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アルスベーレ・モノクローム  作者: パグオラ
序章:プロローグ
9/12

エピローグ:物語が始まる

Q.自称ラスボスを名乗る人物がパーティー申請を送ってきた時、どうすればいいですか?

加入申請を受けた数秒後。クロトは激しく悩まされていた


(これって明らかにイベントフラグだよなぁ。ここで逃すとまた発生させる事ができない気がする…でももう少し純粋に楽しみたい気持ちもある。だからとレアイベントを逃すほどゲーマー魂が腐ってる訳でもないし。いやまて俺だけで考えるのは違うだろ。実際ハクアも探してたって言ってたし。ここは白の考えも聞いてから判断すべきだろ。だとしたら今後合流する紅吏にはなんて説明するんだ?あいつは俺達より古参のプレイヤーでそれに加えて負けず嫌いな面もある。自分が未発見のレアイベントを俺たちが先に発見したとなると後で確実に不機嫌になるし……どうすりゃいいんだよ)


なおこの間僅か0.2秒。


「えっと…ちょっと、ほんのちょっとでいいから待ってもらってもいい?」


「いいよー」


「ちょい白こっち来い。」


白を連れて少し希空から距離をとり、聞こえないであろう大きさの声で相談する。


(どうするよ)


(どうするって言われてもこのまま始める以外に選択肢あるの?)


(受ける事については同意だが後で紅吏と合流した時なんて説明するんだよ。絶対不機嫌になって苦労するぞ、主に俺が。)


(あかりちゃんを何だと思ってるの?)


 何って…何だろう?まぁいい。白のほうは一応受けるつもりらしい。ならその意見をいちいち否定するのは無粋だろう。ぶっちゃけ俺も未知の体験にワクワクしてるし。


「あぁなんだ。俺達でいいなら一緒に来て構わないよ。」


「ホント?やったあ!」


 うーん守りたくなる笑顔だなこれ。

白と相談の結果、パーティ申請を承認する。パーティ欄に俺と(ハクア)以外にもう一人追加される。


「それで、俺達はお前のことをなんて読んだらいいんだ?」


「なんでもいいよー。」


「オーケー、なら好きに呼ばせてもらうよ。俺のことも好きに読んでくれ」


「私もなんでもいいよ」


 入れ墨持ちの少女、竜の要素がある少年、自称ラスボスの少年といった、中身がよくわからないパーティができた。キャラ濃いなぁ。せっかくだし希空のステータスも見とくか。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


瑠璃月希空 Lv.21

職業:魔法剣士(片手直剣)

種族:人属(NPC)

STR 31

VIT 1

AGI 11

TEK 17

STM 20

LAK 16

MP 21


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 なんかすごく普通だ。やっぱりラスボスってのは嘘だろ。…って!


「NPC!?あれだけ自然に会話しておいて?」


思わず口から出たその言葉に対して、更に驚愕の返事が返ってくる。


「うん?そうだけど?」


は?え?まてまてまてま!このゲームってこの世界の住人(N P C)旅人(プレイヤー)の違いを認識してるの?それともこいつだけ?なんか聞くのがすっげぇ怖いんだけど……


「それって共通認識なの?それともノアだけが知ってるの?」


 聞いたよコイツ。怖いもの知らずすぎんだろ


「どうだろう?気付いてる人もいれば、知らない人もいると思う。」


「人によって違うんだね」


「まぁたくさんの人が生きてるからねー」


 てかこいつらすでに結構意気投合してるな。置いてけぼりは俺だけですか……


「あ、それとレベルとステータスは君たちに合わせておいたよ」


絶句。何も言えないどころか逆に、何を言ったかを理解できないような感覚に陥る。

そして二人は希空がラスボスと名乗るのはあながち嘘ではないかもと思い始めた。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



一通り驚き疲れた俺たちは、一先ずエリア攻略を進めようという話になりドライヴィアに向けて足を運び始めた。


「白ー、次のエリアってどんなのか知ってるか?」


「名前が確か…『苦境の(くきょうの)茫洋荒野(ぼうようこうや)』って名前のエリアだったはず。砂漠まではいかないけど緑の草が一つも生えていないような荒野で土系のモンスターが多いらしいよ。」


「土系のモンスターは移動速度低下や目くらましを多く使ってくるよ。」


「詳しいな…見た目はどんな系統の奴が多いんだ?」


「それはバラバラだよ。虫だったりモグラだったりトカゲだったり。強さ的にも草原や叢林と比べると一気に強くなるかなー。」


 なるほど。ここからが本格的に難易度が上がってくるわけね。レベル的には適正でもダメージが通るかどうかはまた別の問題だ。新たに獲得したスキルの概要は既に一通り見たから後は実際に試してみるだけだ。でもその前に……


「希空、モンスターと接敵した時は先にお前が戦ってくれないか?」


「別にいいけどどうして?」


「一応お前の使うスキルがどんなのがあるか確認しときたいんだ。」


「黒、慎重になりすぎ。」


「いやいや、慎重なのは大事なことだよ?」


「嫌がらないんだな」


「そりゃあそうだよ。いきなりラスボスを名乗る人物が現れたんだよ?誰だって警戒するし慎重にもなるよ。」


((自覚はあったんだ。))


「さ、速く行こ!」


 そういって一番に駆け出す希空の後に続く。そして次の街を目指して進み始めた。











ーーードライヴィアーーー



この街全体が賑わいに満ちている。この街の大きさはアルクロで1、2を争う。初心者から上級者まで、数多くのプレイヤーが集まり生産や取引、談笑など、様々なプレイヤーが各々好きなことをし、このゲームを楽しんでいた。


だがこの時に限っては別の理由で騒がれていた


「おい聞いたか?緊急クエスト発生だってよ!」


「聞いた聞いた!何せあのクラウンモンスターに関係するって話だもんな。」


「噂だと既に上位ギルドの連中が対策会議を始めてるらしいぜ。」


「ソロでやってる上位プレイヤーも参加してくるだろうな……」


クラウンモンスター。それはこの世界が世に出て半年以上経った今尚一体たりとも倒されたことのない、この世界最強の種族。頂点三種族の中でも抜きん出て理不尽なその者たちはいつしかプレイヤー達から「倒せないギミックボス」として言われてきた。

そんなクラウンモンスターだが、基本的に街を襲うなどの行為はせず、どちらかと言うと待ちの構えでいることの方が多い。この時までは。


空の神が動き出す。

それは喜びでもなく、怒りでもなく、哀しみでもなく、楽しみでもない。

彼は最初の試練である。人々の力を見定め、待つに値するかの。故に彼は常に非情に世界を裁く。

来たるべき戦いの訪れに向けて。


それが「蒼穹の覇者」としての役目であるのだから

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