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メイドからの復讐劇編1

 閑静な住宅街の最南端に、その屋敷はあった。

その佇まいは、中世の洋館をイメージした造りで、およそ現代には似つかわしくない風貌だ。

 そして、この屋敷でも憎悪が繰り広げられていく。



「亜季さん、亜季さん? 早く来て頂戴。まったく愚図なんだから」


「はい、奥様。何でございましょうか?」


「何でございましょうか? じゃないわよ。私が呼んだら、すぐに来て頂戴って言ってるわよね?」


「すみません……」


「ま、いいわ。このガラクタを全部捨てて来て頂戴」


「しかし、奥様。これは旦那様の大事なレコードでは?」


「いいのよ、こんなガラクタ。早く捨てて来なさい」


「はい……」


 私の名前は『奥山 亜季』

この館に仕えるメイドだ。

何故私が、こんな所で身を粉にして働いているかというと、深い訳がある。


 それは遡ること三年前のことだ。

私には、将来を誓い合った婚約者がいた。

 ある日、私の婚約者はこの女に唆され、過ちを犯してしまった。

当時、結婚資金に困っていた婚約者は、この女に騙されたのである。

そして、婚約者は罪を償う為に、自らの命を絶った。

 その真相を知った私は、復讐するべくあの女に近付いた訳だ。

 私はあの女に媚びて、媚びて、情報を集めチャンスを伺っていた。

 情報を集める中で、わかったことがある。

それは、旦那様と不仲であるということ。

私はそこに目を付け、旦那様に近付くことにした。

 旦那様は、貿易関係の仕事で一山当てた、言わば成金だ。

それだけに、私達一般庶民の生活にも、理解がある。

しかし、あの女は根っからのお嬢様だ。

金で買えないものはないと、信じていた。

 話は戻るが、私はこの広い屋敷の中で、旦那様と不倫関係……つまり、愛人になることで、復讐を果たすことに決めたのである。


「旦那様……奥様が、旦那様のレコードを処分しろとおっしゃってたのですが、どうしましょう」


「亜季さん、それは本当かね。あいつめ、また僕のコレクションを……」


 あの女は、ことあるごとに旦那様のコレクションや、趣味に難癖を付けてきて、その度に私に処分の依頼をしてきた。

 そこで、私は旦那様にある提案をした。


「郊外に、アパートを借りましょう。そして、そこに旦那様のコレクションを納めるのです」


「亜季さん、それはいいアイディアだ。早速、手配しよう」


 私の作戦は完璧だった。

旦那様は、私の意見に同意し、翌日郊外に小さなアパートを借りた。

 そう、私に取っての舞台も整ったという感じだ。

私は、これから先の復讐を考えると、心底震えた。



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