第9話
「夕食ができたわよ」
マルヤムが料理の入っている皿をテーブルの上に置いた。その後で、マルヤム
の後ろにいたフローラが、コップをテーブルの上に並べて、コーラのボトルを
テーブルの真ん中に置いた。
「うわーうまそうだな」
アリーは、テーブルの中に並べてある料理を見て、今にもよだれをたらしそうな
顔をして言った。
ちなみに、テーブルの上に並べてある料理は、チキンとヨーグルトの炊き込みご飯
(ターチンモグル)、ヨーグルトのスープ(アーシュ マーストゥ)、肉入りコロッケ
(ククグーシュトゥ)などだ。
「アリーは普段は、夕食は、イタリア料理を食べているみたいだけど・・・、たまには、
こういう料理も悪くないんじゃない?」
フローラは、俺のほうに顔をむけて言った。
「そうだね」
俺は、チキンとヨーグルトの炊き込みご飯を口の中に入れる。うーん、おいしい。
「そうだ。なんか、モノマネでもやらない?」
マルヤムは、両手を叩いて言った。
「おお、いいな」
アリーは、乗り気な顔をして言った。
「誰かがモノマネして、それをみんなが、誰のモノマネをしているのか、当てるゲーム
をやったら、面白いんじゃないかな?」
フローラの提案に、アリーとマルヤムは、首を縦に振った。
「それは面白そうだな」
「ぜひやりましょう」
こうして、モノマネ大会が始まった。
「ふっ」
マルヤムは、地面に向かって、思いっきり唐揚げを投げつけた。いったい、誰のモノマネ
をやっているんだ?さっぱり、分からない。
「れんほうだな」
アリーは、コーラ飲みながら言った。
「正解」
マルヤムは、アリーのほうに手を向けて言った。
「よっしゃーっ」
アリーは、うれしそうな顔をした。
「じゃあ、次は、僕の番だね」
フローラは、立ち上がって言った。
フローラは、日本刀を両手に持って、何やら真剣な顔をしている。
「うおおーっ。俺達は、正義だ」
何をやってるんだ?フローラは。
「大神一郎」
アリーは、ククグーシュトゥーを食べながら言った。
「正解だよ」
フローラは、アリーに向かって、ウインクをして言った。
それにしても・・・、今の演技でよくわかったよな。
「よし」
アリーは、ガッツポーズをしてすごいうれしそうな顔をした。
「次は、アーマド番ね」
俺の番か・・・。いったい何の真似をすればいいんだろう?
そうだ。あれをやろう。
「こんにちは、緑実でーす」
・・・誰からも、反応はなかった。
「いったい、誰のモノマネをやっているんだ?」
アリーは、不思議そうな顔をして言った。