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きゅうせいのいちげき

たいへんお待たせしております。

今回は少し短めです。


2015/10/5 誤字脱字用語修正 一部文章修正


「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ」



アンリが頭を掻きむしりながら絶叫する。


『アンリ!?』

ユウキはわけがわからなかった。

アンリから凄まじいまでの魔力が噴き出して、突如消えたことだけはわかった。

あれがなにかをしたのか――だけど、いったいなにを?


『アンリに、なにをした……?』

 ユウキが問いかける。黒い少女はなにも答えない。

「こたえろよっ!!!」

激昂したユウキが、剣をふりかざす。勇者騎が神々しく輝く大剣をかざし、一歩を踏み出そうとして――先に動いた者がいた。


「『穿て、雷光よ(オープンファイヤ)』!!」


桜色に輝く光の束が黒い少女に直撃する。

マユは背後に展開させた大量の魔法陣から、間断なく魔法砲撃を撃ちこむ。

燃やし尽くせとばかりに、一切の容赦なく、苛烈に。

燃え上がる大気、融解する地面。立ち昇る炎をさらに燃やす焔。それは煉獄の業火もかくやと思える極焔。


――黒い少女は傷一つ負わない。


焔えあがる大地を駈けるでもなく、ただ歩く。


「ぉおおっ!!」

マユは雄々しく叫び距離を詰めていく。いくつもの魔法砲撃の光条がきらめき、それはただ一点へと収束する。

地水火風属性魔法の一点集中砲撃。

城塞を粉砕し、山を撃ち抜く超戦術級魔法砲撃。それがただの一点に集中されれば、この地上にあるどんなものでも貫き破壊し尽くすだろう。

だというのに、直撃しているはずなのに、黒い少女は傷一つ負わない。

空を貫く各種属性が込められた魔法砲撃の嵐は、そのまま通り抜けて地を穿ちなにもかも破壊しつくしていく。無駄とわかりながらも連続砲撃を続けながらマユは駈ける。

秒速100m超の速さで駈け、叫ぶ。

「来いっ!!!」

亜空間倉庫から巨大な黄金色に輝く鎚が射出されて、宙で掴む。

神造武装”全てが星の光となる(ゴルディアス・メイス)

黄金色に輝く巨大な聖武具。

神々が鍛えたとされる巨大な鉄鎚。この世に粉砕できぬモノなし、全てが光となると詠われた伝説の神造武具。

己の背丈の十倍以上もあるそれを軽々と振り上げて


「砕けちれぇえええっ!!」


駈ける速度のまま、神鎚を黒い少女に叩きつける。

巨鎚が輝く粒子を吹きだし、大気を割って暴風をまき散らしながら直撃する。

大地が轟砕する。


砕けた地面が飛び散り、土煙が舞い散る中を黒い少女は汚れひとつないまま歩みを進める。


「ちぃっ!! ≪装填、連続射出≫(ロード、ファイヤ)!」

跳び退きながら、亜空間倉庫から投擲神造槍サウザンド・オブ・ワンズを射出。

至近距離で無数の穂先に分裂し、一斉に叩き込まれる。空間を埋め尽くす刃の嵐。

無数に無軌道に閃光のごとく飛び交い、何重もの十字砲火となって隙間なく空間を埋め尽くす。


何十何百何千何百万の甲高い衝突音が奏でられ、無数の穂先同士が多重衝突反射を起こして空間内を埋め尽くし、それこそ蟻の這い出る隙間もなく空間内の物すべてを破壊し尽くす。中心に居る無防備な黒い少女を無数の穂先が貫き続ける。だというのに無傷。


黒い少女は血飛沫もあげず、かすり傷ひとつ負わない。


これ(空間範囲攻撃)でもなにもなし!? いったい、どういう防御なのっ!!」

『マユっ、退いてくれ!! それを殺せない――』

「だめっ!! ユウキは最後っ!!」

 勇者ユウキ(人類最後の希望)が戦おうとするのを強引に止めて、その隙も与えないようにさらに手数を増やす。

マユは激しい焦燥に駆られている。彼女は直感していた――

(あれをユウキに近づけちゃだめ。あれは、もう生物ですらないなにかだっ!!)

ぎりっと歯を噛む。

(間に合わなかった――アンリの魔法が通じないと解ったのに!!)

アンリの意味存在消滅魔法(・・・・・・・・)では対抗できない

マユの勇者特性のひとつ――超直感(・・・)。あらゆる物事の本質を論理・知識・記憶に関係なく理解するそれが発動して解った。

それ(アンリの大魔法)はダメだ、効かないと

止めようとした。だが、あまりにも直前に受けて、そして間に合わなかったのだ。


神代投槍《パ・ラ・ミデュオンの投槍》を掴みだす。使い方なんて触った瞬間に解る。それは彼女(マユ)勇者特性(・・・・)の別の側面。

まっすぐに突きだすように投擲する。手を離れた瞬間、火炎を引いて極超音速で突進。黒い少女を直撃し、大爆散して黄金色の焔で空間を舐め尽す。

焔の中から、傷ひとつない黒い少女が歩み出る。


(なにが勇者特性よ、間に合わなければ意味ないじゃないっ!!)


その直感が告げる。

あれをユウキに近づけてはならないと。

あのUN船もすごく気にかかるけど、そんなのは後だ。味方みたいだから大丈夫――


彼に介入をさせないように怒涛の攻撃。

大量の魔法砲撃とともに伝説の武具を起動させる。

「アイン、ツヴァイ、ドライ、……ナインっ! 目覚めよ、『殺し尽くす九殺』(ナイン・デッドリー)

彼女の勇者武装である武装庫(アーセナル)より、武装を投入する。

九つの大剣が黒い少女を囲むように出現する。


”我が武技を天にまします武神もご照覧あれ”

殺到する大剣の背後に古代の青年英雄を幻視する――

古代の若き英雄が神山ハクトーの怪物を九回殺して殺し尽くした伝承、それが型となった必殺の武技が炸裂する。


九撃同時攻撃。大剣が済んだ音を立てて砕け散り、陽光を浴びてきらめく。


砕け散った武具の破片が舞う中から、当然のように無傷の黒い少女が歩み出る。


「ならっ!!」

両手に召喚した法具を地面に突きたてて神炎を召喚する。

白焔に包まれる黒い少女めがけて、黄金の輪状武装を投擲し、指輪から光の砲撃を放つ。

どれもこれもが彼女の時代の軍用兵器と同等以上の威力。

普通の民間人が扱ったことがある威力ではない。

なのに、恐怖を感じることすらなく彼女は大火力を操り、敵を殺そうとする。

そのことを疑問にも思わない。そのおかしさに彼女は気づいてない。

なにもかも殲滅する勢いで大火力を放ちつづけるのと並行して、マユはPMSDで現象解析し続けている。


空間・重力変動観測されず。紫外・可視・赤外・各電磁波・エネルギー波の差動観測において確率揺動以上の差を確認できず。

当該空間内に目標・存在確認できず。


(PMSDには視えていない(・・・・・・)、なら、なぜわたしたちには視えているの? 科学でわかんないなら、魔法に頼るしかないの!?)

その疑問を胸中に抱き考察しながらも、大量の砲撃魔法を運用する。

投擲兵装を連続射出。大気を燃やして突進する投槍。同時に属性魔法砲撃を二十以上同時に起動して、薙ぎ払う。


そのことごとくが命中しているはずなのに、黒い少女(目標)は以前健在。

マユの方を見ることもなく、ユウキの方へとゆっくりと向かっていくだけ


――その程度の攻撃で、傷一つでも負うと思うのか?


振り向きすらしない背中がそう語っている。傷一つない黒い少女の背中が。


「なら、これはどうっ!!」


彼女の前方に突如開いた空間の裂け目から四枚の大盾が飛び出し、黒い少女の四方を囲うように突き立つ。


中央に女神が浮き彫りにされた黄金色に輝く巨大な盾。

神造兵装《アーテミスの黄金盾》

あらゆる攻撃を反射し、一度奮えば山を、大地を砕く打撃を与えるという神の造りし防護打撃兵装。


「《轟け神雷よ》!!!」

隙間なく四方を囲まれた黒い少女へ向けて、天より極光の轟雷が下る。

神話の時代から天罰の象徴としてありつづける雷。

森羅万象あらゆるものを滅ぼす神の裁きの光。

全天より放たれた極光が、視界を覆い――


周囲の大気を呑みこみ、轟曝風がはるか天へと駆け上がる。

プラズマ化した物質の余剰エネルギーが四枚の盾が作る閉鎖領域に衝突・加速反発して噴き上がり、第一宇宙速度を突破して宇宙へと放出されているのだ。周囲の大気を、物質を渦を巻いて天へと駆け上る巨大な竜巻。

紫電を纏い青白く発光するそれはまさに神の御業による極小の天変地異にも見える。


それなのに


「っ!!!」

ぎりぃとマユは歯を噛み締める。


竜巻より影があらわれた。ヒトのカタチをしたそれは、黒い少女。


「これでもだめなのっ!!」


いかなる敵の攻撃を反射させる究極攻撃的防御装備アクティブ・ディフェンス・デバイスを使ったというのに、それでもなお、黒い少女は無傷だった。


まるでそこにいない、幻がうつされているかのように――

はっとする。マユはひとつの仮定を思いつく。

(時空間軸がずれている……? それなら、確認をする必要がある――)

そうして、ひとつの小さな短刀を武装庫から召喚する。

華麗で豪華な拵えの短刀を鞘から引き抜く。四本指の竜が彫り込まれた黄金色の刀身。

短刀にはとある伝承があった。


駈けだす。


同時に武装庫より投擲武具を射出。無銘と神話・伝説級を織り交ぜ、大量に。

さらに魔法砲撃も四方八方から叩き込む。

いくつもの轟爆が発生し、爆発を爆発が食い合い、大気を、大地を壊していく。

その危険地帯へと怯みもせず跳び込む。

「《我を護れよ、絶海の盾よ》――」

とびこんだマユが前に突き出した手に、もうひとつ武具。

亀甲紋が刻まれた八角形の小型盾≪イスーンシーの亀甲盾≫

――伝承に曰く、かの大英雄イスーンシーが持ちしこの盾は、あらゆる攻撃を跳ねのけ、かざせば炎や竜巻でさえも二手に分かれて道をあけたという。

この盾を憎むべき宿敵悪の大将軍ヒデアーク・トートミーの謀略により、絶世の美女にして英雄を裏切りし大悪女クーネーに奪われたために、かの英雄は悲劇的な最期を遂げたと伝えられる。


爆炎と焔が支配する空間が、かざした≪イスーンシーの亀甲盾≫によって分かれて路となる。

駈ける。

意思が加速する。早く、何者よりも早く――

瞬きすら遅く感じる世界の中、絵が変わるように景色が切り替わる。


黒い少女の背中。手を伸ばせば届く至近距離。


肉体強化だけでは不可能な瞬速移動、いや空間転移にも匹敵する速さで路を駈け


「ふっ――」短い呼気と共に短刀を一閃


――何もない空中に一筋の斬線が走った。空間を斬ったのだ。


神造武装≪チャンムーの短刀≫

かつて偉大なる太祖神に仕え、あらゆる難病を治したと伝えられる巫女チャンムーが、この世に在らざるものを斬るために賜れたという伝承をもつ。かの巫女は時には遥か千里先の里へ足を運ぶためにこの短刀にて空を切りひらいて、たちまちその場所へと姿を表したともいう。


再び短刀を一閃。転瞬、跳ね飛ぶように離脱。


(っ!!、やっぱりっ!!)


離脱の瞬間にマユはたしかに観た。

黒い少女の影羽根にほんの一瞬だけ付いた一筋の傷痕。はじめてつけた傷は、瞬きよりもはやく消えたが、アニメのコマの切替えのようにすぐに消えたが、たしかにあった――


その現象を知っている。そしてフィクションにもよくある。よく似た効果の法具が武装庫内にあることが脳裏に表示される。


(致命傷や傷を肩代わりするなにかで、なんともなくしているんだっ!!)


すなわち”魔法の身代わり人形”、傷や致命傷を肩代わりさせる魔法の道具を使っていると|確信≪・・≫する。

それならアンリの魔法が効果なかった(・・・・・・)のも当然だ。だって、そもそも目標指定が違うのだから効果があるはずがない。

仕掛けがわかれば、その手のものの対処法なんてだいたい決まっている。


(それなら――っ!!)


其れが出来そうな武具を検索する。

該当武具が脳裏に表示。かつて、無より天地を創造した創世神が持ちし伝承の神具――

だが、それだけではもしかしたら足りないかもしれない。

神造武装”全てが星の光となる(ゴルディアス・メイス)”では威力が不足、しかも同時運用はマユでもさすがにできない。

だけれども一人では無理なら二人で――


「姫さまっ!! 聖弓を――」

「は、はいっ!! もうすぐ放てますわっ!!」

「さっすがっ!!」


カーラが聖弓を展開し、莫大な魔力を集め始めているのがマユの視界の隅に映る。

それはとてもとても頼もしい。マユも展開の準備を始める。


(あれを使うのにはこちらも気を引き締めないと、精神をもっていかれる(・・・・・・・)――っ!!)


ゆえに魔法砲撃を絡めた近接戦闘を行いながら、分割思考のひとつを精神統一をさせる。


「どりゃあああああっ!!!!」


巨鎚を叩きつけて大地を轟砕し、間断なく魔法砲撃を浴びせ続ける。

手ごたえがないどころか、まるで効果がない。黒い少女は、そもそも見向きすらしない。


その程度の攻撃、注意を払うまでもないというかのように。


(でも、その慢心がこちらの勝機よ――)


武装庫内で魔力を充填していく。身体の内部を膨大な魔力が流れていくのを感じる。

それはとても頼もしい。

姫さまのあの一撃に、これの威力を重ねれば――許容限界を超えて本体にも影響があるはずっ!!


ユウキに近づけさせない


それだけを考えていた彼女は周りを観ていなかった。そもそも敵は一人で、周りは味方だけ、そのはずだった。だから彼女は気づかなかった。

いや、そもそも最初から彼女は気づかなかったのだ。

そもそも、彼女は何のために召喚(・・)されたのか――戦うためなら、勇者は一人で充分だということに。



  ★★★★



――彼女(あれ)の勇者特性は”武器庫”

あらゆる武具・武装を召喚し、自由自在に操る。

その攻撃力はたしかに凄まじい。正面からぶつかれば絶頂期の近衛騎士団であっても勝利はおぼつかないことだろう。その火力をもってすれば周辺の蛮族どもを殲滅することも容易いだろう。

だが、帝国に必要な力というわけでもない。

なぜならば帝国には絶対最強の力たる魔法を使える優秀な貴族と民と聖武具、そしてなによりも”神器”があるのだから。


カーラは精神の奥底に埋没していく自己の一部で、そう思う。

すでに聖弓は展開されている。そのなにも番えていない弦をゆっくりと曳いていく。

体内を循環し純化させた魔力を、掌から流しこむように意識しながら。

偉大な先人たちが遺した聖武具の威力は込める魔力の量に比例する。

そしてこの聖弓は、帝国随一であると自負するカーラの魔力を際限なく呑み込んでいく。


ほの温かく感じる聖弓が発する聖気にカーラは実感する。


ああ、これこそが最強の力なのだと。


詠うように口ずさむ。

「聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな。今は昔、遥か昔、人を産み、人を見守りし太祖神」


聖なる魔力――”聖気”が集ってくるのがわかる。聖気が、この伝説の武具の本当のちからを引き出してくれる。


『その御名は人が口にすることあたわず、われら卑小なるヒトは御身を敬い奉り』


全身を循環する聖なる魔力(・・・・・)が、身体能力を引き上げえて心を落ち着かせてくれる。


さらに弦を引き絞っていく。


これから行うことに彼女には罪悪感はない。

なぜならば


(あれはただのコマ。帝国のために役立ってくれればいい)


大切なのは、勇者さまのみ。

ほかは勇者さまのために使うモノ。どう使うかは悩ましかったけれど。

アンリが使えなくなったのは痛いし、まさかアレが立ちはだかるなんて思いもしなかったけれど、それとて勇者さまが目覚め、『神器』が起動すればなにほどもないと確信している。

(そう、神器さえ起動できれば、もはやいかなるものとて手出しは出来なくなる)

そうして神器の主となる彼女によって帝国は救われ、世界(・・)は、正しき姿へと戻る。


ゆえにこの一撃は救世の一撃――


『御身の慈悲を願いたもう。御身が力の寸毫を卑小なる我が身へと借身を願いたもう』


白く輝く魔力が集い荒れ狂ってひとつの矢となる。それは黄金色に輝き、まさに日輪の輝きを体現する。

つがえ、引き絞る。

大気を揺るがして莫大な魔力が集い、帝国の至宝たる聖武具に神撃の力を与えていく。


(この一撃は、アレには届かない。されど、これこそが帝国を救う、真に救世の一撃――)


集う魔力が、自身の制御限界を超えていることを感じる。

だが、神造武装イ・スンシーの弓は何ほどもないかのように揺らぎすらしない。

紫電が舞い始め、対魔法被膜の施されたローブ表面が溶けていく。濃密な魔力に反応して溶融しているのだ。

それでもなお魔力を込めていく。身体がきしむ。全身の魔力導環がきしむ。額の魔力器官が激しく脈動してきしむ。

心臓もまた動悸が激しくなり、手足の感覚が無くなっていく――魔力制御を寸毫でも誤れば、待つのは死だ。

(命を賭けないで救世を願うほど、このわたくしは傲慢ではありません――!!)

魔力が収束していく黄金色の矢が、輝きを増し増しで神々しそうな気を放ち始める。


「マユさまっ!!! 退いてくださいましっ!!」

(さぁ、これが救世のはじまり。お目覚め下さいませ、勇者さま。そして救世の神器よ――)


濡れた瞳からひとすじのつぶをこぼして。愛した勇者さまを己が手によって救世の道具としてしまう運命を受け入れて。

全ては、帝国/世界のために


「わが聖なる一撃は、捩じれ暴れ狂いて正しき姿へと回帰する――『祝福された神箭矢(ゴッド・ブレス・)無慈悲な絶撃オブ・アブソリュート・アロー』」


つがえた”神の破邪滅魔矢”をひょうっと放った。


頬を流れる涙は、慚愧か歓喜か……彼女にも判らなかった。



 ★★★★★★



「マユさま!!  退いてくださいましっ!!」

「オッケーっ!! いま退くわ――」

カーラ姫さまの声。準備が出来たと確信。

神造武装の掃射。怒涛のごとくあらゆる武具を叩きつけ、飛び退く。

そして、最後の神具を掴むべく手を伸ばし――

マユさまっ(・・・・・)!!」 カーラの鋭い、まるで悲鳴のような声。


トスッ……


マユの胸に軽い衝撃。視界がぶれた。武具を取ろうとしたが、ぶれたために取りこぼす。

空中を自由落下しながら、見下ろす。

「え?」

呆然とする。みえたのはぽっかりと開いた空虚な黒い穴。そこには(・・・・)なにもない(・・・・・)


な、にが――


声が出なかった。



――カーラの放った聖武具が一撃、黄金色に輝く光の矢(・・・・・・・)

大気を激しくかき混ぜ、黄金色の尾を引きながら突進したそれが黒い少女に命中する寸前、急角度で曲がった(・・・・)

まるで反射(・・・・・)したかのように《・・・・・・》。

その速さのまま、マユの胸を貫いた。


地に墜ちたマユがもんどりうつように地面を転がった。


「――」


震える手を勇者騎のほうに伸ばし、口を開こうとして

黒い砂が崩れるようにして身体が飛散して消えた。


服がばさりと地に落ちた。


















『マ、ユ?』























さぁ、勇者さま。お目覚め下さいまし。

全ては帝国(わたくし)のために


救世の聖女は頬にひとすじの雫をながして、祈りを捧げる。








一話一殺いちわいちころ! 予定通り、予定通り(棒

書いた分はまだあるのですが、ここがちょうどキリがよかったので。


次回、ついにスーパーロボット戦闘。ここまで長かった。

ノリノリでキーボード打つ手が滑らないように気を付けて大変です。

そして最終回まであと三話(予定)


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