7話:明かされる過去
美しい夜空が一面を飾る荒野から離れたその場所。
ヴァンクと呼ばれる小国には、滅多に人が近づかない廃墟があった。しかし、今はその場所もとある錬金術師の研究施設へと変貌していた。
その一室に、研究施設の主であるオプリヌスは居た。
オプリヌスは余裕の面持ちで両手の指を絡めながら優雅に足を組んで椅子にもたれかかり、静かに瞳を閉じて鼻歌を奏でていた。
瞳を閉じる事で視界を遮断しているオプリヌスだが、実はその瞳にはある風景が映り出されている。動転するヘルメス、そして熱り立つジンの姿が映し出されていた。
『――――クク。ようやく見つけましたよ、”黒匣”』
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
そして、荒野で――――
ジンとヘルメスの前に突如現われた漆黒の鎧を纏う騎士風の人物。何故かその人物からは離れた場所に居るはずのオプリヌスの嬉々とした声が先程から発せられている。
二人は言葉を失い、荒くなった呼吸だけを静かに響かせて立ち尽くしていた。
『クックック。どうやら、驚いていただけた様ですねぇ』
意識を失ったリディアを抱えたまま、剣を握らせた鎧騎士を通してオプリヌスは嬉しそうに告げた。
『エーテルさんは見当がついていたようですね。その通り、この漆黒の鎧は私がギリスティアの王従士だった時代に開発した式……正義の鎧を改良した新たな式です。その呼称は――――”悪魔の鎧”と名づけました』
「悪魔の鎧だ、と……ッ」
よく聞き覚えのある忌々しい式の呼称によく似た名を関する式。ジンは皮肉めいたオプリヌスの口調からその憤りを隠せず眉間に青筋を立てていく。
『流石は黒匣! 気づいて頂けたようで何よりです。元々、正義の鎧は身に纏った者の身体能力を大幅に上げるだけのものでした。ですが、今では更なる改良を施しておりまして、悪魔の鎧は、先生が開発した黒い歯車を私が独自に考察して研究を重ね、正義の鎧と組み合わせたものなんですよ』
喜々と自らが開発した新たな式を語るオプリヌスに、ジンは怒りを堪えすぎて固く握った拳からいつの間にか血を流していた。
『……悪魔い鎧を身に纏った者の自我は構築者の意のまま。その視覚や聴覚、そして言葉を構築者と同化させる事ができるのです! いやぁ、本当に便利な式なんですよコレが。……赤の他人を使う事で貴方達の前に、こうして私がわざわざ出向かずに済むんですからね。どうです? この式の便利さを十分にお伝えできたでしょうか?』
その代償として悪魔の鎧は、正義の鎧程の身体能力向上は見込めなかったが十分だった。
「相変わらずテメェの事しか考えてねぇクソ野郎みたいで安心したぜ……オプリヌス……ッ!!」
関係の無い者を問答無用で巻き込むオプリヌスに、怒りで表情を歪めきって歯軋りを鳴らすジン。
先程から黙っていたヘルメスだが、二人の関係性に疑問を抱きつつ。今はリディアを奪われた事で、息を小刻みに荒げて激しく動揺してそれ所ではなかった。
必死にリディアを奪い返すタイミングを見計らってきたが、ここにきて思わぬ情報が舞い込んで更に動揺が増す。
『やれやれ……せっかくの再会だと言うのに相変わらず不愛想な方ですねぇ。それに、それを言うなら君も私を卑下できる立場ではないはずですよ? 何せ――――”あれだけ無関係の人間を喰い殺しているんですから”』
「テメェ――――ッ!!!!!」
迸る怒りに身を焦がすジンは口を歪めて鋭い牙を剥き出しにしていく。
あれだけ無関係の人間を食い殺している。
その言葉がジンに向けられていると確証するや、ヘルメスは恐る恐るジンに振り向き。
「ジ、ン……?」
「――――っ!?」
躊躇いの表情と声のトーン。それは、まるで化物を見つめる時の目。何度もジンを苦しめてきた目と、同じように思えた。
ヘルメスが自分に向けるその視線を、ジンは過去の経験を踏まえてそう捉えてしまった。
「ち、違う……ッ、俺は……ッ、俺は……」
言い訳など無意味だと悟り、言葉を閉ざしてしまう。実際に、オプリヌスの言葉に嘘はないのだから。
それはジンにとって思い出したくもない悪夢。だが、決して忘れてはいけない罪だ。
今にも泣き出しそうな気持ちを堪え、拳を力強く握る。
それでも、恩人によく似ているこのヘルメスにだけは知られたくなかった。
唐突に、再び孤立に陥る恐怖がジンの心を蝕む。今にも泣き出しそうな気持ちを堪え、拳を力強く握り。
「……ッ、オプリヌスゥッ!!!!!」
怒りに囚われ、気づいた時には両手から人の頭二つ分程の青白い光の球体――――原点の式を展開させていた。
解読眼を持たないオプリヌスにはその形状を知る術は無いが、ジンの両手から青白い光が溢れ出でいる事は確認できた。
『あぁぁぁああああっ!! やはり実に美しい光ですねぇっ!! 早くっ!! 早くその光を実際に拝ませて頂きたいものですっ!!』
ここから離れた研究室で原点の式の光を、賢者の石が健在である事を確認すると不気味な笑みが自然に零れてしまう。これこそがオプリヌスが求める光なのだ。
「なら、んな人形用意せずに直接ここまで来やがれええええええええええええッ!!!!!」
この怒りの捌け口にすべく、鎧騎士に原点の式をぶつけようと凄まじい速さで跳び出すも――――
『ふぅ……やれやれ。”これ”が見えないんですかね?』
「――――っ」
鎧騎士が盾にするようにリディアを掴んだ腕を差し出す。このままではリディアが犠牲となってしまう。
躊躇いを一瞬見せたジンだが、それでも――――止まろうとしなかった。
「だから何だってんだよおおおおおおッ!!!!!」
今のジンには冷静な判断ができなくなっていた。もはやリディアを意識から消そうとする節すらあった。
つまらなさそうにオプリヌスは研究室で鼻を鳴らし、鎧騎士に握らせていた剣をリディアの首元に向ける。このまま人質として意味を成さないのであれば始末しようと最初からそう算段を企てていたのだ。
だが、それを彼女を見逃すはずもなかった。
「やめてくれジンッ!!!!!」
真に迫る叫びと共に、怒り顕となるジンの前に涙を零すヘルメスが両手を伸ばして前に跳び出してそれを全力で阻止する。
「――――ッ」
咄嗟にジンは急ブレーキを踏むように踵から微かな火花を起こして身体を硬直させた。
視線の先には、涙を流しながら力強い瞳でジンを睨みつけるヘルメスが映り込んでいる。
「――――るなっ、……」
激昂から血管の浮き出た掌で醜く歪んだバケモノの顔を隠し、後ろにたじろぐ。
「――――で……るな……っ」
どうすれば良いと言うのだ。どうすれば良かったと言うのか。
その答えは、”彼女”ですら教えてくれなかった。
溜め込んできた負の感情が爆発して身体を激しく震わせ、バケモノは乾いた嘆きを泣き叫ぶ。
「――――そんなッ、目で……ッ、俺を……ッ、見るな……ぁぁッ……ァァアアアアアアアッ!!!!!」
恩人とよく似たこのヘルメスなら。
信用、したい。
そう思っていた矢先に、人間に対する恐怖が走馬灯のように蘇ってくる。
「う、うわぁぁああぁあぁあああああああああああああああああぁッ」
『クックックッ……アーッハッハッハッ!! 何たる様ですか!? 滑稽ですねぇ、無様ですねぇ? いやぁ、まさか貴方、未だに自分が人間と相容れられる存在だとでも錯覚し、思い込んでいたんですか? バケモノの貴方が? ……所詮、貴方は黒匣。それ以上でも、それ以下でもない』
遂に両手で頭を抱え、絶叫しながら地面に崩れ落ちていく。
両膝をつき、何度も流してきた哀しみの涙を大量に零し。黒匣という己の存在を、悔み絶望する。
――――いつか。
いつか、きっと私以外にもお前を受け入れてくれる人が現われる。
だから――――泣かないでおくれ、ジン。
かつて、恩人がジンにかけてくれた言葉を思い出す。
だが、そんな人間はいつまで経っても現われなかった。最初から、わかっていた事だ。
自分は所詮、狂った錬金術師に構築された黒匣であるという事を。ただの、賢者の石の器である事を――――
「おい!? ジン……!?」
ヘルメスは困惑しながら、嘆き苦しむジンに近づいて手を差し伸べようとするが。
「……」
今の様子を見て、差し出す手の動きを躊躇ってしまう。
『クク、クックック……クハッハッハッハァ』
背後から聞こえてきた不快感漂う笑い声にヘルメスが鋭い視線で振り向く。
『ククク……実に驚かされましたよ。まさかあの黒匣が、小娘一人に動きを止めてしまうとはね。エーテルさん、貴女一体どうやってそこのバケモノを誘惑したんです?」
あれだけ怒り顕わにして襲い掛かってきたジンが簡単に止まり、情緒不安定となって崩れ落ちていく様子がオプリヌスは堪らなく愉快で仕方がなかった。
「貴様……ッ、人と偽人を、両方の心を平気で利用し、嘲笑う貴様こそが本当のバケモノではないのかッ!!」
異様な殺気を放ち睨みつけるヘルメスの相変わらずの発言を受け、オプリヌスは研究室で丁度手にしていた筆を苛ついて折ってしまう。
『私が……バケモノ? ク、クク……ご冗談を。貴女はいつもそうだ、すぐにそうやって善人ぶって自分だけは正しいと信じて疑わない。ですが、見てくださいよ? 今、目の前にいる本物のバケモノを。貴女も既に知っているのでは? 彼はどれだけ致命傷を与えようと死なない正真正銘のバケモノですよ? その特性を活かし、これまでどれだけの人々を喰らい、殺してきた事か……。それでも、まだ彼がバケモノでは無いと貴女は言い切れるのですか?』
「……」
ヘルメスは――――ジンを信じていた。
確かに、オプリヌスから聞いた話には驚かされたが。あくまでそれは断片的な情報でしかない。
何か深い事情があったに違いない。そうに違いない。
しかし、更にオプリヌスから耳を疑う発言が飛び込んでくる。
『――――村を壊滅させた時の、あの残忍な君が懐かしいですよ。ねぇ? 黒匣』
地面で嘆き苦しむジンの身体がより激しく震えだす。
それを聞いたヘルメスはそれが真実なのか、ジンにゆっくりと視線を落としていく。
「村を……壊滅させたのか?」
一つの村を壊滅させるだけの、ジンはそれだけの人間を喰い殺してきた。
『やれやれ、どうやらその様子からして本当にエーテルさん達には何も教えていなかったようですね。……クク、まぁそれも当然ですよね――――』
ジンがヘルメスやリディアに自分の事を何も告げていないと知るや、オプリヌスはわざとらしい口調で黒匣という存在について明かす。
『――――まさか君の身体に賢者の石がある事や、……”狂った錬金術師フェイク”に構築された事を王従士である彼女達に言えるわけありませんよねぇ?」
自分の身体を震える両手で強く抱きしめ、地面に額を擦りつけて涙を流して震え続けるジン。
遂に全てを知られてしまった。
その事実が、普段のジンからは想像のつかない弱さを曝け出させた。怯える赤子のように情けない醜態を晒し続けるジンの姿にオプリヌスはひっそりと満足そうに笑顔を浮かべていた。
「け、賢者の石っ!? それに……ッ、狂った錬金術師フェイクだとッ!?」
ヘルメスは驚愕の表情を浮かべ。暫くしてから。
「本当、なのか……?」
様子を伺うように屈み、すっかり身体を丸めて縮こまったジンの肩に手を乗せる。ジンは完全に怯えきっており身体を大きく跳ねらせた。
絶望の表情を浮かべて俯くジンに、ヘルメスは慎重に言葉をかけて確かめる。
「ジン……今思えば色々と合点がいく。確かにそうだった。最初から君の身体が膨大な式で構築されているのが視えていた。それは人間ではない偽人だからという事で納得していたが……まさか、その理由が無限に原点の式を生み出す永久機関。賢者の石の存在によるものだとは思いもしなかった……」
「……うッ、く、ッ」
更に、あの世界を脅かす存在。
狂った錬金術師フェイクに構築された偽人だとは予想だにしていなかった。
「ジン……?」
ヘルメスの呼びかけに、ただ言葉を失くしたまま大量の汗と涙を噴出すジン。
しかし、オプリヌスの口からジンの心を抉る言葉が更に続く。
『君は狂った錬金術師フェイクの駒、賢者の石の器、黒匣という存在なんですよ? ……なのにッ、何を今さら人間のように哀しんでいるフリをしているんですッ!? ……この、偽人風情が」
そのオプリヌスの言葉に。
遂に、ジンの中で何かが切れた。
「……ッ!? こッ、ろッ、す……ッ!! ころッ、すッ、くいころおおおおおおおすッ!!」
「きゃっ、」
『ほぉらね……。それこそが彼の本性であり、本質。――――醜い悪食、暴食だ』
眉間に凄まじいシワを寄せ、金色の瞳を光らせ。その場から勢いよく立ち上がったジンはその反動でヘルメスを突き飛ばしてしまう。
だが――――
「――――ジンッ!!!!!」
ヘルメスは勢いよく跳びだそうとしたジンのズボンを掴んで離さなかった。
「……ッ、」
ジンはそれ以上、一歩も前に進めなかった。
まるで、獰猛な肉食獣のように息を荒げ。どこか悲しみに暮れる表情をヘルメスに見せて告げる。
「はなせ……、おまえも、くい、ころすぞッ……!!!」
「ジンッ!!」
「――――ッ!?」
気づけば、ヘルメスの瞳から大粒の涙が零れ落ちていた。
このままジンが暴れてしまえば、リディアは殺されてしまう。
大切な親友を殺させてしまう。
だが、それと同じぐらいにヘルメスは――――ジンを心配していた。
「これ以上……自分を、傷、つけるなッ!!!」
――――あぁ、そうか……。
ジンは、ヘルメスの涙ながらの言葉の意味にようやく気づかされたのだった。
ヘルメスは、リディアだけを心配しているわけではなかったのだ。ましてや、自分をバケモノだんて最初か思ってもいなかったのだ。
よく、しっかりと見てみると今のヘルメスの目は先程までの印象とは違い――――恩人と同じ目をしている。
――――大好きだった、あいつの目に……よく似てる。
『……?』
もしもここで、リディアが殺されでもすれば。ジンが更に心に闇を抱えて壊れてしまうかもしれない。
ヘルメスはそう案じていたのだ。
「……」
大量の人間を喰い殺し、賢者の石の器である偽人を、ヘルメスは心から心配してくれているのだ。
耳を疑うような真実を聞かされて尚。
ヘルメスの確かな気持ちは、偽人の青年の心を痛いほどに優しく包み込んでくる。
驚きを隠せない。ヘルメスは、どこまでもジンの心を救ってくれた恩人に似ている。
「アンタ、……ホント、変な奴……だな……」
取返しのつかない過ちを再び重ねる所だった。それを食い止めてくれたのは間違いなく、このヘルメスだった。
徐々に落ち着きを取り戻し、脱力していくジンの様子を悟ったヘルメスはその場から静かに立ち上がり。
「自分は、人を視る目があると……言っただろ。 ……自分を信じろっ!!!」
ヘルメスにとっても。ジンと過ごした時間は僅かなものだったが。
ジンは命の危険に晒された自分やリディアを救ってくれた。憎まれ口を叩きながらも、不器用なだけで心優しい青年だと知ったのだ。
それに、ジンが見せたあの時の涙を知っている。
「……自分はジンを信じている。何も、怯える事はないんだ……だからどうか、ジンも自分を信じてくれないか」
そんな心優しい青年が理由なく村を襲うなど、ヘルメスには考えられなかった。
何か、きっと理由があったはずだ。
「……」
偽人の青年は、この少女によって変わりつつあった。
今まで恩人以外の人間を、心から信じる事ができなかった。
狂った錬金術師によって賢者の石を媒体にして構築され、村を壊滅に追い込んだ過去を知らされても。
態度を変えようといないこのお人好しを、心から信じたかった。
「……アンタの馬鹿さ加減には呆れたぜ。でも……そんなアンタだから、信じる」
照れ臭そうにしてそっぽを向くジン。
そして、ズボンのポケットに両腕を仕舞い。いつもの余裕の笑みを浮かべて、怒り以外の感情のこもった眼差しでリディアを抱える鎧騎士を睨みつけた。
「馬鹿、か。フフ、否定はしないさ」
ジンの変化に、ヘルメスも少しだけ心が穏やかになるがそうもしていられない。
依然、リディアを抑えられている以上事態は最悪のままだ。
『……本当に……どうしてしまったんです。一体……私の知らない間に何があったと言うんだ……』
ジンの変化はオプリヌスを激しく動揺させていた。自分がよく知るバケモノが普通の人間のような言動ばかり繰り返すのだ、無理も無かった。
だがそれを踏まえ、丁度良いとばかりにそれすらも利用していく。
『クク。どうやら……いつの間にかお二人は余程の信頼関係を結んでいたようですね』
そして、冷酷な命令をジンに課す。
『ならば、エーデルソンの命が惜しければ、エーテルを――――殺せ」
鎧騎士が意識を失ったリディアの首筋に冷ややかな刃を押し当てる。
「っ、やはり貴様という男はどこまでも外道を突き進むか……ッ」
「……」
リディアを人質にすれば今のジンならば、自分でも従わす事ができる。オプリヌスは先程からの流れからそう確信した。
リディアを救いたいのであれば、ヘルメスを殺せ。
ヘルメスを殺さなければ、リディアを殺す。
鎧騎士を隔ててジンには究極の選択を与えたつもりだったが――――
「――――あん? 勝手に殺せよ、んなチビ」
高を括っていたオプリヌスの予想とは裏腹に、ジンは耳穴を小指でほじくりながら面倒臭そうな表情であっさりとリディアを切り捨てた。
どうやらジンにとってヘルメスとリディアは比べるまでも無い程に価値が掛け離れているようだ。
『……はい?』
それは、オプリヌスにとっても予想外の反応だったらしくつい間抜けな声が漏れてしまう。
「ちょ、ちょ、ちょっと待て!! な、何て事言うんだジン!!」
リディアの命などこれっぽっちも気に留めていないジンを、ヘルメスは思わず襟元をを掴んで持ち上げて揺らしていく。
「ぐ、ぐるじぃっ、お、おち、つけ、って」
「す、すまん!? だが、やはりさっきの発言は――――」
解放されたジンは息を荒げて苦しそうに呼吸を整えながら掌を差し出してヘルメスの言葉を遮る。そして、不敵な笑みを浮かべると乾いた声でオプリヌスへと告げる。
「――――ふぅ。……ただし、そのチビを殺して困るのはテメェの方だぞ。そこんとこ理解してんのか? オプリヌス?」
『……どういう事でしょうか』
リディアを人質に取り、圧倒的有利な立場であるはずのオプリヌスだが。困るのは自分だと、余裕の態度を崩そうとしないジンの発言に疑問を抱く。
遠く離れた場所から、真剣な表情で鎧騎士を隔ててその真意を問う。
『……私が困る、ですって?』
「ジン……何を言ってるんだ?」
ヘルメスもジンの言葉の意味を理解していなかった。リディアの命がかかっているヘルメスは、不安そうな表情で心配している。
だが、オプリヌスに対して含みのある口調で再び告げる。
「俺はこの女を絶対に殺さないし、殺させない。すると、どうだ? テメェはそのチビを殺すと言ったよな? 間違いなく……この女は俺が殺さなくても、そこのチビを救う為なら喜んで自殺でも何でもするだろうさ――――」
だがなぁ、と付け加え。ヘルメスを親指で差し。
「――――俺は何が起ころうと全力でこの女を守る。自殺なんか絶対にさせねぇ、俺がそう決めたんだ。……そうなってくると、いよいよ困るのはテメェだ。そんな鎧人形まで寄こして消したかった邪魔な王従士って存在を一人生かしたまんまになっちまうもんな」
『――――ッ!?』
まさか。オプリヌスはようやくジンの意図に気づいたのだった。
「そうすっと、他の王従士共がテメェの元まで押し寄せてくるのも時間の問題だよな?」
ヘルメスならば、例えジンに邪魔されようともリディアを殺させる事など考えない。
二人の絆をジンは実際に目の当たりにしている。
自分の命を投げ出そうとも、必死にリディアを救おうとしたヘルメスの姿をしっかりと目に焼き付けていた。
「なるほどな……そういう事か」
ジンの意図にヘルメスも気づき、静かに耳を傾ける。
『……確かに君ならばエーテルさんの自殺を力ずくでも止める事ができるでしょうね。ですが、それがどうしたと言うんです? ……まさか、この場でエーデルソンさんを返せ、等と馬鹿な事は言わないでしょう? ククク、確かに他の王従士がこの地に多く訪れる事は私にとって好ましくないですよ? しかしそれは黒匣、君も同じはず。何せ君は狂った錬金術師フェイクに構築された偽人、更にその身体には賢者の石が――――……まさか貴様ッ!?』
ジンの真の狙いは、自分という希少な存在である事だった。
「――――だよな?」
確かに王従士の来訪はオプリヌスにとって不都合でしかない。
しかし、それでも逃れる手段などいくらでも考えられる。
だが、そうもいかなかった。
オプリヌスが、国に追われてまで成し遂げたかった悲願。原点回帰の完成には、賢者の石が必要なのだ。
もし、ここで賢者の石の器である黒匣が王従士の手に落ちれば。
完成間近の悲願が崩れ落ちてしまう。
「ケッ、王従士がわんさか来やがったら……まぁ俺みたいな偽人ならそりゃぁ、逃げるに決まってるよなぁ? ……アンタに会いに行ってる場合じゃねぇだろうよ。それと――――」
「お、おいジンッ!? 一体何を――――ッ!?」
ジンは、ヘルメスと鎧騎士に見守られながら自分の胸部分を両手で開けるように抉っていく。
苦痛に顔を歪めるジンの肩を、ヘルメスが掴んで止めようとするが。お構いなしでジンは続けていく。
その様子を、オプリヌスは神妙な面持ちで鎧騎士を隔てて慎重に確認していた。
「ぐ……ッ、へっ、へへ……っ」
無理に笑みを浮かべながら、ジンは自分の胸部分を抉って開け。
本来なら心臓がある部分から、伝説の宝物がその姿を現す。
そして、ヘルメスは息を呑んで言葉を漏らす。
「こ、これが……賢者の石」
血に染まるそれは。赤よりも赤い小さな球体、不可思議な文字が刻まれた黄金の輪が円を囲むように施された結晶。
ヘルメスの解読眼には、無限の原点の式が結晶の中で永遠に循環しているように視えていた。
そして、漆黒の鎧から――――
「おぉ~……賢者の、石。……あぁ、賢者の石よぉ……美しいぃ……」
愛おしい恋人に囁くような声で、手を伸すオプリヌス。
だが、今は手に入れる事はできない。
目の前にあるという歯がゆさに耐え、賢者の石をしっかりと目に焼きつけていく。
「これが……伝説の錬金術師アンチスミスの遺産……」
当然ながら、ヘルメスも実物の賢者の石を視るのはこれが初めてだった。
だが、ヘルメスは何か違和感を感じていた。
賢者の石には、原点の式とは別に幾多の他の式が入り混じっているのだ。
「ッ、」
「お、おい大丈夫か!?」
ジンは激痛に耐えながら、ヘルメスに優しく微笑んで小さく告げる。
「任せ、とけ……」
ヘルメスは、そのジンの言葉を信じるしかなかった。
今は、賢者の石の謎よりもリディアの命の方が優先だ。
漆黒の鎧に、ジンは賢者の石を見せつけるようにして。
「そこのチビに傷一つ付けてみろ。俺は……すぐにここからトンズラすんぜ。……お前ぇに会う前にな」
リディアを殺そうとすれば、賢者の石は手に入らない。
ジンは、オプリヌスにそう告げ。
胸部分を抉る両手を離して賢者の石を再びその身体に姿を隠していく。
賢者の石から溢れ出る原点の式がすぐさまにジンの身体を自動的に再生させる。
それを見届けてから、オプリヌスは静かにジンとヘルメスに告げた。
「……なるほど、ね。君の意図はわかりました。……ならば明朝、私の研究施設に来てもらいましょう。そこでエーデルソンさんは返しましょう。ただし――――二人で来る事と、誰にも連絡せずに来る事を条件とします。……君も私に用があるんでしょう? ならば、そこでお話をするとしましょう」
フェイクによって刻まれた呪い、黒い歯車を取り除く手掛かりとして、ジンはオプリヌスを追っている。
それは、オプリヌスもわかっていた。
ただ、今のジンがどこまでそれに対して執着しているのかわからないオプリヌスは不安だった。
なので、自分の手が届く距離までジンと王従士のヘルメスを誘い出す事にしたのだ。
「ククク……それでは明朝、今度は実際にお会いしましょうか」
漆黒の鎧がマントのように羽織ったコートから、漆黒の試験瓶を取り出す。
「ま、待てオプリヌスッ!!!」
ヘルメスの制止を無視し。
リディアを抱えたまま漆黒の鎧は、漆黒の試験瓶の蓋を開けて、眩い光を周辺に発生させ。
この場から忽然と姿を消していった。
それは、人攫いの男の時と同じだった。
「……ッ、リディア……ッ!!!」
顔を俯かせ、拳を強く握り締めながら己の無力さを嘆いているヘルメスの肩に、今度はジンが優しく肩を乗せる。
「大丈夫だ。あいつはチビに手がまだ出せない……しけた面してんじゃねぇよ。アンタがそんなんでどうすんだ」
先程の争いが嘘のように荒野に静かに冷たい風が吹いていた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
リディアが構築した岩で出来た質素な小さな建物の中。
突如訪れたオプリヌスの襲撃を受け、ジンとヘルメスは今そこに居た。
「さっきは……ありがとう」
地面に膝をついて作業するヘルメスが、入り口にもたれるジンにそう感謝の言葉を述べる。
ヘルメスはあの後、ジンによって何とか冷静さを取り戻していた。
命に代えてでも守りたいと想う程の親友が攫われたのだ、とても冷静ではいられなかった。
しかし、ヘルメスがこうして逸る気持ちを必死で押さえながら何とか冷静さを保っていられるのはジンのおかげだった。
「非難される事はあっても礼を言われる筋合いなんてねぇよ」
むしろ、礼を言いたいのはジンの方だった。
ヘルメスと出会った事で、ジンの心は満たされつつあったから。
しかし、ジンはリディアをあの場で救う事ができなかった。
責任を感じていた。
「そんな事は無いさ、こうして……自分は生きている。ジンが居て、あんな風に言ってくれなければ間違いなく……あのまま自分はオプリヌスの策で殺されていただろう。だが――――ジンのおかげでリディアを救う事がまだ出来るッ……!!」
ヘルメスは自分達が用意してきた荷物を大きなリュックへと次々に仕舞いこんで、出発の身支度をしながらジンにそう感謝する。
オプリヌスは明朝、ヴァンクにある自分の研究施設に来るように二人に告げていた。
時刻はまだ夜更け。
余裕を持って到着できる距離だった。
膝をついたまま荷物を仕舞いこむ作業をするヘルメスの手に、リディアの温もりが微かに残る毛布が握られる。
「リディア……」
儚げな表情で思わず親友の名を口にするヘルメス。
ジンには友など居た事が無い。
だから、気になってこのような質問をしてしまう。
「……あのチビ、そんなに大事なのか?」
荷物をまとめる作業を終えたヘルメスは、ゆっくりと立ち上がり悲しそうな笑顔でその質問に答えていく。
「リディアは……自分を救ってくれた大切な親友なんだ」
とても儚く、すぐに壊れてしまいそうな笑顔でヘルメスはジンに昔話を始める。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
――――こう見えて自分は……錬金術師として由緒正しいエーテル家という名家の生まれでな。
少し前までは、エーテル家の当主は世界最高の錬金術師だなんて言われていた……。
……何故ならエーテル家の当主は解読眼を持ち、錬金術の才能に異常なまでに恵まれた者と決まっていたからだ。
世界に大きく貢献するような偉大な人物達がエーテルの当主として活躍していた……自分の父様もそうだった。
だが…解読眼とは先天的なもので、必ずしもその血筋に影響されるものではないんだ。
そこで、だ。
エーテル家は歴代から、解読眼を持ち、錬金術の才能に恵まれた子供を養子に迎える事でその地位を保ち続けてきたらしい。
……父様もそのようなエーテル家の地位を守る為だけに養子として迎えられたみたいだ。
そして、自分はそんな家系の長女として解読眼を持って生まれた。
だが、自分には錬金術師としての才能が無かった。
自分が生まれてすぐの時は、それはとても祝福されたそうだ……。
母様も、これで養子を迎えずに済むかもしれないと歓喜していたそうだが……。
残念ながら自分にはそんな両親の期待に応える事はできなかった。
両親が自分に見切りをつけるのは早かった。
4歳……。
自分が4歳になる頃には、既に自分は両親から何も期待されなくなっていた。
そこからは……エーテル家に生まれながら落ちこぼれだった自分はただ……母の嘆きをこの身で受ける事しかできなかった。
別に辛くはなかった……。
母様は心に大きな闇を抱えていた……。
そんな母様の心の痛みを考えれば多少の暴力など大した事ではない。
自分が耐えれば、それで良いだけの話だ。
それで母様が少しでも救われるなら自分はそれで良かった。
母様の嘆きは、ついにエーテル家を悲惨な事件が襲うまでの間ずっと止まなかったな……。
仕方無い事だったんだ……。
解読眼を持って生まれてきた自分という存在は母様にとって希望そのものだった。
母様は何も悪くない……ただ、自分が全て悪いだけ。
本当にそれだけなんだ……。
父様もこんな自分に酷く愛想をつかしていたよ……。
父様は現代のアンチスミスと称される程の偉大な錬金術師だった。
自分と同じく解読眼を持ち、……そして元、三英傑の一人でもあった。
そんな父の元に生まれておきながら落ちこぼれとしか言い様の無かった自分は、いつしか少しずつ心が疲れ始めていたんだ……。
誰からも必要とされず……生きる意味を失っていた。
自分は度重なる重圧や、肉体的な疲労から、情けない事に精神が崩壊寸前にまでな……。
錬金術師としての才能に恵まれなかったが為に。
エーテル家に生まれてきた為に。
絶望の闇に飲み込まれた。
だが、
そんな自分を救ってくれたのが――――リディアだった。
リディアの家系、エーデルソン家はギリスティアの名門貴族でな。
エーテル家とも親交が深かったのもあって、ある日から自分と同じ歳のリディアはよく自分と遊ぶようになって頻繁に会いに来てくれるようになった……。
弟のカルロスと三人で遊んでいた記憶は今でも鮮明に覚えている……。
初めて友達というものができたんだ。
……リディアも、こんな自分なんかを本当の意味で必要としてくれていた。
たったそれだけで、自分は救われたんだ……。
だから、
リディアのことは何があっても、自分の命をかけてでも守ると決めたんだ……ッ!
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「そうかい……」
ジンはヘルメスの過去に触れ、それを自分に重ねそれ以上の言葉を発する事はできなかった。
自分の過去を何も言わずに聞いてくれたジンに、ヘルメスが優しく微笑みかけて言う。
「さっきオプリヌスが言っていた事を……自分は気にしていない。いつか……ジンが自分の口で言える時が来れば教えてくれ」
「……」
感謝の気持ち。
ジンの心には久しく湧いてこなかったそんな感情が芽生えていた。
そして、頬を掻きながらヘルメスから視線を逸らし。
「チッ、早くしろ……あのチビ、命張ってでも助けたいんだろうが」
と、ぶっきらぼうに言い放った。
「協力……してくれるのか?」
ジンは遠まわしにだがリディアの救出に協力すると申し出たのだ。
ヘルメスのすっかり沈んでいた気分が晴れていく。
「ケッ、俺もオプリヌスの野郎に用があるだけだ。……そのついでだよ」
「ジン……!!」
その場から立ち上がり背を向けるジンに、ヘルメスは喜びの声をあげた。
「だがよう、あいつ……賢者の石使って何しようってんだ?」
王従士としてヘルメスに下された命。
ここまで来てしまえばもうジンに隠す必要は無い、伝えておかなければならないだろうと判断したヘルメスは、オプリヌスの目的を告げる事にした。
「原点回帰……この式に聞き覚えはあるか?」
原点回帰。
それは伝説の錬金術師、アンチスミスがこの世に残した遺産の式。
世界式に直接干渉し、全てを元に戻してしまう禁忌の式、それを原点回帰だ。
ジンはその式を知っている。
何故なら狂った錬金術師フェイクも、原点回帰を研究していたからだ。
「……あぁ」
「オプリヌスは原点回帰を構築しようとしているんだ。もしかすると……ほぼ完成している可能性もある。ただ――――」
世界式そのものに影響を及ぼす程の式だ。
全てが元に戻る、その範囲に限界というものは存在しない。
構築者の意思によってこの世界そのものが消滅する恐れすらあるのだ。
「もし、……もしも原点回帰がほぼ完成した状態ならば何が何でも阻止しなければ……ッ!!」
「……だがよ。万が一、もしも賢者の石を奪われて原点回帰が完成したらどうするつもりなんだよ。……あの言い方からして俺から賢者の石を奪う何らかの算段があるのは間違いねぇ。……何か対抗策はあんのかよ?」
ジンの身体は細胞レベルでどれだけ損傷しようとも賢者の石によって再生される。
オプリヌスが一体どのような手段を用いて、ジンの身体から賢者の石を奪おうとしているのか二人にはわからない。
だが、わざわざジンを自分の元に向かわせようとしているのだ。
何らかの算段があるに違いなかった。
最悪の事態を想定しておく必要がある。
「そうだな……一番はそもそも完成する前にオプリヌスを捕らえる事だが……。もし、それが叶わないとするなら――――自分がこれで原点回帰を破壊するしかない」
部屋の片隅からコートの上に置かれたホルスターに納められたリボルバータイプの漆黒の奇妙な銃を取り出してみせた。
「ただの銃じゃねのか……?」
「これは師匠に託された魔銃と言ってな、錬金術師という存在をを快く思わない者達が錬金術に対抗する手段として編み出した太古の武器だ。そして……」
今度は大きなリュックから、細長い小さなケースを取り出してそれをジンに見せつける。
それは金色に輝く一つの弾。
「この弾は、”式崩し”と呼ばれる魔銃用の特殊な弾だ」
「あん? 式崩し?」
「その名の通り、全ての式を破壊するものだ。……師匠は『お前が全てを賭けて救いたいと思った時にだけ使え』と魔銃と一緒にこの一発の弾を自分に託してくれた……」
魔銃、そして式崩し。
初めて聞くその二つの単語にジンは不信感を抱かざるを得なかった。
「それで本当に……原点回帰が破壊できんのか?」
「あぁ、師匠から聞いたんだが……これはそもそも錬金術に対抗する為に世界の理から外れた力で編み出された存在らしいんだ。例え全てを元に戻す原点回帰と言えどこの式崩しには抗えないと思うんだが……」
アンチスミスの遺産である原点回帰ですらこの魔銃と式崩しの前では無力となる事を聞かされるが、ジンにはいまいち理解ができていなかった。
世界の理から外れた力。
それがよくわかっていないのだ。
だが、とりあえず今はそういうものだと納得しておく。
「よくわかんねぇけど……つまりその魔銃と式崩しがあれば原点回帰もぶっ壊せるんだな?」
恐らくこのヘルメスは式崩しを使った事はないのだろう。
「ただよう……もし、そいつが外れちまったらどうすんだよ。……その弾って錬金術で作れねぇのか?」
「いや……師匠の話によると式崩しの弾自体は錬金術で構築可能らしい。ただ……その式は誰もわからないんだ。もし、わかっていたとしても自分には無理だろうがな……」
疑問に悩まされるジン。
「あん? 錬金術で作れんのか?」
「あぁ、弾の構築自体は錬金術で可能だ。ただ魔銃を通して何らかの変換が行われる事で初めて式崩しとしての効果が得られるんだ。だから普通の銃で式崩しを撃った所で普通の弾とは何ら変わりないらしい」
疑問が尽きない。
誰も知らないはずの式崩しを構築する式。
ヘルメスの口ぶりからしても師匠が構築したものでも無いのだろう。
だが、今はそれよりも目の前の問題が重要だった。
「……へぇ。なら、とりあえず弾が作れねぇ以上、もしもそいつを使わざるを得ない状況になったら絶対外すんじゃねぇぞ」
「フ、愚問だな。自分の銃の腕前は師匠のお墨付きだ。任せろ!」
余程銃の腕前に自身のあるヘルメスを信じ、ジンは引きつった笑みを浮かべながら部屋の出入り口へと立つ。
「よし……んじゃ、そろそろ行くか」
「あぁ!!」
リディアを救うべく、そしてオプリヌスの野望を打ち砕く為に。
偽人の青年と、錬金術師の少女は戦いへと赴く。




