イジメからの憎悪編2
それからと言うもの私は塞ぎ込みがちになり、遂には不登校になった。
親は私を理解しようとせず、何度も学校に行かせようとしたが、私は頑なにそれを拒んだ。
学校に行くのはそれほど苦ではなかったが、何よりも春樹の顔を見ることを身体が拒否していたのである。
小学校を卒業し、中学になっても私の不登校は続いた。
このままでは『人間的に駄目になってしまう』『社会に出た時、通用するのだろうか?』そんな不安が寝ても覚めても、私を襲った。
そんな時、決まって私はリストカットを試みた。
二度ほど、救急車に運ばれそのたびに『もうやるまい』と思うのだが、やめることは出来なかった。
お陰で私の左手首は、人に見せられないくらいの傷が残った。
『全てはアイツのせい』
春樹への憎しみはより高まり、殺意さえ覚えた。
◇◇◇◇◇◇
私に対する親の理解も増え始め、中学を卒業する頃には三日に一度くらいだが学校に行くことが出来るようになった。
担任の薦めで定時制の高校に行くことになった。
定時制の高校では私と同じ境遇のクラスメイトがおり、少しずつ心を開いていった。
『私は今まで何を悩んでいたんだろう?』
そう思えるようになっていた。
きっと、同じ境遇のクラスメイトと傷を舐め合ううちに私本来の明るい性格が戻ってきた、そう感じていた。
◇◇◇◇◇◇
私は自分を取り戻し、レンタルビデオ店に就職し社会に飛び込むことが出来た。
少しずつ笑顔が戻り、人付き合いも柔軟にこなせるようになった時、皮肉にも客としてあの男が私の前に現れた。
消し去りたい過去。
思い出したくない過去。
春樹だ。
私は春樹に気付かれないように、うつむき対応に当たった。
「いらっしゃいませ……」
気付かれず、対応が終わろうとした時、春樹の視線が私のネームに向けられた。
「ん? 上岡? お前デービスか? 久しぶりだなぁ」
何年振りに聞いたであろう『デービス』というアダ名。
悪びれる様子もなく私に気さくに話し掛けて来た。
この男に私の学生時代はめちゃくちゃにされたのだ。それなのに、この男は私をイジメた記憶をすっとばし、馴れ馴れしく接してきたのだ。
許せなかった。
私に謝るどころか、イジメた記憶すら残っていなかった。
私は決心した。
『この男に復讐しよう』と。




