第8話
「ぷはーっ」
フローラは、海水の上に上がると、思いっきり深呼吸をした。
「ねえ、アーマド。きれいだったでしょ?」
「ああっ、そうだな」
「特に、あのうつぼは、可愛いよね。何だか、くねくねしていて」
「可愛くないよ。何だか、不気味で怖かったぞ」
「あのうつぼが、怖いの?」
フローラは、信じられないといった感じの顔をして言った。
「あーっ、気持ちいいわ」
マルヤムは、うきわを使って、俺達のまわりを泳いでいる。
「マルヤムも、海の中に潜ってみなよ。きれいな魚がたくさんいるよ」
「私・・・、私はいいわよ。うきわで泳いでいるいるほうが、楽しいし」
マルヤムは、顔を真っ青にして言った。
「そんなこと言って、本当は、怖いんだろ?」
アリーの言葉に、マルヤムは、ひどく不機嫌な顔をした。
「私は、うきわをつかなくても、泳げるわよ。ただ今日は、うきわを使って、のん
びりと泳ぎたい気分なのよ」
マルヤムは、強い口調で言った。
「今日止まるコテージは、ここだ」
アリーは、白いコテージを指さして言った。
「うわ。結構、立派なコテージだね」
フローラは、白いコテージを見て、驚いたような顔をして言った。
「だろう。高かったんだぜ、ここは」
アリーは、得意げな顔をして言った。
カチャッ。アリーは、コテージのドアの鍵を開けた。
「うわっ、おしゃれな部屋」
マルヤムは、感激したような顔をして言った。
「こんな所に、僕達が泊っちゃってもいいのかな?」
フローラは、戸惑っているような顔をして言った。
女性のマルヤムとフローラは、台所で料理を作っている。・・・そして、
男の俺とアリーは、ソファーで、テレビを見てくつろいでいた。
「なあ、アーマド。セゲディーン大佐が、サパエロの町を空爆するっていう噂
が、あるんだが・・・」
俺は、アリーのセゲディーン大佐がサパエロの町を空爆するという話に、驚かざる
おえなかった。・・・確かに、セゲディーン大佐は、暴君として知られているが、
いくら何でも、1つの町を破壊するなんて・・・、そんなことは、想像だにできない
ことだ。
「そんなことあるわけがないだろ。サパエロの町を空爆するなんて・・・。それに、な
んのために、サパエロを空爆するんだ?」
「それは・・・、サパエロの町は、反政府運動がさかんだし、サパエロの市長も、セゲデ
ィーン大佐と対立する部族の出身で、国のゆうことをなかなかきかないし・・・。だから、
サパエロを破壊したほうが・・・、、セゲディーン大佐にとっては・・・」
アリーは、重苦しい表情で言った。
「何にしても、ありえないよ。サパエロを空爆するなんて・・・」
「そ・・・そうだよな」
アリーは、救われたような顔をして言った。