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そして、物語の歯車が回る


「父上は、甘すぎるっ! いまこそ我が帝国の武威を示す時っ! 蛮族どもには躾が必要なだというのに!!」

皇帝執務室より退出した皇太子は、抑えきれぬ怒りをあらわにしていた。

 閉じた重厚な装飾扉の両脇に立つ当直の騎士たちは、皇太子の怒声にわずかに身じろいだが沈黙。

下手なことを云えば、叛意を疑われかねない状況だ。ゆえに訊かなかったことにしたのだ。


しかし、皇太子に付き添っていた側近たちは口々に同調した。

「殿下のおっしゃるとおり!いまこそ帝国の威信を示すときっ!」

「蛮族など我らが出れば鎧袖一触。たとえそうでなくとも我ら帝国が負けることなどありえぬ」

「われら魔法師の一声で奴らなどゴミ塵となるからな」

「そうだ、一市民ならともかく、我らほどの一流の魔法師が出陣すればやつらなど瞬く間に滅びるというのに」

「あの恥をさらした騎士のバカ次男めっ!! なにが西方大提督だ! まったく死んでいなかったらこの手で八つ裂きにしてやったものを。最後まで運のいい奴だ」


 皇帝執務室のある外宮殿を巡る庭園回廊を、足音も高く歩きながら不満を口にする皇太子たちは、停める者もおらず、ますます高揚していく。

このまま、自分たちの私兵だけで出撃しようと結論が出そうになった時に。


「だいぶ……殿下は……荒れておられるようで…………」

「無礼者っ! 誰だっ!」

 護衛も兼ねている皇太子直属の近衛騎士がさっと柄に手をかけた。

それは侵入者を警戒してではなく、主の一言あらば無礼討ちをするためだ。ここは皇帝執務室もある皇帝城外宮殿。警備は万全である。

 回廊の柱の影から現れたのは、灰色のローブ姿の人物。フードを深くかぶり姿かたちが判らない。

「我らは……帝国諮問機関《ダ=イ・コーリョの番人》の者です」

そういって、ローブの裾から皺だらけの手に握られた黄金色のメダルをだして、示した。

そこには渦巻のように分割された円と絡みつく蛇のようなドラゴンの図案が掘りこまれていた。

遥か古代には太極図と東洋の竜と呼ばれたものに近いデザインであるが、皇太子一行は当然知らない。

「父上の諮問役が何の用だ?」

 あからさまに警戒しながら皇太子が問う。

「ただいま……殿下が……抱えている不満に……ついて……我らが力を…御貸し……出来るかと」

 ローブ姿のそれは彼らの警戒を気にした様子もなく、皇太子へと力を貸せるとゆっくりと伝えた。

皇太子たちは聞いたことがあった。

彼らは〝東方三賢者〟と呼ばれる三人を長とした帝国直属の機関であり、皇帝の権力ですらその身に及ばないとされる。その一方で、権力は一切持たず、ただ皇帝へ直言が可能とされており、事情を知る貴族でも皇帝陛下の私的諮問機関だと思われている。

皇太子も未だその実態は聞いたことはなかった。

疑問は確認せねばならぬ。いくら帝国の後継者とはいえ、彼もいまは臣下でしかない。

陛下の決定には逆らえないのだ。

「汝らは陛下直属の機関だろう。いったい何をたくらむ?」

「殿下には……誤解が…ありまする。我らは帝国直属の……機関。その身に……権力は及ばず、帝国に直接影響を与えること……能わず。我らは……ただ皇家に言を申すのみ……」

「ふん、言を申すのみというか。では、何の役にも立たぬ。いま、我に必要なのは力なのだ。調子に乗っている蛮族どもを粉砕するような、な。そしてそれは既にあり、あとは父上がお認めくださればいいことだ」

「おそらく……それは……叶いませぬ……」

「なぜか?」

「蛮族の……力が……おおきく……なっておりまする。それは……まだまだ……帝国に……はかない……ませぬが…………被害……が増え……ることを懸念……され……ておられる……ものと……」

「被害なぞ、あとでいくらでも回復できる。奴らが増長しているいまこそ、その勢いをくじくべきなのだ」

「殿下は……それで……よろしゅ……うございま……すが……陛下は……常に帝国……の未来を……見据えて……動かねばなりませぬ。ゆえに……陛下は現……在の状況で……は動い……てはならぬと……判断されたものと」

 それは不遜な発言であった。つまり、殿下は未来への展望が見えていないと云ったに等しい。

「つまり、今の戦力では負けるというのかっ!! わが帝国がっ!!」

側近達の激怒にも臆することなく〝番人〟は言葉を続ける。

「残念……ながら。我ら……もまた……陛下の判……断を支持い……たしまする」

 深々と頭を下げる。それは許しを請う体勢でありながら、ただ礼式に則っただけの完璧な礼だった。つまりは、その程度の存在であると宣言したのであるが、それに気がついた側近達は皆無であった。

「貴様っ! 帝国を愚弄するか」

「我……らは帝国直……属の諮……問機関。冷……静に現況を……伝えること……こそ我らが使命が一つ。耳に痛……く感じられ……ても受……け入れて……く……ださるように……お……願い申……し上げ……まする」

 激高する側近達など気にもかけずに、それはゆっくりと頭を下げる。

 それが側近達をただ無視したのではないことに皇太子は気がついていた。側近達が己を傷つけることが出来るなど微塵も思っておらず、ただ皇太子をみているからなのだ。

それはただ権力に守られているだけの小者の態度ではない。なにか、そう圧倒的な強者が見下ろすのと同じだ。そして、彼を試している。

己よりも位が低い、いや、そもそも位のない者が帝国の後継者足る我を試す。

 沸騰しそうになる頭の片隅で、面白い、と彼は思った。

「そこまで云うからには打開策があるということだな?」

 皇太子が見下ろしながら冷酷に問う。

先ほどのまでの怒りからの豹変。

それは大帝国の後継者にふさわしい堂々たる態度だった。

 側近達は息を呑み、一斉に臣下の礼を取った。

 ローブ姿のそれは再び深々と頭を下げ、合わせた手を掲げた。それは敬意を込めた礼だった。

「素晴……らしき力……を、我ら……はご……用意で……きまする」

「素晴らしき力だと?」

「そう、我らならばご用意できまする。あのユニカの朧影騎士を上回る戦闘兵器、かつて星々の大海を渡った神々の船にも匹敵する知識を、兵器を、かつて人類が持っていた力をっ!」

 力強く断言するローブ姿のそれ。老人のようでもあり、夢見る少年のような力強さを持った言葉に、皇太子は魅かれるものを感じたが、口にしたのは別のことだった。

「ふん、ならばなぜそれを父上に渡さないのだ」

「皇帝陛下は、我らが超技術を使うことを善しとせず、基礎研究を地道に行うことを奨められました。その結果はどうでありましょうや?

フードの下でそれはかすかに首を振った。

「成果はなにひとつもありませぬ。ここ数十年で進化したものはなにもなく、魔装騎士とて小改良がいくつか施されたのみ。我らの優れた先進知識やユニカを超える超技術があるにも関わらず、陛下は見向きもされませんでした」

「陛下がなすことが不満だというのか」

「いいえ、我らはただ憂いております。祖国を愛する我々は憂いております。周辺の蛮族どもはゆっくりとはいえ少しずつ進歩してきております。帝国は、かつての繁栄をいまだ取り戻しておらず、この五百年はほとんど停まっております。我らが知識を、力を使えば繁栄が約束されているというのに、歴代の陛下方は、変化を好まれませんでした。このまままた五百年が過ぎれば、もしかしたら蛮族どもに抜かれてしまうかもしれませぬ。ゆえに今のうちに叩いておかねばならぬのです」

 フード姿のそれは、言外にあなたは違うのだろうと云っていることに皇太子は気づいていた。

「――問おう。お前たちを活用すれば、帝国はもっと強くなれるということだな」

「疑うべくこともなく」


「ならば、()に寄越すがよい! 蛮族どもを薙ぎ払い、天塔騎士を超え、あのユニカをも滅ぼせるような力をっ!!」

 皇太子は力強く宣言して、手をつきだす。

「我らは提供いたします。

《ダ=イ・コーリョの番人》の名において、我らは貴方様に提供いたします。

かつて大地を割り、海を裂き、空を越えて星々へと渡った人類の英知を。

我らは提供いたします。あの永世中立監視機構ユニカなど足元にも及ばぬ絶対の力を。

我らは提供いたします。祖国の栄光を万世未来永劫永遠不滅のものとする力を――!」

 ばさりと、フードをを外す。

肉がそぎ落とされて頬骨が見える皺だらけの老人の顔。透き通るような白髪の間には宝石のように艶やかな紅い雫の形をしたものを額に埋め込んでいる。

 見た者を凍りつかせるような眼力が込められた黒瞳。――狂気と憤怒を孕んだ憎悪のカタマリ

それは蔑まれ続けた者が持ち得る何か。

「すべては偉大なる我が民族、永遠不滅にして偉大な我らがグランリア大魔法帝国のために――!!」



      ★☆★☆★☆



「どうしてボクはこんな格好で正座させられているのでしょうか……」

 暗闇の中、スポットライトに照らし出されてたフェテリシアが正座している。

ちなみに一糸まとわぬ姿で、金属製の重たい頸木と手枷がはめられた、いわゆる全裸待機の姿勢だ。

 少女の両側には身体の前に竹刀を突き立て、柄に手を乗せたメイド服姿のゴーレムもといメイドロボがいる。


「それはキミが規定違反をしたからなの~~~~」


不意に各辺の比が1:4:9の黒い四角柱――モノリスが空中に現れて、抑揚の少ない少女の声が響く。

正面に光り輝くユニカの紋章とアルファベットで〝Rey〟の表記、その下に薄紅色に輝く「さうんど・おんりー♪」

ただし日本語平仮名なので、フェテリシアは文様だとしか認識していない。

ばばーんと口で効果音を出していきなりのたまった。

「とりあえずー、ユーアーギルティ(有罪)

「早っ! まだ開廷してないですよっ!」

「うんうん、いい反応だね――でも有罪」

「せせせめて、証言(言い訳)をっ!」

「はははは――てめぇ、本部中枢システムに虚偽申告しといてただで済むと思ってたのか、ああん?」

 急にドスの聞いた声に変わり、彼女の目の前に移動したモノリスがぐにょりと曲がってフェテリシアを下から覗き込む。

 別に目があるわけでもない、ただの黒い石板から放たれる異常な圧迫感。

 彼女の顔中から滝のような汗がだらだら流れる。

「わかってるかナァ? 天塔騎士はユニカの全権代理人、その行動すべての責はユニカにある。ゆえに虚偽報告は最重要な犯罪だヨ? それは上層部が誤った判断をする原因になるのだから。なにか異論はあるかしら?」

 突如、モノリスの直上にに四つの空中投影映像の通信ウィンドウが開き、四人の特徴的な美女がそろう。

「ありません。重大違反に該当しています」

 金髪で巨乳、薄茶色の瞳をもつ北欧系の美女――コード・アイン大佐

「許されない違反アルよ」

 黒髪を一本の三つ編みにした普乳なアジア系の、いつもにこにこ陽気で糸目な美少女――コード・ヘキサ大尉

「ゆるしちゃうと、後々の人のためになりませんねぇ」

 銀髪で服の上からもわかる美乳をもち、空の青色の瞳をしたアングロサクソン系の美女――コード・フィーア中佐

「うんうん、ゆるしちゃだめだから、私の下でしばらく修行(ペット)とかどうだろう?」

 ウェーブのかかったプラチナブロンドに黒い肌、サファイヤのような碧い瞳の妖艶な美女――コード・サード少佐

 なぜかフェテリシアに執着している彼女は妖艶な仕草でちろりと唇を甞めながら提案する。ヘンなルビがふってあるような気がフェテリシアにはした。


「さて、聞きたいことがなにかありそうだよね、だよね?」

 まるで両手を広げるかのようにぐにょーんと伸びるモノリスがたずねる。

「えと……質問いいですか?」

「はい、フェテリシア被告!」

ずびしっ!と人を指差す形にモノリスの端が変形。器用である。

「虚偽報告が問題になっているだけなんですか?」

「そうよ?」

 ふにゅんと小首を傾げるようにモノリスが歪む。フェテリシアはおそるおそると尋ねた。

「あの、その……あの母娘を助けて施設破壊とかの罪は……」

「なにか問題なの?」

「え?」

「指令の優先順位はとくに付けていなかったよね? なら、どれを優先するかは現場の判断に任せたということだけど?」

「え……? ええー、あれってそういう意味なんですかっ!!」

「おいコラ、まさか理解していなかったのか?」

「そ、そんなの――」

 焦って、直属の上司であるコード・アイン大佐の通信ウィンドウを見上げる。

 彼女はむしろ不思議そうな顔をしていた。ほかの天塔騎士たちもまた同じ顔つき。

そんなのあたりまえだろ。

無言の言葉がフェテリシアのない胸にドスドス突き刺さる。

「え、え? ええー!? そ、そんな……」

 フェテリシアはがっくりとうなだれた。もう処刑されるくらいの覚悟を決めて実施したことが実は別に罪でもなんでもなかったという精神的ショック。真っ白な灰になりそうなくらい落ち込む。

「こまめに報告はしろっていつも言ってるだろうが。何のための本部直通通信回線だと思っている?」

 アインがあきれたように云うが、フェテリシアはその辺の理解が今ひとつだった。

それはそうである。過去の歴史で云えば、中世に暮らしていた人間が21世紀後半のリアルタイム通信による戦争をしろと云われているのだ。いくらいろんな知識を覚えているとはいえ、活用するにはやはり経験が不可欠なのである。

 その意味では、今回が初の対外任務である彼女には荷が重いのだが、そこはユニカ上層部に思惑があったために彼女が選ばれていた。

しかし、そんなことは彼女は知らないし、上層部も教える気がない。

 それはユニカが望んだ結末へと導く一手、傲慢にも神をも超えようとした人類が導き出してしまった最終神話の駒だということを、彼女はまだ知らない――。


「まぁ、それはそれ、これはこれ。なんにせよ、重大な犯罪をしたことには違いないので、超即決判定~っと」

 かこーんと木槌が打ち鳴らされる音がする。

「はーい、陪審員の方々、判決をどぞー」

 えらく軽いノリで、モノリスが振り返るようにぐにょんと曲がる。

てゆーか弁論はどうした。

「有罪」「有罪」「有罪」「有罪」

 コード・アインは目をそらして口笛を吹くような感じで。

 コード・ヘキサは糸目のまま、にまにまとおもしろそうにして。

 コード・フィーアはあらあらまぁまぁとにこにこと容赦なく。

 コード・サードは妖艶な流し目ではぁはぁと獲物を狙うような感じで。

 それぞれ有罪の札を挙げている。

「では全会一致で『有罪』。まぁ、疑いの余地なかったから仕方ないよね」

 フェテリアの頭上にぺっかりこんと各国語で有罪と表示される。

「さて、有罪となったフェテリシア被告ですが、その刑罰について――」

「はいはーい、私の下でしばらく修行(ペット)がいいかと思います」

 コード・サードが手を挙げて勢いよく提案する。彼女は無類のかわいいもの好きが高じすぎて、かわいい少女をはべらす大望を抱いていた。

ほかの三人はまたかという顔をしつつも、特に否定はしない。

次に提案したのはコード・フィーア。

「そうですね、拘束してしばらく宇宙空間漂流とかどうかしら? 空気をもとめてぱくぱくする姿なんかかわいいと思いません?」

 実はおっとりした姿をしながら、いちばんヒドイことを提案する嗜虐美女だったりする。

「それもいいアルが、伝説の人体盛とかはどうであるか? このまえレシピを発掘したネ。フェテリシアなら、きっとおいしくいただけるネ」

 すちゃっとバカでっかい万能中華包丁を取り出してぶんぶん振り回すコード・ヘキサは見た目通りというか、世界三大料理と呼ばれていた中華調理の鉄人である。珍奇な食材を探して年中放浪しているのだが、珍しく本部にいたらしい。

ところで、それ(人体盛)は中華か? いやそれ以前に料理なのか? そして〝おいしく〟はどっちの意味(食的か、性的か)だ?

謎は謎のまま会議は踊りそうになったので、実は一番の良識家(ただしこの場にいる人物に限る)であるコード・アインが発言する

「あー、規定にある刑罰服着用でいいかと思いますが」

「それだ」「それネ」「そうねぇ」

 テキトウな会話にもなっていない好き勝手な提案をしていた三人が同時に肯定する。

お前ら仲いいな!?

「うん? 陪審員としては刑罰服着用刑が全員一致で判決? ファイナルアンサー?」

「おっけ~」「まぁ、いいアルね」「そうねぇ」「あーいいんじゃないでしょうか」

 期待に満ちた視線が二対、いつもどおりにこにこしているのが約1名、視線をあからさまにそらしているのが1名。


「あー、じゃぁ第……えーと、面倒だから123回でいいや……超即決裁判、判決。フェテリシア被告を刑罰服着用刑Lv.5とする」

がこーんと木槌の効果音。空中に大きく投影されているユニカの紋章の下に判決が各国語で表示される。

「……ボクの弁護は……」

「ゆるゆるだけど、いちおう軍事裁判だからネ。さて――」

 むちゃくちゃな暴言を吐いて、モノリスが通常の形に戻り、判決文の下に移動する。

「いやぁ、規定にあるとはいえ……コレ着る子は久しぶりだわ。前回はたしか……」

「「「そういうことは云うべきではないと思います」」」

なぜか、ウィンドウの天塔騎士達が揃って発言する。

「そう? まぁ、いいや。ではお披露目~」

 すっごく投げやりな声でモノリスがぱちんと指を鳴らす(仕草をした)

 ばんっばんっばんっ、とスポットライトが多方向からあてられて、それが暗闇に浮かび上がる。


「――え……えええええええっ!!!!! な、な、な、なんですか、それぇええええええ」


 無表情なフェテリシアの顔が真っ赤になった。

あまりにあまりなデザインの服。むしろ全裸の方が潔いんじゃないかと思ってしまうくらいの。


「むかーしむかし。在るところにこう云った人が居たの。『えっちな格好のバニーさんがキライな男の子などいないっ!!!』 ――素直な女の子がそれを真に受けて着てしまったのよねぇ……めっさ引かれたけど」

 モノリスがとても懐かしそうな感じで説明もとい独白している。

「その女の子はトラウマになっていて。偉くなったときにふと思いついたのです。このトラウマ晴らさでおくべきか、と。そういうわけで、重大違反者にはこのコスプ――専用防護服を着てもらう伝統になったのです」

 モニタ越しの天塔騎士たちの目線には哀れみがこもっている。

アインに至ってはあからさまに視線をそらしている。

「なにが刑罰ですがっ! そんなの着て歩き回るなんて――いくらなんでもおかしいですっ!!」

「えー、でもこれ着ることにしたら違反者が激減したんだよ?――なにせ、男女兼用だからねぇ……ぅふフふ」

 言葉の後半が黒いどころか混沌よりもなおも黒い闇のようにどろどろとしたモノ這い寄ってくる錯覚を周囲に覚えさせる。通信ウィンドウの天塔騎士たちも顔に冷や汗を流してそっぽを向いている。

「ううぅ……横暴だ、人権無視もいいところだ」

「ははははっ――天塔騎士に人権なんかあるとでも思ってるー? 〝星の守護者〟全権代理人になった君たちは――ヒトとして在る権利なんかない。つまり、ボクの身代わりの手足(ひまつぶしのおもちゃ)なんだから」

 モノリスがひーひー笑いながら、フェテリシアの頭をぽんぽんと器用に叩く。

 すっごくむかつきながらも、さすがに怒れないのでがっくりとうなだれながら、ぶつぶつとつぶやく。

「――判ってたつもりだけど、これはないとおもう……」

「まぁまぁ、かわいいよ、きっと。ごく一部の特殊な性癖の人なら押し倒しちゃうくらいだよ、うん、うん」

「そーいうのはもういいです……うぅううう……こういう時こそ、感情が薄い    がうらやましい……って、あ、あああああぁっ!」

突如、少女は閃いた。閃いてしまった。

「   めっ!!、こうなるの気がついて、引っ込んだのかっ!!! 何考えてんのよ、身体はあんたのものでもあるでしょうがぁあああああああっ!!!」


 少女の魂からの慟哭が闇に響いた。


副題 バカばっか。(ダブルミーニング的な)


ユニカはこーゆう人間が集まっている組織です。

あんまりまともなのはいません。



最近の楽しみー

 新作投稿したら、どれくらい評価(登録解除)が下がるか。(自虐


 まぁ、仕方ないとはいえ、モチベーションはだださがりなのもしょうがない。


 さらにSF部門に変更したらアクセス数まで下がっているのは予想していたとはいえ、けっこう精神的にクるものがありますね……。



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