黒色の旅人は蜥蜴に絡まれ人を辞める
年内に間に合った!
因みに二人の再会時のセリフは
「流石に妹の真似をするのはどうかと思うよ我が兄よ」
「同時に開始したのにどうやってマネするんだよ我が妹よ」
「我が妹って言い方気持ち悪いね」
「どの口で言ってんだふざけんな」
時は少し遡り数十分前。
(またブレスかよクソが!てかその前にいきなりドラゴンと出くわすとは聞いてねぇぞ!)
もう何度目かが分からないドラゴンの息吹を回避しながらクロトは考えていた。
クロトは自身に向けられる殺意を相手に死に物狂いで避け続けていた。
アルクロは他のMMORPGの例に漏れず、レベルによる性能差が顕著に表れるゲームだ。当然相手のレベルやステータスのほうが高いとそれだけで不利になるのは説明するまでもなく、戦闘が数分持つだけでも
十分なプレイヤースキルの持ち主だと言える。
そんな中で十分以上も耐えけているクロトだが、それはほぼ紙一重ともいえるようなタイミングの回避ばかりであった。実際クロトはすべての攻撃を見切れているわけではいない。彼は人よりも少し直感が働く。その為、今回避出来ているのはその影響が大きく、彼もまたそのことを自覚していた。しかし…
「だからって、はいそうですかって負けてたまるかよ!!やっててやろうじゃねえかLv.1でのドラゴン狩り!ジャイアントキリングしてやるよ!」
より一層集中力を研ぎ澄ました。そのとき…
ドゴォォォォォォンという先ほどまでとは違う爆発音がドラゴンの背後から聞こえてきた。その音の原因はというと……
「Guruxxxxaaaaktrooooooooo!!!!!!!」
「またドラゴンかよ!?いや待て待て待て!大きさがおかしすぎんだろ!」
そこにいたのはダンプカーの数倍はあるであろう大きさの巨体を持つドラゴンだ。この文章を巨大ドラゴンが先ほどまで戦っていたドラゴンに突撃し、喰らいついた音だったのだ。
(親個体か?滅茶苦茶食ってるからそんなわけないか。いやそれ以上にこいつ……)
この距離に近づかれるまで気付かなかった。このサイズの巨体のモンスターが気配を感じさせずに近づいてきた。それが表すことはつまり、
(さっきのドラゴンも素人目線でもわかる位の強さを持ってたぞ。それをおやつみたいに食い殺したってことはこいつ、マジでやべぇ。)
ドラゴンが放つ圧倒的オーラに気圧される。それと同時に死を宣告するかのようにシステムアナウンスが聞こえ…
「クラウンモンスター・ウルヴァーユと遭遇しました。」
その刹那、俺の首は地面へと落ちていた。
(は?)
思考する間もなく死亡判定が表示される。そして意識は暗闇に包み込まれ、数秒たったころ目が覚めるとそこには見知らぬ天井で目が覚めたのだった。
「待って理不尽過ぎない?しかもまだレベル1なんだけど……ん?」
独白と同時に自分のステータスをみると、そこには「種族:半竜人」と書かれていた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「それで部屋を出た後に色々調べた後、ここがアインスベルの宿屋だってわかったわけ。これが俺が今ここにいる理由。」
「うん、経緯は分かった。なんかとんでもないことが起きたわけね。で、次の質問いい?」
「まだあるのかよ」
「どう考えても気になるでしょ。その角と尻尾」
「翼もあるぜ?」
「あぁ、そう……。じゃあそれも踏まえて何それ?」
再会した二人は軽口をたたいた後、人目の付きづらい路地裏に移動し現状の報告をしていた。片や両腕に謎の入れ墨が刻まれた者、片やレベルが1なのに明らかに竜に関係しているであろう姿をした者。当然のように目立ち、質問をしてくるものも多かった。そこから逃げるのに数十分かかったため二人はろくに街の探索もできていない現状だ。
「何って言われてもなぁ……俺もまだちゃんとは把握してないんだよな」
「何か書いてないの?」
「身体能力関係のスキルが覚えやすくなるって書いてるくらいだな。それで次はこっちの質問、その入れ墨?かなんかわかんないけど何それ」
「なんかアイテム拾ったらこうなった。」
「アイテム拾っただけで?絶対やばい奴だろそれ」
「名前的にもクエスト名的にもやばいのは間違いないだろうね」
二人して厄介ごとに巻き込まれるのはゲーム的には運がいいのだろうが、MMOの最初で起こるのは非常に困る。何故なら先んじて始めている高レベルプレイヤーに狙われる可能性が高くなるからだ。
(さっきの戦闘でも思ったがレベル差があるとやっぱりきついな……このタイミングで狙われるのはできるだけ避けたい。)
そこまで考えた結果、二人の取れる選択肢は限られていた。
「仕方ない。とりあえず探索はいったん諦めてレベル上げからだな。俺まだ1だし。それに今できることも色々検証しないとだからな。」
「まぁそうなるよね。どうする?戻る?進む?」
「進むでいいんじゃないか?レベル上げするなら低いとこより高いとこのほうがいいだろ」
「了解。それじゃあ行こう。」
そう話しまとめると二人は次のエリアに向けて足を運んだ。
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黒色と青色。この世界に新たに訪れた二つの色。彼らは「神」の求めるに値するのかどうか。数多の色が世界に落とされたが未だに「神」を満たすに値する者は数名のみ。そこに黒と青の候補を含め現在五名。残り四名。九つ色が世界を彩ることで星の願いは成就する。それは観測者たる「僕」の願いでもある。
そしてこの2人はこの世界に改革を果たしてくれるそんな予感がする。自身の色とは違うはずの「蒼穹」も接触したのだ。それは果たして偶然なのか、思惑があるのか。それは彼しか分からない。
うーん…そうだ!僕が直接接触「するのも面白そうだね。あ、ずれた。」
「それじゃあ気を取り直して、行ってみますか!」
そういうと僕は二人のもとへと進むのだった……なんてね。
最後の語り部は近いうちに出てきます。
・クラウンモンスター
この世界に九体存在する最強種であり、三大最強種の内の一種類。サービス開始から半年たった現在だが未だ一体も倒されたことはない。それは他の二種類も同様である。彼らは神と評される存在であり、この世界の根幹部分であり、問う者である。今開示できるのはここまで!
・種族変更
アルクロには種族変更のシステムがある。変更の条件は様々なものがあり、特定のNPCに話しかけるという簡単なものから、お使いクエストの報酬だったり、変わったもので言えば一定時間のみ変更するものもあったりする。今回クロトが変更を達成した条件が「一定レベル以上の相手に数分間耐える」というもの。意外と簡単に見えるが実際はこのゲームのレベル差は結構なハンデになるのでそこそこ厳しめ。




