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アルスベーレ・モノクローム  作者: パグオラ
烏合の集いは時に龍をも喰らう
10/12

楽観的三人による迷子記録

新章開始です

 苦境の茫洋荒野。ツヴァイデルからドライヴィアまでを繋ぐエリア。砂漠とまではいかないが、川や湖が極端に少なく、気温が他の通常エリアに比べ少し高く設定されている。その性質上、このエリアに生息するモンスターは水分補給を必要としない身体構成へと進化している。また一部のモンスターは水分補給を必要としながら、自身の魔力を水分へと変化させ自給自足を可能とした物も存在するとの噂だ。だがこのエリアの一番の特徴はモンスターではなくその広さにある。序盤エリアの割には広大だということで、ひとつ前のエリア徨いの深緑叢林はそこまで大きいエリアではなかったのもあり、探索しだした時はここの広さに関心と驚きの感情で満たされていた。だが人というものは見慣れた瞬間に苦痛に感じることもある。探索のつらいところはそこだ。そして広大な荒野というものは、景色の緩急が付きづらい。つまり他のエリアに比べると飽きというものが速く来る傾向にある。とまぁ長々と考えていたが…


つまるところ何が言いたいのかと言うと...


「なぁ白。今何時だ。」


「もうすぐ三時だね。」


「希空ー。俺たちここのエリアに入ったのって何時だっけ?」


十一時(二十三時)くらいだね。」


「つまりこれってさ。」


「うん。誰がどう見ても迷ったね。」


 ですよね。街を出る前に地図を買ったのだが、そこの店員(NPC)に次の街までどれくらいか聞いたところ地図ありで平均二時間程度でついてるって言っていたのだ。地図を持っていないならまだ分かるが、地図有で四時間はもはや言い訳のしようがないくらいの方向音痴だろう。

ゲーム開始直後に既に二回も迷子を経験するのって逆に珍しいだろ。


 まぁでもおかげで自分のスキルの把握やら希空の戦い方についても知ることができた。まず希空の戦闘だが基本的には白と似たように魔法とスキルの両方を使って戦う前衛だ。白と違う点は魔法の種類だ。バフや近距離、中距離範囲の魔法を使う白とは違い、中距離から遠距離魔法を主体に戦うのが希空だ。一つ一つの倍率が高めだが、その分バフ系の魔法はほとんど持っていないようだ。

つまり現状俺たちのパーティは俺と白が前衛に立ち、少し後ろから希空が魔法を放つ構成になる。


 なんかこう見るとバランスがいいのか悪いのかわかんないな。


「それにしてもクロトってビルドもだけど変わった戦い方するよね。」


「そうか?」


「だって君の戦闘方針(ステ振り)って防御と素早さ重視のタンクなんだよね?その割には普通に攻撃にも参加するし。あんまり……というかほとんどいないよそんな人。」


「あぁ、育成方針を言ってないとそう見えんのか。」


実際ステータスの低い今だと出来ることに限りがあるからそう見えても仕方ないか。


「俺は一応アタッカービルドのつもりだよ。」


「え?じゃあなんで攻撃じゃなくて防御なの?」


「うーんなんていうのかな…この世界ってさ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()じゃん?」


「哲学かなにか?」


「ちげーよ。世界観(ゲーム全般)の話だよ。」


「でもそこだけ聞くと哲学っぽいね。」


「まぁそれはいったん置いておけ。何が言いたいかっていうとこの世界、()()()()()()()()()()()()。ほかの世界(ゲーム)だと硬さの概念って少なくてな、基本的に防御行動を取った時だけに作用するんだ。それってなんかおかしいと思わないか?貧弱な奴なくせに防御は強いって矛盾してると思うんだ。」


「確かに。僕は他の世界については全然わからないけど、硬いのは痛いっていうのはわかるし、クロトの言ってることも納得できる。僕もその理論で考えるとおかしいと思う。」


 こんな事を言っているが、俺は別にゲームにリアルを求めてるわけじゃない。ゲームなんだから別におかしくないだろって言われたら、それはそれで納得もできる。何せ有り得ないことをするのがゲームなんだからな。

だが他で普段できないことができるって言うなら、やってみたいと思うのはおかしいことでもないだろう。折角の自由度の高いゲーム。やりたいようにやらなきゃそんだと俺は思う。つまり、


「まぁあれだ。所謂検証って奴だ。」


「なるほどね〜。いいと思うよ僕は!」


「考えすぎ。私はもうちょっと気楽に考えていいと思う。」


「まぁそれ言われちゃ返せないわな。」


実際にはゲームバランスとかがあるからってのも含まれるだろうし。

そうこう、歩きながら雑談をしていると希空が先を指さす。


「お?2人とも、モンスターが出てきたよ!」


実に二十分ぶりのモンスターとの会合。なんでこんな出てこないかな?と考えつつ、三人は戦闘態勢を取る。

出現きたのはロック・スコーピオンと言う名のちょっと大きめのサソリだ。ちょっとといいつつ実際には乗用車位はあるのだが。


「まぁ見た目的にも名前的にも岩属性だろうな。」


「この見た目で炎出されてもちょっと引く。」


「ほら二人とも!来るよ!」


蠍が俺たちに向かって飛びかかってくる。どうやら狙いは俺らしい。


「まぁそりゃこっち来るわな!」


上からの攻撃を前方に回転しながら避ける。反撃をしようと起き上がるが、その前に蠍の尻尾による振り下ろし攻撃が先に動く。


「うお、危ねぇ!」


間一髪で弾くと、今度は刺突攻撃で畳み掛けてくる。


「蠍の尻尾は他だとよく毒持ってることがあるから避けた方がいいよ」


「知ってるっつーの!」


「攻撃行くよ!」


そう言うとヘイトの向いてない希空が「クレセントスラッシュ」で攻撃を仕掛ける。このスキルはかなり倍率が高いらしく、希空はスキルをほとんどこの技しか使っていない。


だが攻撃を察知した蠍がそれを軽い身のこなしで避け、岩石砲を放つ。攻撃を避けた俺から希空の方にヘイトが移る。


「っと!」


飛んできた岩を三発とも軽々と避ける。当たりこそしなかったが少しだけ態勢が崩れた。蠍もその隙を逃さず追撃を仕掛けようとする。


しかし、


「そう来ると思ったよ。」


蠍の回避方向を予測していたハクアにより、ダメージが入る。スキル「セッティングリザルト」。襲撃の大虎との戦闘の後にハクアが獲得したスキルで、その効果は攻撃のモーションを事前にセットしておき、数秒後にその通りの行動をする少し変わったスキル。その通りに攻撃が当たると30秒間バフが入る。


「いい当たりが具合。」


「こっちも喰らってね」


【マテリアル・バースト】を使用し、希空が更なる追撃をする。三つの元素の塊が蠍の右の鋏と尻尾、胴体にそれぞれ着弾し、鋏と尻尾が破壊される。


「それじゃあ仕上げだ。」


「翔脚」で蠍の上空へ跳躍していた俺は、ヘイトが移った後から貯めていた力を一気に開放する。

「インパクトチャージ」。ナックルインパクトの進化スキルで、技発動までのタメががある代わりに威力が上昇、更にチャージ中に攻撃を食らうと更に威力が上がる。解放のタイミングは任意で行える。


ガラ空きの蠍の背にクリティカルが入る。


「俺達の勝t……」


勝利を確信した瞬間、地響きが起こる。


「!?」


「な、なにこれ⁉新手?」


「違う……地面そのものが揺れてる⁉」


希空がそう言ったと同時に地面の崩壊が始まる。攻撃の余波により崩れた足場は、当然蠍がいた場所を中心に起きる。少し離れていたハクアと希空は離れることに成功した。だがこの足場崩しを起こした張本人であるクロトは避けるすべなどなく、


「どわぁぁぁぁあぁ!!!!!!」


そのまま地下に落ちていった。


迷子続行。


クロトの予想通り、このゲームでは硬さ=威力にしっかりと反映されます。ただし、攻撃力を上げることにもしっかりと意味があります。極振り?あんなのはやばい人がやる行為なんですよ。


・【マテリアル・バースト】

火、水、風、雷、土の中から三つの元素を選択し相手へと放つ攻撃魔法。着弾するとその場所が爆発し高いダメージが入る。攻撃判定は着弾と爆発で分かれている。爆発のほうがダメージ倍率が高い。

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