるように、必死に大声で自身を奮い立たせているようにジェイドは感じていた。
そしてファナンは研究衣の内ポケットからあるモノを慌てて取り出し、切羽詰ったように息を荒げてそれを掲げる。
「はぁ……はぁ……、それに、いざとなれば僕には”これ”があるッ!!」
ファナンの右手には、一本の漆黒の試験瓶が握られていた。
一体それが何か、この場に居る者は誰一人としてわからなかった。
悪魔に最も尽くしてきたジェイドを除いては。
「これは――――”古の錬金術”だッ!!!」」
ジェイドの身体を大量の汗が濡らす。
血で視界が霞んでいても、その漆黒の試験瓶は見間違えない。
もはやこの村だけでなく、世界の存亡すら危機に陥ってしまう。
「よ、せ、……ファナン、それは……、そ、それだけは、」
「……誰に命令してんだよ……クソジジイッ!!!」
ファナンは漆黒の試験瓶を握ったまま血走った眼差しでジェイドの顔を思い切り蹴り上げた。
「ぐふはぁッ」
「はぁ……はぁ……」
誰もが英雄の言葉を信じている。
再びラティーバを闇が呑み込もうとする時。
希望の光が差すと。
「……ッ!!」
すなわち、ファナンの野望は打ち砕かれる。
英雄は、そう予言したのだ。
しかし。
「冗談じゃない……、そんな予言なんて認めない……ッ! 僕がそんなもの書き換えてやる……ッ!!」
ある日。
ファナンは光を呑み込む古の錬金術を手にした。
それは自ら開発したものではなく、与えられたものだったが。
「そ……れ、だ……け、は……ファ……ン………………」
ようやく意識を失ったジェイドを前に、肩で息をしてファナンは大事そうに漆黒の試験瓶を内ポケットに戻していく。
「ぜぇ……ぜぇ……。ふぅ……。あの時、お前も僕の横で”彼”の言葉を聞いていただろうに……。いつまで奴の妄言なんて信じてるんだこの馬鹿は……」
荒々しい足取りで壇上の階段を降りて移動を始めるファナン。
手下達は妨げにならないように道を開け、王の影を追う。
満身創痍の老人を処刑台に残し、悪魔一行は今日も奴隷達に苦しみを与えるのだった。




