宝に目がくらむのは人の性
「白!そっち行ったぞ!」
「わかってる。」
ハクアのもとに向かったレッサーハウンドが嚙みつき掛ける。それを難なく弾き、腹部に目掛けて切りつける。会心の手ごたえと共にレッサーハウンドの体がポリゴンとなり砕け散る。
「これくらいならまだ余裕」
「みたいだな。にしてもまたクリティカルか。ステ振りはどんな感じなんだ?」
「TEKとLAK重視。後MP。」
「防御と敏捷全捨てかよ。相変わらず大層な自身の持ち主だ。」
ハクアは他の人よりも「目」がよく、ジャスガの成功率がかなり高い。その為戦闘系のゲームになると前衛職を担うことが多い。
「それもないと言えばうそになるけど今回に関しては不可抗力。だって刺青のせいで常にHPとVITにデバフが掛かってるからね。」
「それもそうか。っと次の奴来たぞー」
不意打ちで出て来たのはゴブリンアーミーLv.12。今の俺たちのレベルはは俺が7、白が9だ。RPGやソロだと低レベル時のレベル差は1でも少しきついところがあるが、今はパーティプレイ中だ。相手の剣による切り付けを軽くあしらいながら白へと繋ぐ。
「はっ」
「ぐべぁぁぁ!?」
「隙あり、ぶっ飛べ!」
無防備に空いた腹に白の二連撃が入り怯む。その隙を逃さず俺がスキル「ストライカー」で蹴りつけるる。両攻撃共にクリティカルが入り、レベルの割にはそこまで多くないゴブリンの体力を削り戦闘が終了した。互いに経験値が入り、俺のレベルが8になった。
「お、レベル上がった。新しいスキルは……特に無しかー」
「素材もそこまでいいのはなかった。ゴブリンだから仕方ないけど。」
(それにしてもスキルの覚えがいまいちだな。レベル以外で何か規則性でもあんのか?)
その考えは正しかった。黒の現在のスキル保持数は5つ。その中で攻撃スキルは2つであった。アルクロのゲームシステムにはプレイヤーの行動によって覚えるスキルの取捨選択が自動で行われる。その分け方にはプレイヤーのビルドや出身地、職業、そして戦闘中の動きも含まれるため基本的に全く同じになるっプレイヤーは存在しない。
(わからないことを考えてても意味ないか。)
「黒、もうすぐ次の街の入り口あたりに着くけどこのエリアからエリアボスが登場するんだよね、どんなの知ってる?」
「確か素早い虎だって聞いたな。レベルが15位だったはずだけど二人なら何とかなるだろ。そのまま進むでいいんじゃねえか?」
少なくともエリアボス戦中はあのバカでかいドラゴンみたいな乱入はないだろう。これであったらいよいよクソゲーだぞ。
「わかった。それじゃあもうしばらくは探索を…ん?ねぇ黒、あれってさ……」
「あれ?」
白が指差した方向には、白くてつやつやした鱗を持つ純白の白蛇がいた。その正体は、
「フォーチュンスネイク!?マジかよ激レアのモンスターじゃねえか!」
撃破すると多くの恩恵をもたらすと噂の蛇だった。
「逃げないうちにさっさと倒すぞ!」
「当然」
眼前まで近づいていたエリアボスそっちのけに蛇との追いかけっこが確定した。
蛇「え?こっち来るの?ボス目の前なのに?」
虎「解せぬ。」




