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6.メガネが似合う女性は素敵!

6.メガネが似合う女性は素敵!


 ボクは雫さんからの電話を切ると弁当の残りを持って立ち上がった。

「あれっ?日下部君、どこに行くのかな?」

「雫さんと律子さんがワインのつまみに、余った弁当を持って来てくれって言うから…」

「そうか!じゃあ、その弁当は俺が持ってやろう。日下部君は自動販売機で酒買って来てくれ」

「えー!閉伊さんも行くんですか?」

「僕も伺いましょう。確か、女性の部屋は蔵を改装して作ったものでしたよね。ちょっと興味があります」

「分かりました。じゃあ、みんなで行きましょう。大橋さんに声を掛けてきます」

「あいつはいいよ。放っとこう」

 大橋さんのことは気になったけれど、ボクたち三人は女性陣の部屋へ向かった。

「皆さん、いいお湯でしたよ。景色も最高で…。あれっ?」


 ボクたちが部屋に行くと、律子さんはすっかり出来上がっていた。

「りったん、いい気分みたいだね。ところで、他の三人は?」

「今、お風呂に入ってるよ」

「お風呂?部屋付の露天風呂?」

 言うが早いか閉伊さんは露天風呂の方へ向かって行った。

「ちょっと、閉伊さん!」

 ボクの声など耳に入っていない。すぐに、まゆさんたちの叫び声が聞こえた。そして、薄ら笑いを浮かべながら、びしょ濡れの閉伊さんが戻って来た。

「だから言わんこっちゃない」

 閉伊さんは部屋にあった予備の浴衣に着替え、濡れた浴衣をハンガーにぶら下げながら言った。

「たいへん結構なものを見せて頂きました」

「ねえ、りっき君。そんなに裸が見たいの?」

 そう言って、津子さんが浴衣の肩口を少しだけはだけさせた。ボクはドキッとした。午雲さんも目のやり場に困っているようだ。

「お前のは要らん。見飽きた」

「ええー!お二人ってそういう仲だったんですか?」

「冗談に決まってるだろう!まったく日下部君は真面目というか、何というか…。あっ!もしかして、りったんに気があるのか?」

「鉄人、そうなの?」

 律子さんのとろーんとした目はなんだかとても色っぽい。ボクの顔が赤くなったのは言うまでもないのだけれど、ボク以上に顔を赤くしている午雲さんにボクは驚いた。もしかして午雲さんも…。


 持ってきた弁当はおかずだけをつまんでご飯が余ってしまった。ボクがそれで夜食用の握り飯でも作ろうかと思っていたところに美子さんが風呂から上がって来た。

「あら!日下部さん、おにぎりですか?」

 髪にタオルを巻いている美子さんも色っぽい。

「ちょうどいいものがあるのよ」

 美子さんはそう言って、カバンから梅干を取り出した。一つ摘まむとおにぎりにちょうどいいしょっぱさだった。ボクが使おうと思っていた弁当のカリカリ梅よりよほどいい。

「私も手伝ってあげる」

 さすが、美子さん。

 その後、まゆさんと香穂里さんも上がって来た。ボクは思わず見とれてしまった。お風呂上りの女性ほど男心をくすぐるものは無い。上がって来るなり二人は口をそろえて言った。

「りっきさん、最低!」

「君たちは最高だったにゃ」

 閉伊さんは悪びれることもなく言ってのけた。

 あれっ?この時、ボクが違和感を覚えたのはまゆさん。どこか雰囲気が違う。風呂上がりだということもあるのかもしれないけれど…。そっか!メガネだ!まゆさんはメガネをしている。

「桂さんって、メガネが良く似合いますね」

 午雲さんだ。午雲さんもそう思ったようだ。

「なに?午雲さんってメガネフェチ?」

「うん。そう言われればそうなのかもしれませんね。メガネが良く似合う女性は知的で素敵だと思いますよ」

 閉伊さんの突っ込みを軽くかわしてしまうところなどはさすがだ。

「へー!そうなんだ」

 雫さんがカバンからメガネを取り出した。

「どうかしら?」

「素敵ですね」

「いやだー。どうしよう?午雲さんって、意外と女性の趣味がいいのね」

 いいところを持って行かれた。ボクは握り飯をラップに包んでテーブルの上に乗せた。

 その時、部屋のドアが開いた。

「やっぱりここに居たんですね。そろそろ食事の時間ですよ」

 大橋さんが部屋を覗いてそう告げた。

「えー!面倒くさ~い。ここで食べること出来ないの?」

「はい、はい。分かりましたけど、我儘は言わないでください。さあ、レストランへ行きましょう」

 子供の様に駄々をこねる律子さんをどうにか説得してボクたちは夕食の席へ向かった。




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