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アルスベーレ・モノクローム  作者: パグオラ
烏合の集いは時に龍をも喰らう
13/13

オペレーション・モチベーションアップ

プロットの時点でミスしたけど最早引き返せない

見切り発車はよくない。

 半分も削れてないというのは感でしかない。なんなら四分の一も入ってるか怪しい。なんなら一割入ってるかも……だぁ!やめろやめろ、レベル差が圧倒的なんだから当たり前だろうが。今は攻撃に集中だ。


回避と回復を同時進行でしながら攻撃のタイミングを探す。

デバフの影響で気を抜くとすぐに足をすくわれそうになる。なかなかに厄介だ。


「おらぁ!」


 隙を見つけてはスキルで攻撃をしているが、効き目はいまいちだ。それに加えて現状使えるバフは武道の構えだけ。攻撃スキルだけでは火力不足は否めない。それに加えて、


「pisyaaaaaa!!!!」


「ちっ、くそが!」


 地鳴らし攻撃でこっちの動きを制限してきやがる。喰らうと確定で怯みが入るので当たるわけにはいかない。この攻撃のせいでなかなか翔脚を攻めに使えない。


「全く、勝てるビジョンが全然見えないんだが?」


 レベル調整ミスって…るわけないか。このダンジョンはまだ序盤エリアだ。発売から半年以上経っているのにこのダンジョンが未発見かつ、未クリアなわけがない。つまり、()()()()()()()()()()として作られている。でなきゃ速炎上してるだろ。


「してないってことはそれなりの攻略法があるってことなんだが……」


 問題はそこだ。戦闘開始から二十分くらい経過したが未だ弱点らしい弱点が見当たらない。普通ならある程度戦ってたらそれらしいのがわかるはずだ。

だが今回はそれが一切見当たらない。まるで()()()()()()()()()()()()()()()()()とも思えるレベルで。


(そろそろ四時なる。明日のことも考えると今回はあきらめるか?)


クロトこと逢戸影近は学生だ。当然のように学業が本分であることに違いはない。これ以上に徹夜は翌日の学校に支障をきたす。さらに既にアルクロを七時に開始してから、途中水分補給を挟んだとはいえほぼぶっ通しでやっていた為、脳への疲労も確実に溜まってきている。端的に言うと眠気がかなり来ている。


(ダメだ。眠気を意識したら一気にしんどくなってきた。)


攻撃を避けて大きく距離を取りつつ、頭を振り一時的に眠気を飛ばそうとする。だが依然疲労はたまったままであるゆえに完全には振り切れない。


 そうだな、はっきり言おう。今の俺はモチベーションがかなり低い。


レベルでも負け、ステータスでも負け、こっちは弱体化もしている。

おまけに残り体力が見えないからこっちの攻撃は効いてるのかどうかも分からない。

正直諦めて明日エリア攻略すればいいんじゃねえかなとも思い始めた。


だが。


「ここで逃げる?そんなのナンセンスだろ!」


 たかが一エリアボスごときに諦める?ふざけんな。そんなことしてなにが楽しいんだ。どこが気持ちいいんだよ。楽しむためのゲームで妥協してたまるかよ。


 いつだってそうだ。ゲームってのは不可能を可能にするから楽しいんだろうが。


 道がないなら拓けばいい。弱点がない?なら作ればいい。いい加減あのうざったい顎攻撃も何とかしなきゃいけねえしな。


「まずは……」


 壁まで走る!

当然相手は追ってくるわけだが、それも想定済みだ。そのまま壁を蹴り天井まで飛び上がる。空中で身体を捻り、()()()()()()()()()する。


「相手の対応力が高いなら、曲芸で削り切ってやるよ」


 天井を蹴り、反動を利用し加速。そのままの勢いでガラ空きの背中に向けてさっき空振ったドロップハンマーを今度は確実に当てていく。


「pigyaaaaaaaa!!!!」


「お?今度は痛そうにしたな?じゃあこういうのはどうだ?」


痛みからすぐにでも相手を始末しようと上空にいるクロトに向けて顎で嚙み切ろうとする。だが


「いい加減そのうざったい顎、俺がカットしてやるよ。」


攻撃が届くよりも速くに、クロトの左足が「竜爪・斬」の(エフェクト)を纏い両者がぶつかる。あまり良いとは言えない体勢から放たれたスキルだが、ダメージが蓄積しているかつ、スキルも何も纏っていない顎を砕くには十分の威力だった。


「しゃあ!片方破壊!っとそう何度も喰らってたまるかよ。」


 破壊したと同時に()かけてきやがった。油断も隙もありゃしねえ。だが顎が破壊できたってことはダメージは確実に通ってるってことだ。それならこっちのモチベーションも帰ってくるってもんだ。


当然こんな攻撃ばかりではこっちのリスクも高くなる。だがそんなこと知ったこっちゃない。意地でも勝ってやる。攻撃も防御も回避も回復も、全部やって全部勝つ。たかがゲーム。だが今のクロトを動かすにはそれだけで十分だった。



片や、己の命が危機にさらされている事実に怒りを募らせる。

片や、確かな手応え(片顎破壊)にテンションが上がる。

互いに根幹となる感情は違いなれど、高まりという点だけで見れば同列のモノへと至る。

感情に支配されたモンスターの行きつく先は、ほとんど同じであり、それはゲームにとってのお約束でもある。


「お?形態変化……というよりも暴走状態か。」


 いいね。体力が確実に削れてる証拠だ。こっちの回復ポーションも今飲んでるので最後だ。こっからはワンミスすら死につながりかねない。


「ゲームはやっぱりこうでなくちゃな。こっちも奥の手解禁してやるよ!」


残りの体力が四分の一を下回ったことにより、暴走状態へ移行したソリティール・フォミケイドと

己で課したスキルの使用条件を達成したクロトによる超急戦が開幕する。


そして、これから約三分後、決着がつく。

実際ソリティール・フォミケイドの近類種はかなりの化け物。

それ故に、たとえ劣等個体であっても同レベル帯の他のモンスターと比べてもステータスはかなり高めに設定されている。


モチベーションの維持は難しい。

飽き性なもんで(言い訳)

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