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BattlenighT  作者: 暇人
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DreeM01「BegiN」

俺は佐藤蓮。高校1年。クラス委員を務めていたりもする。

成績も割と良いし、部活の方も順調。

クラスにも仲のいい奴が多いし、俺の高校生活は充実していた。

―昨日までは。

昨日、俺は死んだ。


DreeM01『Begin』


昨日俺は仲のいい友人達と、ゲーセンに向かっていた。

ゲーセンは俺の好きな休日の過ごし方。

暇もつぶせるし、何と言っても超楽しい。

ただ、かなりの金を浪費してしまうので、行くのは金を貯めてからだ。

友達も皆そうなので、ゲーセンに行くのは2カ月に1度ペースだった。

そして、昨日はその当日。皆と仲良くゲーセンに行く…はずだった。

ゲーセンを目前にした大きい道路。

皆はギリでそこを渡り切った。俺が渡ろうとした時、信号は黄色。

俺たちの中では黄色も『安全圏』ぶっちゃけ、赤でも渡るときがある。

だが、昨日は上手くいかなかった。


「「「蓮」」」


皆の声が、何故かどこか、遥か遠い所から聞こえたように思えた。

信号は既に赤。そして、左を振り向くと


―ドゴッ


瞬間、鈍い音がした。今までに、聞いた事のないような音。

トラックに轢かれたのだ。

その後引きずりまわされたような気もするが、その辺から俺の意識は無い。

そんな俺だが、トラックに轢かれて死んだはずの俺だが、

何 故 か 生 き て い る 

「ここは…どこだ?」

周りを見渡すと、どこもかしこも真っ白。

ただし、限りはあるようでところどころに壁のようなものが見える。

「俺…死んだんだよな…」

誰に言う訳でもなく、そう呟いてみた。

誰かに、反応してもらいたかった。

「ええ。そうですよ?」

すると、まるで俺の心情を読みとったかのように声がした。

「はぁ!?」

先程まで俺しかいなかったはずの空間に誰か現れた。

「あんた誰?...ってか、ここどこだよ!!」

「ここは〈白の間〉です」

「…お前、知ってんのか!?」

「ええ。勿論です。私はこの空間の、〈管理人〉ですから」

男はケラッと笑い、更に話し続けた。

「貴方は現実世界(リアルワールド)で昨日、死にました。

 この〈白の間〉は、人間が死んだ時、転送される別空間です。

 現実世界での行いにより、このあと様々な空間に転送されます」

男の話はかなり難しい。何より現実離れしている。

だが、俺も頭脳ならいい方だ。割と理解できている。

「天国とか、地獄とかか?」

俺の知識を振り絞って、聞いてみる。

「ええ、そうです。詳しくは更にいろいろありますが、

 貴方達の世界にも知られている空間はそんなものでしょうね。

 ただし、正式には〈金の間〉と〈黒の間〉ですね」

金が天国で黒は地獄だな、と勝手に心の中で解釈してみる。

「…で、俺はどこに連れてかれんだ?」

緊張の瞬間。黒の間、つまり地獄だと言われれば一巻の終わりだからだ。

「君はまだ…死にたくないでしょう?」

「そりゃあそうだけど…もう俺、死んだんだろ?」

「ええ。確かに佐藤蓮は2013年1月3日をもって、死にました。

 しかし…君にはチャンスを与えよう」

「チャンス?」

「そう、チャンスです。とりあえず場所を変えましょう」

男がそう言うと辺りは眩い閃光に包まれた。


「!?」


閃光が消えると僕はあの場所にいた。

僕が死んだ、僕が殺された…あの場所に。

「ここは…」

「そうです。佐藤蓮、貴方が死んだ場所です」

「おい!!俺がいるぞ!!何で!?」

「当たり前ですよ…貴方はまだ死んでないんですから」

「!?」

死んでない?どういう事だ。俺は確かに昨日此処で…

「ここは、貴方の夢の中です。

 貴方が死ぬ…前日のね」

「俺はその日、夢なんか見てねぇけど?」

「いいえ。見ていますよ。

 人は一晩に必ず4回ほど夢を見ます。

 ただし、起きる直前に見た夢しか記憶には残りません。

 …そして、人は死ぬ前の夜、必ず予知夢を見ます。

 故に佐藤君、君もこの夢を見たはずですよ?」

「んな事言われてもなぁ…覚えてないもんはどうしようもねぇよ。

 ってか、ここで俺にどうしろって言うんだ?」

「はい。それを今から言おうと…

貴方には此処で、悪夢と戦ってもらいます」

「悪夢!?...それって、悪い夢の事だろ?

 どうやって戦うんだ?」

「悪い夢?それは貴方たちが勝手につけた名ですね。

 こちらでは、あれを悪夢というんですよ」

男が指差す方向には、俺を轢いた殺人巨車(トラック)があった。

「はぁ?あれは〈トラック〉だろ?」

「いえ。あれが…〈悪夢〉です。

 悪夢=悪い夢の総称、というのは貴方たち人間が勝手に決めた定義です。

 こちらの世界では、悪夢の根源を悪夢と呼びます」

「えらい分かりずらい説明だな」

「すみません。表現能力が乏しくて…

 ともかく、貴方にはこれから、悪夢と戦う仕事をしてもらいます。

 この戦いが終われば、貴方を元の世界に戻してさしあげます。

 勿論、元の世界に戻っても悪夢と戦う仕事はしてもらいます。

 今回のは実戦練習と思ってください」

「おい、そんな一度に言われても訳わかんねえよ。

 何だよ、悪夢と戦うって…」

「そうですか。では話を簡潔に済ませましょう。あの悪夢を倒してください」

「おい!!それはそれでまとめすぎだろっ!!」

「そうでないと話が進みません。

 あの悪夢に貴方が倒されれば、それは本当のゲームオーバーです。

 貴方はもう二度と、現実世界には還れません」

「何だよ、急に深刻だな」

「いいえ、深刻でなかったのは貴方の方です。

 事態は結構前から深刻でした。

 では、私はこれで失礼致します…」

そう言って、男は姿を消した。

殺人巨車(トラック)倒すったってよぉ…どぉやって…」

―右手を見てください

奴の声だ。

「おっ、お前!?どこにいる!!」

「もうその空間にはいません。

 金の間から、貴方の心に直接語りかけています」

「お前、そんなことできんのかよ!?」

「当然です。貴方たち下界の者とは違いますから。

 これで、私は貴方たちにいつなんどきでも、語りかけることができます…

 そんなことより早く右手を」

男の言う通り、右手を見てみると、俺はいつの間にか剣を握っていた。

長剣。1メートルあるかないかくらいの長さだ。

竜が象られているようで、つばの部分は燃え盛る炎のようなデザインだ。

以外に軽い。…の割に、切れ味はよさそうだ。切っ先が鋭く光っている。

「それは貴方の武器―紅之長剣(エクスカリバー)―です」

「よくある名前だな!!」

渾身のツッコミ。ていうか、ツッコミどころはそこじゃない気がする…

「そんなことはどうでもいいです。

 これで奴と戦ってください」

「分かった。

 ともかく、倒せばいいんだな!!」

「はい」

もう、何もかも分からない。何でトラックと戦わなければならないのか。

めちゃくちゃだ。そもそも死んだのに生きている。

この世界は何なんだ?この世界、今まであったこと自体が、悪い夢なんだろうか。

…でも、今は考えていても仕方無い気がする。そんな気しかしない。

あいつを倒すことが、今の最重要事項だ。

「たぁぁぁぁぁァァァッ!!!」

殺人巨車(トラック)に向かって一直線に駆ける。

周りの視線が気になる。みんな、俺を見て何か言っているらしい。

だが、そんなことは関係ない。今は、あいつを倒すことに全ての神経を集中させる。

「うおぉりゃっ!!!」

ジャンプして勢いをつけたうえで、殺人巨車(トラック)に切りかかる。

緑の、ガタイのいいトラックだ。

こんな攻撃で大丈夫なのだろうか?

ジャキン!!

いい音だ。RPGの効果音のようだ。

これは本当に現実なのだろうか…いや、現実ではなかったな。

だが、トラックには予想通り効いていなかった。

それどころか、後ろの車に衝突してしまい、街が大パニックだ。

―初戦でこの場所は、少々マズかったな。場所を変えよう


奴の声がしたと同時に、俺とあのトラックは別の場所にいた。

狭い路地裏だ。あのトラックもようやく渡れるくらいに道幅が狭い。

距離もそんなにない。スピードを出して体当たりされると困るぞ…

「おい!!こんなとこ、逆に戦いずらいだろ!!」

―さっきよりはマシです

「けっ、しょうがねぇな…」

ブゥゥゥゥゥン!!

「まずい!!」

殺人巨車(トラック)が走り出した。

どうする!?どうすればいい!?

この狭い道幅じゃあこの体当たりを避けるのは厳しい。

―ヒントです。ここは…夢の中ですよ?

「何の話だ!!」

―ヒントは以上です

そうか!!そういう事か!!

殺人巨車(トラック)がすぐ近くまで迫っている。

「はっ!!」

俺は飛んだ。全神経を集中させて、空に向かって高く飛んだ。

すると、本当に俺は凄い高くまで飛んでいる。

おまけに運動神経までよくなったようで、空中で一回転してから、地に降りた。

「やっぱりな…」

―ふふっ。ヒントの意味を理解してくれたんですね

「ああ…夢だから、何でもアリなんだな。

 …だったら!!」

―どうしたんです?

「いや夢だから、俺の思い通りになるんだろ?

 だから、あいつが死ぬように願ったんだよ」

―残念ながら、それは不可能です

「何でだよ!!」

―いや、それはチートすぎますよ。

 いくら夢の中だからって、思うだけで悪夢が死ぬほど、上手くできていません。

 そもそも、さっきのも私の能力ですし

「え?」

―私はこの夢を司っていますからね。

この夢を操れるんです。

故に、貴方を助けたんです。こんなところで死んでもらっては困りますからねぇ…

「くっそぉ。せっかく良い倒し方思いついたと思ったのにぃ!!」

―ふふっ。ちゃんと実力で勝ってもらわないと困りますよ

「けっ、そぉかい!!」

今度は俺が、殺人巨車(トラック)に向かって走る。

トラックも、こちらに走り出した。

「うぉぉぉぉぉっ!!!」

全力で剣を振るう。

ガキン!!

殺人巨車(トラック)のフロントに当たる。

必死の攻防…よく見ると、殺人巨車(トラック)には運転手がいないようだ。

どーなってんだ!?誰もいないのにどうやって...

まさか…

「うりゃっ!!」

俺はガラスを割ってみた。試したいことがあるのだ。

「とぉぅっ!!」

先程と同じ要領でジャンプしてみる。

するとまたも、俺の体が高く飛んだ。

「けっ、これもお前のお陰か?」

―勿論です。さっきから言ってるでしょう?此処で死なれたら困るんです。

 何としても殺人巨車(トラック)の悪夢を倒していただかないと

「そうかい…っと」

俺はトラックに乗り込んだ。

車の運転席には小さい頃に乗った事がある。

確か、家の中で操作したんだっけ。遊び半分でやったのを覚えている。

それにしても殺人巨車(トラック)の運転席はすごい。こういうのは初めてみるな…

そんなことより巨車之心臓(エンジン)を切らないと。

こいつには誰も乗っていない。

と、いうことは巨車之心臓(エンジン)さえみつけて電源を落とせば…

「「「あった!!」」」

俺は超スピードで巨車之心臓(エンジン)を落とした。

殺人巨車(トラック)が止まった気がする。

「やったか…」

―ほぅ…殺人巨車(トラック)の悪夢は倒れましたね


男が言うと、俺達はまた白の間にいた。

「約束です。貴方を現実世界(リアルワールド)に戻して差し上げましょう。

 現実世界(リアルワールド)の方では、貴方の死ぬはずだった場所に出てくる訳ですが…

 ご安心を。悪夢と現実世界(リアルワールド)はリンクしていますので、

 殺人巨車(トラック)の悪夢を倒した事で、もうあのトラックは出てこないでしょう」

「悪夢と現実世界(リアルワールド)がリンク…!?

 そしたら、まずいんじゃねえの?俺、殺人巨車(トラック)斬りつけた時、結構後続車を巻き込んだぞ?」

「それでしたらかまいません。

 リンクしているのは特異点(シンギュラリティ)。つまり、あの夢なら悪夢と、貴方のみです。

 他のモノには影響を与えません」

「良かった…」

「良くありません。

 悪夢の中では、思わぬものが影響を与える事があります。

 〈人を救う場〉で、〈人を消されたら〉たまりませんからねぇ…」

「どういうことだよ」

「いずれ、分かる時が来るでしょう…

 もっとも、分かる時が来なければ一番なんですが…」

男はクックック、と笑いさらに話を続けた。

「そうそう。貴方は現実世界に戻っても、この仕事はしてもらいますからね?」

「悪夢を倒す…仕事か」

「はい。悪夢は人を殺します。悪夢を倒せば人は助かります。

 まぁ命がけひはなりますが…人助けのつもりでやってください…」

「けっ、まぁそれと代償に行き帰れんなら、上等…かな」

「そうですか。では、元の世界に…

これからは仕事の際に私から声をかけさせていただきますので」


男が言葉を言い終わると、俺は元の世界にいた。

元の…あの場所に

「「「蓮」」」

皆が呼んでる。

「おう!!」

俺は呼びかけに応えて、チャリを走らせた。

To Be Conted

第1話完ッ!

これから暇なときにちょくちょく書いていきます。

おかしな点などありましたら気軽にご指摘ください。

それでは2話も御期待下さいね☆

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