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アルスベーレ・モノクローム  作者: パグオラ
序章:プロローグ
2/12

初心者補正(ビギナーズラック)は存在するのか。

ゲーム開始まで進めるので少し長くします。今回も黒の視点多めです。

次あたりから本格的にしろ視点を増やすつもり。というかもうちょっと一話に盛り込めばよかったかな。

************


『アルスベーレ・モノクローム』通称アルクロ。今全世界において一番人気といえるゲーム。

舞台となる世界は「惑星フォスタ」。大昔に「神和」と呼ばれる時代がありこの惑星は栄えていた。しかしある日を境に大きな戦いが始まる。その後に起きた事件を皮切りに滅亡。プレイヤーは「旅人」呼ばれ、全く別の形で生まれた新人類が繫栄する現代で、「神和」を解き明かし、この世界を旅するというコンセプトのVRMMORPGだ。

作り込まれた世界観と数え切れないほど膨大なキャラクタービルドは、発売後すぐ世界に広まり、発売から半年以上たった今尚パッケージ版は売り切れが続出するほどだ。このゲームの開発における最高責任者は何を隠そう、VRシステムを作った獅成大地の娘・獅成海鈴(ししなりマリン)である。彼女も父に匹敵、もしくは上回る天才であり、アルクロの作り込まれた世界は彼女が幼少の頃から構想していた世界そのもので、彼女自身がこのゲームを「夢であり人生」と答えるほどのものだ。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「『アルクロ』ねぇ……てかそもそも売ってるの?あれ今でも売り切れが続出してるって聞くけど。」


「ダウンロード版なら普通に売ってるらしいよー。二人ともパッケージにこだわりはないんだよね?」


「「ない(よ)な。」」


俺の疑問に返事が返ってくる。次の質問に二人で同意見をこたえる。

実際パケ版に興味がないのかといえばそういうわけではない。だが小学生のころに友人にゲームカセットを取られかけて以降、二人はダウンロード版を主に買い始めた。ちなみに取ろうとした奴だが喧嘩の末に、後日親にとんでもなく怒られたのか大泣きしながら返してきた。いや泣きたいのはこっちだったんだがな?と小学生ながら思ったのはいい思い出……いややっぱ悪い思い出だわ。


「また黒が変な思考に落ちてるね」


「二人して思考を読むのやめてもらえます?」


「「読みやすいのが悪い。」」


こいつら……


「それで二人ともやらないの?」


「白はどうすんだ?」


「やってもいいと思うけどMMOをやるなら黒もやって。」


つまり俺次第ですか。

実際のところこのゲームに誘われるのは初めてじゃない。紅吏の他にも俺と白の()()()()()()()()にも何回か誘われていた。

これまでやってなかったのは二人してその時に積んでいたゲームがかなり多かったからだ。


「まぁそろそろやるか。俺も白も二人とも積みゲーが減ったところだし。そろそろ何回も誘ってくるのもうざくなってきたしな」


「おいこらちょっと待て。それはどういう意味だ。」


「それじゃあ明日辺りにゲーム内で落ち合うか。どこに行けばいいか教えてくれ。」


「無視すんな!ったく二人ともこのアルクロについてはどこまで知ってるの?」


「概要程度」


「同じく」


「そっか。なら二人ともドライヴィアっていう三つ目の町まで来てくれる?今私がいる場所からならそこが一番待ち合わせに近いからね」


「分かった。それじゃあ明日はよろしく」


「よろしく~」


会話を終えるころには三人は学校へ着いていた。そして俺は特に問題なく学業を終え帰りに二人分のアルクロDL版を買うとそのまま帰路に着いた。白は今日も授業中に寝ていることが教師にばれたらしい。


ー数時間後ー


「はいこれ。」


「ありがと。お金は後で渡す。」


「了解。それじゃあ始めるか。」


そういうと俺たちはそれぞれの部屋に戻りVR機器を起動する…


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「名前は『ハクア』にするとして、キャラクリどうしよう…素顔は不味いよね…」

()は困っていた。

最新のMMOをやるのだからキャラクリがあるのは当たり前だが、実の所私はキャラクリ自体はそこまでしたことがなかった。普段するほのぼのゲーは決まったキャラですることが多い。


「男キャラはそんなに興味がないしなぁ…」


実際ネカマもネナベも他人がすること自体には何も思わないが自分がしたいとは思わない。あれって何が楽しいのかな?黒なら何回かしてるって言ってたし今度聞いてみよう。

そんなことを考えつつキャラクリを進めていくのだった……


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「さて、こんなものかな。」


プレイヤーネームを「クロト」にし、ある程度キャラクリを終えたので次はっと……職業と出身地か。さっきのキャラクリもそうだけど、このゲームともとてつもない作り込みしてるな。普通のゲームだとどっかは妥協してるんだが…さすがはVRシステムそのものを作った人物の娘だ。人気になるのも納得がいく。


「職業は『拳闘士』にするか。出身は…この『竜の血脈』ってやつだな。」


俺は基本的にはどんな武器や職種でもある程度は使えるのでこれを選んだのは完全に気分だった。出身に関しては魔法系統が覚えにくい代わりに拳系のスキルが覚えやすくなるといったものだった。それだけなら他にも「大地の塔」だったり「名家の門下生」がありそちらの方が一般的には人気なのだが……実際のところ「竜」という単語が目に入ったから選んだだけである。そうだよ俺はいつまでも龍・竜(ドラゴン)から離れられない小学生だよ畜生が。


「さて、そんな馬鹿なことを考えてないでさっさと始めるか。」


そう意気込むと、俺は目の前に浮かんでいるゲーム開始のウィンドウをタップしたと同時に目の前が光に包まれるのだった。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「さて……ここは?」


眼を開くと辺りには広い草原が広がっていた。事前に少し調べた限りでは、このゲームは出身地に応じて開始すること場所が変わってくるらしい。白との合流場所は最初の街「アインスベル」だ。俺は現在地と方角の確認の為に地図を開いた。


「えーっとここは…シュバルトゥルム平原か。いやまぁそれがいいのか悪いのかは分からないが。」


そんなことをつぶやきながら方向を確認する。現在地から北北東に進めば「アインスベル」につくみたいなので大人しく進むことにした。


「にしてもすごいなこの体。リアルと同じかそれ以上に動きやすい!始まる直前に生体認証とかがあったからそこから最適なかんかくを伝達してるんだろうな。」


走ったりジャンプしたりし、アバターの使い勝手を確認しながら目的地へ向かう。一挙手一投足に感動を一通り味わった頃、


ガサガサガサ……


近くの草むらが揺れた。


「モンスター!いよいよ戦闘か!こいよ、こっちもそれなりに経験の積んだゲーマーだ!初心者エリアのモンスター如き、動きの練習に……」


拳を握りながら戦闘態勢をとり、意気込もうとした。()()()()()()()()()……


「GRAGIOGOOOOOOOOOOOO!!!!!!!!!!!!!」


爆発音かと思うほどの音と地響きで揺れた草むらの下からなり、そこから巨大生物が出てきた。そうそれは蜥蜴(トカゲ)のようにも見え、蝙蝠(コウモリ)のような翼をもち、(ゾウ)を超えるほどの巨体をした……


「ちょっと待てやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!いきなりドラゴンが出てくんじゃねぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!」


ドラゴンだった。

ゲームのチュートリアルでいきなりボスクラスのドラゴンと何の補正も無しに戦うゲームってやばいと思う。


チュートリアルと出身地の解説

 ・チュートリアル

ゲーム開始直後のチュートリアルエリアは平原3つ、草原3つ、森林3つの計9つあり、それぞれ出身地と生体認証の結果からどの場所にスポーンするかが決まる。平原はスキル重視の者が、草原は魔法重視の者が、森林は魔法とスキルを両方育てる者が選ばれる。

ゲルプニル平原、ヘルブラオ平原、シュバルトゥルム平原、ブラシエル森林、シュニバイス森林、リラヴィオル森林、グリュンガル草原、オランジェイト草原、ロートリア草原の順に扇形に並んでおりおおよそ北の方向に進むと最初の街「アインスベル」につく。

 ・出身地

プレイヤーたちがビルドを組むのに必須の項目。場所によってステータスの上がり方やスキル・魔法の覚えやすさが大きく変わってくる。例えば今回登場した「大地の塔」「名家の門下生」「竜の血脈」の3つだと、「大地の塔」はAGIとMPが上がりにくい代わりにHP、STR、VITの3つのステータスが上がりやすくなる。「名家の門下生」は魔法の習得率が低下する代わりにスキルの覚えやすくなる。そして「竜の血脈」魔法の自力習得が0となりSTRが伸びにくい代わりにスキル習得率が格段に上がり、拳系のスキルに補正が入るというものだ。しかしデメリットがもう一つあり、それが「龍(竜)族から狙われやすくなる」というものだ。これは初心者エリアでも適応されるため、選んだプレイヤーが高確率で後悔する初心者殺しの出身地だ。クロトがそれを知らなかったのは攻略サイトの拳系出身地のまとめしか読んでいなかったためだ。自業自得ってやつだね!

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