マジカル☆バニーと愉快な近衛騎士さんたち<1>
Arcadia様の方でたくさんの感想をいただいたので、続き書いてみました。
2014/04/27 誤字脱字修正
肉を打つ音が部屋に響き、少女の苦痛の声が漏れる。
「ぅっ……」
「ふん、さすがに我慢強いな」
冷たい声で黒髪の女騎士がつぶやきながら、ひゅんっと風切り音をさせて殴打用鉄棒の血振りをする。
女騎士の目の前には長い黒髪の少女が膝立ちの姿勢で拘束されていた。
彼女の身体にはいくつもの殴打の痕があり、青黒く変色している。
手枷と足枷、そして両腕を天井から鎖で吊り下げられてろくに身動きもできない。
足枷の鎖もまた床に打ち込まれた鉄環につなげられている。
長い髪は紐で適当にくくられて背中に流されている。
女騎士がぶんっと腕を揮い、少女の横腹に鉄棒をめり込ませた。
「うぐぁっ!!!」
「さっさと吐けばよいものを。そうすれば、ラクにしてやるのにな」
冷たい眼で見下しながら、アフィーナは唇の端を歪める。佩いている剣の柄を叩きながら。
「……」
フェテリシアは無言。その瞳は、何の感情も浮かべていない。
「なんだ、その目は。まだ立場が判っていないようだなっ!!」
アフィーナが腹を蹴りあげる。小柄な少女の身体が鎖の音を響かせながら浮きあがる。
女騎士が身体強化を発動、三倍に加速した拳を叩き込む。
「う、げぇっい!!!」
フェテリシアの小柄な体に拳打が四つほぼ同時にめり込んだ。鎖がぴんと張って、手首の肉がぎちりと軋む。
反動で戻ってきたフェテリシアに、女騎士は横回し蹴りを見舞う。装甲ブーツが柔らかな腹部にめり込み、メキメキと肉がきしむ音。
普通の人間ならば、ほとんど即死の攻撃。
「うっ、ぐぅ……っ」
それでもなお、フェテリシアは苦悶の声を漏らすだけだった。
「ふん、さすがに頑丈だな。これだけしてもすこし血を流すだけか。ああ、まったくいいストレス解消道具だな、それくらいにしか役に立たぬがな」
アフィーナが嘲る。彼女は尋問の名目でフェテリシアを嬲っている。
彼女は気が付いていないが、少女に敗けたという意識を上書きする行為だ。だから彼女を徹底的に貶めて、自らの優位を確認する必要がある。そのため、暴力行為はエスカレートするばかりだった。
――本来ならば、皇姫直属の近衛騎士である彼女がこのようなことをすることはない。
だが、皇妃とカーラ姫がフェテリシアの持ち物を所望したため、強引にねじ込んだのだ。
「……ま、さか、他の人間に、もこんなこ、とを……?」
息も絶え絶えにフェテリシアがつぶやくと、意外にもアフィーナは律儀に答えた。
「〝人間〟にこんなことをするわけがなかろう? まぁ、たまに家で飼ってる〝蛮族〟で憂さ晴らしするぐらいだ。うっかり本気を出すと死ぬからな、せいぜい鞭で躾けるぐらいだがな」
なにを当然という風に云ってくるアフィーナにフェテリシアは愕然とする
(そこまで、腐ってる……いや、もともとそうだった? ボクが知らなかっただけ……?)
フェテリシアにもなんとかその論理は理解できていた。
自分も昔はこの国の貴族だったのだから。あまり覚えていないが、たしかに家には〝蛮族〟がいて、なにかをしていた……。
「……もう回復しているみたいだな、では続きと行こう、かっ!」
「うぐっ!!」
少女の肩口に鉄棒が振り下ろされる。ごぎりっと骨が軋むような音。
「さっさと吐け、あのキャリアの防衛魔法を解除する方法を。いま話せば、すぐにラクにしてやるぞ? わたしは優しいから、なっ!」
「っ!!」
装甲ブーツの脛当てがフェテリシアの側頭部に叩き込まれて、パンっっと甲高い肉打音が響く。加減はされているが、それでも相当の衝撃が頭を貫く。
「さっさと吐いて、ラクに、なれば、いいものをっ!」。
前蹴りを腹部に打ち込まれて跳ね飛ぶ。鎖がぴんと張り、反動で跳ね返るフェテリシア。
そこにアフィーナは膝蹴りを叩き込む。
「ぐふっ、がはっ、あ゛……」
激しく咳き込むフェテリシアの髪をつかんで頬を裏拳で殴る。
「さっさと吐け。早く手元に置きたいと皇后様も姫様もご要望されているのだ」
アフィーナは尋問を続ける。
すくなくとも彼女にとってそれは尋問で、終わった後に殺してやることを慈悲だと思っている。
魔法も使えない蛮族をいちおう人間扱いしているのだから。
「……あれは機関のもので個人所有じゃない。機関の許可なく貸与または譲渡することは許されない」
「はっ、盗人猛々しいとはこのことだな。この世界のすべてはわが大魔法帝国のもの。お前たちが盗んだものを返してもらうのだ、許可なぞいるか、阿呆が!」
言葉とともに頬を殴りつける。赤くなる右頬、そして今度を左頬を殴る。
尋問という名のただの暴行は続く。
アフィーナの主張にフェテリシアは答えるのもめんどくさくなって、何も言わない。
適当に苦悶の声をあげて、フェテリシアはその尋問という名のただの暴力を我慢する。
彼女にはもう少しだけ、ここにいる理由があったから。
☆★☆
帝国東方戦線――
「くそ、蛮族どもめっ! 調子に乗るなっ!! 《聖なる光よ、わが眼前の敵を――》」
小隊長が戦死したため、指揮権を引き継いだ副隊長が魔法言語を高速詠唱、発動しかけたところで大量の銃弾を浴びて肉塊となる。
その光景を見た部下たちが狼狽して、詠唱を中断してしまったところに同じ脅威が襲う。
まとめて肉塊になった帝国兵達を極太のソリッドタイヤが挽き潰していく。
屋根の上から布を裂くような音を奏でながら、大型車両がゆっくりと前進していく。
それは奇妙な箱型の大型六輪の車両だった。巨大な平たい箱型車体の上に旋回する箱――銃座が四隅にあり、それぞれから丸太のように太い砲身が伸びている。
人の背丈ほどもある巨大なソリッドゴムタイヤが両脇に六つ装着し、地形に関係なく傲然と地を走り回る。
そして、遠距離からの砲撃魔法を弾く装甲で覆われている。至近距離ならば破壊できる場合もあるが、200メートル以上離れると焦げ跡が付く程度という強固さだ。
主武器である水冷式機関銃――7.56mm多砲身機関銃による猛烈な弾幕は、男女有能無能士官兵士関係なく肉塊に変えていく。
小銃の銃弾を防ぐ防御呪文でさえも、さすがに秒間40を超える弾丸を浴びせられれば耐えきれない。
魔法騎士たちが超加速で斬り込もうにも、100メートルも駆けずに鉄の嵐に襲われる。
身体強化中は高速で動き回れるが、物理法則を無視しているわけではない。
急激な回避機動を取れば相応の身体負担はかかるし、足場のない空中では方向転換もできないのだ。
いくら騎士の全力疾走が秒速100メートルを超えるといっても、それは直線における最高速度であって回避運動をしながらではかなり速度が落ちる。
弾幕を突破して接近すれば、今度は40mm擲弾連射器の爆発が襲う。有効半径20メートルもある爆発と破片は魔法騎士でも回避しきれない。被弾して足を停めれば、多砲身機関銃の掃射でひき肉へと変わる。
魔法騎士にもなす術がなかった。
「おおおおおおおおっ! なめるな、蛮人どもがぁっ!」
一人の魔法騎士が血しぶきをあげながら弾幕を突破し、防御魔法を擲弾の爆発で破壊されながら車両に取りつき、剣を突き立てようとした。
その瞬間、ぼひゅっと間の抜けた音と主に小さな缶が直上に跳びあがり、破裂した。
「ぎゃああああああっ!!!」
降り注いだ大量の鋭い鉄片が、魔法騎士の身体を貫き、車両の装甲を叩く。
近接防御擲弾によりズタズタにされた魔法騎士が地面を転げまわっていると、そこに銃座から猛烈な掃射がなされて肉片になる。
魔法騎士が細切れになっていくのを見た帝国軍兵士たちは顔を青ざめて恐怖する。
「くるな、くるなぁっ!!」
魔法構成をろくにまとめられていない火球を乱射して後ずさる帝国兵の腹が銃撃で破裂する。
錯乱した帝国軍兵士たちの乱射している砲撃魔法もろくに収束していないため、効力がほとんどない。
崩壊した戦列を共和国軍の対人掃討装甲車が全周囲に鉛と硝煙をばらまき、死を大量生産しながら、ゆっくりと蹂躙していく。
帝国軍が総崩れと成るのは時間の問題だった。
必死に魔法で応戦している小隊長代理に帝国魔法騎士で生き残っている部下が叫ぶ。
「魔装騎士です、魔装騎士が来ましたっ! 助かったっ!!」
希望が灯った帝国軍兵士たちが歓喜して、腕を振り上げる。
彼らの後方から轟音を響かせながら巨大な甲冑騎士が土煙を上げて疾走してくる。
その表面には無数の弾丸の火花が飛び散っているが、貫通できずに傷を付けるだけでなんともない。
4両の対人掃討車のうち1両に肉薄し、巨大な剣を抜刀、振り上げる。
次の瞬間、剣をもった腕の肩部が大爆発した。
振り下ろされようとした剣がくるくると回転しながら地に突き立った。
動きを停めた巨人騎士の正面に次々と爆発が生じ、そのたびに装甲が歪み、砕けていく。
巨人の腕が折れて後方に跳び、腰の装甲が割れて下に落ち、首が爆発して頭部が轟音を立てて地に落ちた。
「な、なんだ、あれはっ!」
動体視力を強化している騎士が、超高速で飛来する太く尖った椎の実のようなものを視認していた。
それは、共和国軍の遥か後方から轟音と共に飛来してくる。
そこでは閃光のような火焔がいくつもきらめき、数瞬を置いて魔装騎士と周囲に次々に着弾して大爆発を起こす。
「いつまでも〝科学〟なめてんじゃねぇぞ、魔法使いども……!」
ティーナ諸民族共和国連合軍〝自走砲撃車〟部隊第七小隊々長が光学照準器を覗きながら豪語する。
頭の上で防音ヘッドフォンに挟まれた狐の耳がひこひこと動き、口元をゆがめている。
「次弾装填完了!」
砲弾を装填して尾栓を閉じた砲填手が怒鳴る。照準手が光学照準器を覗きながらハンドルを回して照準を微調整する。
同じ照準器を覗いていた車両長を兼務している小隊長が数値をさらに微調整する。
「照準手、下方、マイナス0.3だ、各車両に伝達!」
有線で20メートルほど離れた配下の三両に伝達されて、砲塔の上下角が手動ハンドルで微調整される。各車両の光学機器と連動して、一騎の魔装騎士に照準が手動追尾に入る。
「全車両、一斉砲撃、撃っ!」
命令とともにガギンっと引き金が引かれる。
4両の56口径88mm滑腔砲が炎を噴く。次の瞬間、500メートル先の魔装騎士に三発の徹甲榴弾が命中、胸甲部が歪んで仰向けに倒れた。
〝自走砲撃車〟
ティーナ共和国技術院が試作開発し、共和国軍が正式化した最新鋭の兵器である
それは六輪車両に巨大な砲を積んだ高速移動砲撃車両である。
横幅の広く平たい車体は、88ミリ砲の強大な反動に耐えるために横幅を広げた結果で、砲撃の衝撃に耐える剛性も必要であったため、重量もある。
そのため荒地走破性は良くなく、移動速度も速くはないと欠陥兵器に近い。
だが、それを補って余りあるのが56口径88ミリ砲である。
沼地の底より発掘された装甲車両を徹底的に研究して、ほぼ同等性能の再現に成功した最新砲である。
共和国の誇る鉄槌騎士の格子結晶装甲でさえも500メートルの距離から打ち抜くことが可能なこの88ミリ滑腔砲を主砲とした自走砲撃車は共和国軍の秘密兵器であった。
それを投入した今回の戦闘は、共和国軍が全力を挙げて帝国軍の殲滅を図っている証でもあった。
なお装甲がほとんどないのは共和国軍共通である。
これは強力な魔法に対して通常装甲はほぼ無意味であり、破片や泥除け以上の意味がないためである。
鉄槌騎士がその複雑な構造と稀少物質の合金である結晶装甲材のために量産性が非常に悪く、操騎士もまた育成に時間と費用がかかるのに対して、この自走砲撃車は数もそろえやすく、乗員の育成もまた促成教育が可能であった。
大量配備された自走砲撃車両と対人掃討装甲車が前線を押し上げていく。
共和国軍は鉄槌騎士を予備兵力に確保しており、帝国軍は魔装騎士を迂闊に戦線に投入できない事態に陥っていた。
戦争とは、極端な技術差がなければ数である。
今回の戦争において、共和国軍はこの自走砲撃車を大量に配備して全戦線において攻勢にでた。
また北のノルニル共同体、西のブリタニカ帝国、南のアフレカ海諸国群島連合もまた同時に攻勢に出ている。
これは各国が長い間をかけて軍備を整え、そして思惑が一致したグランリア大魔法帝国包囲網であった。
グランリア大魔法帝国は、ほかの国の存在を認めていない。
異常なまでの選民主義もあるが、領地だけで自給自足が可能なために、特に交易なども必要としていないというのが大きい。
また強力な魔法を扱える騎士や魔法師を抱え、国民もまた多かれ少なかれ魔法が使えるため、軍備もまた充実していた。
蛮族は、自分たちに刈られるだけの下等で哀れな生き物――それ以上の考えを持っていなかったのだ。
自分たち以外は人間だと思っておらず、蛮族としてひとくくりにしていた。四方の蛮族を国だと思っていないのだ。
そのため、外交という概念すらも存在していなかった。
魔法という強力な技術があったために諸国から戦争を仕掛けられてもものともしなかった。
また豊かな国土であったため、領土も人口増による拡張以上のことはする必要もなかった。
自分たちだけで暮らしていけるがゆえに、攻めてくる蛮族を皆殺しにしたり、見せしめに発見した都市をたまに滅ぼす以上のことをしなかった。
永い間、そうしていて文明も停滞していたグランリア大魔法帝国は、徐々に力をつけてきている蛮族に気が付かず、ひたすら自分たちの春を謳歌していたのだ。
そのつけが、今まさに訪れようとしていた。
☆★☆
「おおっと、展開が早いですね~♪」
連続して飛来する火球弾の爆発の中を、とたたたっと走りながら赤毛の兎装少女が拡声器でしゃべる。
今日の生贄もとい放送場所の屋敷の上で放送を開始すると、なんと20秒後には攻撃が始まったのだ。
そして、少女は相変わらず攻撃魔法を軽やかにかわしながら、実況を続ける。
空中でくるくると踊ったりする余裕をもちながら。
「しかも、近衛騎士団です、近衛騎士団です。帝国の中枢を守る最強最精鋭の近衛騎士団、実は暇なのでしょうか?」
かわいく小首を傾げながら、脚を広げてすとんと身体を落とす。直上を四方から来た雷光が通過する。
そのままころんと前方回転、反動でぽんっと空中に跳び上がると火球が七つ襲来、きゅるんっと脚を回転させて側転すると、騎士二人の魔法剣が通過する。
計算され尽くした舞踏のように、少女は近衛騎士の攻撃をかわす。
「なめるなっ!」
四人の騎士が上空から襲撃する。
側方からさらに四人、合計十人の完全包囲。隙はない。
「おっと、ちょっとぴんちです、ぴんちです♪」
抑揚がない少女の声。それを切り裂くようにタイミングを合わせた刃が短いポニーテールの兎装少女を襲う――!
「はーい、惜しかったですねー」
――近衛騎士達は悪夢を見た。
少女は豪速で揮られる剣の上を歩いて、騎士の背から軽やかに跳んだ。
近衛騎士達は目の前で起きたことが信じられなかった。
近衛最強の連携練度と自負する彼らは一瞬たりとも油断していなかった。
そして近衛騎士に選ばれるほどの騎士の鍛えられた豪速の斬撃だ、強化された動体視力でも視認する事すら難しい。
それを散歩でもするかのように刃の上を歩いて、包囲網を抜けたのだ。
どうすればそんなことが可能なのか。
近衛騎士達は腹中に冷たいモノがさし込まれたように恐怖を感じる。
兎装少女は、短いポニーテールを揺らしながら、ほとんど音もさせずに屋根の上に着地する。
「えー、ここでちょっと手品を見せましょう、ワン、ツー、スリー、はいっ!」
ぽむっ! という間の抜けた音。
少女が拡声器を軽くふると煙につつまれて、次の瞬間ステッキに変わった。
「素敵なステッキ、なんちゃって♪」
指先でくるくる廻して脇に挟むと、タンっと軽やかに駆けた。
彼女を追跡するかのように四方八方から迫り来る大量の魔法弾。
邸宅の屋根に次々と着弾し、破片をまき散らして崩落させていく。
「うーわー、これっていいんでしょうかねー。私有財産の損壊になりませんかねー」
大量の無誘導魔法弾をくるくると回りながら回避し続ける彼女の頭上から声が下りてくる。
「筆頭近衛騎士であるこの私の魔弾を避けるとはっ! 賊のくせにっ!」
銀髪をなびかせながら騎士が空から落ちてきた。空中で兎装少女に仕掛ける。
両腰に差していた貴重な古代遺物光剣を超高速抜き打ち。
短いポニーテールをかわいく揺らしながら、完全に見切って回避した兎装少女の後背に大量の魔弾が降り注ぎ、、銀髪騎士もまた加速、彼女に向かって超高速の蹴りを放つ。
彼女は蹴り脚に手をついて前転するようにして銀髪騎士の背後に回り込んで、そのまま離脱しようとした。
しかし、銀髪騎士が一枚上手だった。少女の行く手に、きらりと光線が幾筋も見える。
「死ね、鼠賊! 超絶技《天檻銀乱舞斬》」
大量の超極細ワイヤーによる檻。一瞬にして少女は囲まれて逃げ場はなくなる。
そして起動した魔法陣によって数百にも及ぶ火球弾が檻内に発生、一斉に少女に向かい、着弾、大爆発を起こした。
「は、筆頭近衛騎士の私にかかればこんなもんだ! 賊ごとき一瞬でバラバラだなぁっ!」
「なにがバラバラになったんでしょうか?」
「なにぃいっ!」
銀の騎士が驚愕して声の方を見ると、空中にぴたりと静止して立っている赤いうさみみ少女がいた。
超高張力ワイヤーの上に乗っているのだ。
檻を抜けた方法は簡単だ。魔法弾を全回避して、ステッキでワイヤーに触れて少しだけ隙間を空けて逃れただけだ。
「高張力ワイヤーによる包囲罠はわりと古典技ですけど~、外で使うあほが居るとは思いませんでした」
「な、なんだとぉ!!」
「ワイヤー技は屋内で使うモノですよ? 屋外じゃ引っかける場所が少なすぎて張力が弱いので、カンタンに抜けられまーす」
そういって、ぴんと指で空中の銀線を弾いた。
「のわぁっ!!」
銀髪騎士の腕が引っ張られてがくんと姿勢を崩す。
彼は反射的に跳んでしまった――少女の方に向かって。
「あれ? ――きゃぁっ!」
腕を突き出して吹っ飛んできた銀髪騎士を少女が平手打ちする。
それはきゅるきゅるきりもみして邸宅屋根にぶつかり、ばいーんと跳ねて墜ちていく。
「ああっ! ごめんなさい、ごめんなさい! まさか、こっちに向かってくるとはおもわなかったんです! 反射的に手が出ちゃいました、ごめんなさい!」
兎装少女は騎士が吹っ飛んでいった方向に向かってぺこぺこ頭を下げている。
最強の一角である銀の騎士を平手打ち一発でのした少女に、近衛騎士達は唖然としているしかなかった。
VS近衛騎士は続きます。
登録数はそれなりには伸びているみたいですが、いまだ感想とかはもらえなくてちょと寂しい。
え、感想と評価が少ないのは面白いと思ってくれている人が少ないと云うことだろうって?
……それはそれでダメージを受けるorz
あとは更新頻度ですかね。
いまはだいたい一週間に一度程度です。ある程度読み応えがあるほうが個人的にはいいのでそうしているんですが。
文章をもっと短くして毎日更新すれば、ユニアクが増えるのはわかっていますけど。
読者的にはどちらがいいんですかね?