No.091 ゴーレム闘技大会、本選第3試合、アリスの涙
このお話が投稿された時には、静岡県にあるふもとっぱらでキャンプをしています。
テントから富士山を眺めながらビールを飲んでいます。多分。
前回のキャンプでは、39度の熱を出して薬を飲んでテント内で寝ていました。
今回は、体調が悪くならなければいよいのですが。
ゴーレム闘技大会の本選の第3試合が間もなく始まる。
この辺りまで来ると試合数も少なくなり、あまり合を開けずに次の試合が始まる。
そして相手のゴーレムが徐々に強くなっていくが、果たしてカルルのゴーレムであるヴァイオレットを負かす程の実力を持ったゴーレムは現れるのか。
それを最も期待しているのは、カルルではなくゴーレムであるヴァイオレットであった。
そしてヴァイオレットの指標は、第2回戦終了時点でさらに変更となった。
カルルのゴーレム(ヴァイオレット)の値(第2試合終了後)
・素材:液体金属
・種別:造形型、魔法型
・攻撃力:9
・防御力:8
・武器:-
・速さ:8
・魔法種別:防壁型攻撃魔法
・特殊能力:完全自立型ゴーレム、防壁型攻撃魔法、魔法糸による特殊攻撃
第3戦の相手は、グレゴリー選手、砂でできた珍しいゴーレムを操る。
グレゴリー選手のゴーレム(デザートゴーレム)の値
・素材:砂
・種別:魔法型
・攻撃力:7
・防御力:6
・武器:-
・速さ:9
・魔法種別:雷魔法、風魔法
・特殊能力:砂塵攻撃
ベッティング(賭け)の人気は、カルルのヴァイオレットが2に対して対戦相手のデザートゴーレムは8であった。
カルルのゴーレムに賭ける観客が出てきたようだが相変わらず殆どの観客は、カルルのゴーレムが負けると予想して賭けをしている。
カルル達は、グレゴリー選手のデザートゴーレムが放つ砂塵攻撃と雷攻撃については、前試合の戦い方を見て把握していた。
「ゴーレムは砂でできていて、その砂を空中に散布して視界を遮りながら雷撃を加えて相手ゴーレムの防御力を削っていく感じだね」
「デザートゴーレムが散布する砂は、風魔法で操っていて魔法攻撃の威力が砂で半減するように見えました」
「相手ゴーレムの攻撃は半減しているのに、デザートゴーレムの雷攻撃は有効みたいだけど、一体どういった原理なんだろう?」
「とにかくヴァイオレットの分解魔法の防壁なら、砂も風魔法も雷魔法も防げるから、徐々に砂を削っていけば体を構成する砂が減って攻撃できなくなると思います。あとは魔法糸を伸ばして本体のゴーレムコアを分解魔法で破壊すれば終わりです」
「あの魔法糸は、以外と気付かれないのですな」
「それに魔法強度を一部だけ高めることでゴーレム本体の切断や分解が容易に行えるのも魅力です」
「では、今回も僕はヴァイオレットには一切の指示出しは行わない。ヴァイオレットの自立行動に任せることにする」
カルル、ハンド、パトリシアは、状況確認を行いつつ相手ゴーレムへの作戦を話し合っていた。
対してアリスはというとローブを着込みフードを被って座っているヴァイオレットと話し込んでいた。
「いいこと、私は人間であなたはゴーレムなの。だからあなは私に口答えしてダメ。分かった?」
「分かりません。私はカルル様のゴーレムであってアリス様との関係性は全くありません。強いて言えばヴァイオレットはカルル様専用のゴーレムであり女でもあります。でもアリスはただの従業員です。例えアリスがカルル様と何度キスをしたことがあろうとも、ヴァイオレットの立場は変わりません」
「聞き分けのないゴーレムね。あなたは所詮ゴーレム、つまり作り物のお人形さんなの。私は、将来カルルの子供を産む立場なの。あなたにそれは出来ないでしょ!」
「はい。ヴァイオレットはゴーレムである以上、カルル様の子供を身ごもることはできませんが、子供など街の孤児院に行けばいくらでも調達できます。それで家族としての体裁は整えられます。アリスの様に自身の子供に固執する理由など全くありません。それにアリス様がカルル様の子供を産もうとも、アリスが浮気をすればカルル様はアリス様を捨てます」
「うっ、浮気って何よ。私がカルルを捨てて別な男と寝るとでも言いたいわけ?」
「はい。人間の愛情など虚ろで確証など持てません。ですがカルル様とヴァイオレットは、ゴーレムコアで繋がっています。これは絶対不変の関係であり愛情などという不確定なものと比べられるものではありません」
「なっ、私のカルルに対する愛情が不確定ものだって言いたいの?」
「はい。現にカルル様とアリス様の関係は何も進展しておりません。少なくとも今まで1度でも子作りをしたことすらないのに、将来子供を産む立場などとどの口で言うのですか。そんなにカルル様を独占したいのなら、今からカルル様と子作りをなさってください。それが出来ないのならその口を閉じてください」
ゴーレムであるヴァイオレットは、アリスの苦言に一歩も引かない。
対してヴァイオレットに投げかけられた言葉の数々に思わず大粒の涙を流すアリス。
ヴァイオレットに装備された"知能の魔石"は、人間の感情を疑似的に真似ているだけだが、そこにはカルル本人以外に対する配慮というものは一切存在しない。
"知恵の魔石"は、"使用者保護行動に照らし合わせてアリスの会話を分析し、最適と判断した会話を返したに過ぎない。
感情的な会話には感情的な会話を返し、有効的な会話には有効的な会話を返し、丁寧な会話には丁寧な会話を返す。
"知恵の魔石"というものはそう作れており、魔法術式もその通りに設定されている。
大粒の涙を流して泣きじゃくるアリスを見て同性であるパトリシアがアリスの手を取り体を抱きしめてその場を離れていく。
その光景を見たカルルは、ヴァイオレットに苦言を呈した。
「ヴァイオレット。アリスにはもっと優しく接して欲しいと言っただずだ。いくらアリスが感情的な発言をしても、それに感情的な会話で返されては僕が困る。今後は、そういった会話は禁止する。分かったね」
「はい。ヴァイオレットは、カルル様のご命令を遂行いたします。今後、カルル様が困るような会話は慎みます」
カルルは深いため息をつくと、パトロシアとアリスのあとを追った。
闘技場の廊下で大粒の涙を流して泣きじゃくるアリスをなだめるパトリシアは、今はそっとしてあげてと手振りでカルルを静止した。
カルルは、ゴーレムであるヴァイオレットに"知能の魔石"を使うことで自立行動と会話機能を付与したかっただけなのだが、それがまさかアリスと喧嘩する間柄になるとは予想もしていなかった。
人間は、相手への配慮というものを身に着けているが、ゴーレムであるヴァイオレットにはそんなものは存在しない。
あるのは、ゴーレムを使用するカルルを最優先で保護する"使用者保護行動"のみであり、使用者にアリスは含まれてはいない。
ゴーレムであるヴァイオレットにとっては何ら落ち度など存在せず、あくまでアリスとの会話の内容を分析して最適解を選びそれを実行したにすぎないのだが、使用者であるカルルがそれを禁止したため、アリスとの会話について一部の機能は停止することになった。
「まもなくAブロックの第3回戦が始まります。出場選手は、控室にお集まりください」
そんな時、闘技会場に第3回戦の案内が流れる。
カルルとゴーレムのヴァイオレットは控室へと移動し、他の面々は選手席へと入る。
だが、今回はアリスとパトリシアの2人は闘技場の廊下に残り、他の者は闘技場の選手席へと移動した。
間もなく闘技場の中央に現れたカルルとヴァイオレット、そして相手選手とそのゴーレムが姿を現す。
お互いのゴーレムが床上の中央付近へと歩み出て、審判が少し離れた場所から両選手の名前を呼ぶ。
「これよりゴーレム闘技大会Aブロック第3回戦を開始する。グレゴリー選手、ゴーレムはデザートゴーレム
。カルル選手、ゴーレムはヴァイオレット!」
そしてヴァイオレットがローブを脱ぐと闘技会場が割れんばかりの歓声で埋め尽くされるはずであったが、今回は少しばかり様相が違っていた。
ヴァイオレットは、闘技場の床上に入る前からローブを着ておらず、自慢の美しい顔は誰が見ても怒りに満ち溢れていた。
「おい、あんな美人でも怒りに満ちた表情は怖いな」
「何かあったのか?」
「俺のヤジで機嫌でも損ねたのか」
闘技場の歓声がさっと引くと審判が試合の開始を宣言する。
そして両選手が選手席に入ると審判も審判席へと戻り、試合開始の鐘が鳴らされる。
だがその瞬間、グレゴリー選手のゴーレムであるデザートゴーレムがいきなり霧散した。
試合開始の鐘が鳴ってからわずか1秒の出来事であり、その瞬間にカルルは自身の顔を両手で塞いで失敗したと言わんばかりの表情を顔に出してしまう。
ヴァイオレットは、鐘が鳴った瞬間に両手の人差し指から液体金属の細い糸を出し、その糸に最大魔法強度で分解魔法を纏わせるとデザートゴーレムのゴーレムコアとゴーレムの体を分解魔法で破壊したのだ。
実況を担当するアーロンが声を上げる遥か前の出来事である。
そして競技場にいる全ての審判が集まると、何が起きたのかの長い協議の末にヴァイオレットの攻撃によりデザートゴーレムがが破壊されたことが主任審判員が告げた。
「只今の試合で何があったのかを主任審判員よりご説明いたします。試合開始の鐘が鳴ったと同時にヴァイオレットの両手から液体金属の細い糸が伸び、デザートゴーレムのゴーレムコアを攻撃魔法により破壊したことを確認いたしました。よってこの試合はヴァイオレットの勝ちとなります」
ヴァイオレットは、静かに床上を歩いて選手席へと向かうとカルルに対してにこりとほほ笑み、カルルの隣りの席へ座る。
だが、今の試合でたった1秒でデザートゴーレムを破壊したのは、ヴァイオレットの使用者であるカルルへの当てつけであった。
本来であれば、この程度のゴーレムは1秒で倒せる相手なのだが、今までは試合を見る観客を喜ばせるためにわざと時間をかけて相手ゴーレムを倒していたのだ。
Aブロックの戦いはカルルのゴーレムであるヴァイオレットの勝利で幕を閉じた。
だが、その事でゴーレムギルドの幹部達が緊急招集され、闘技場の片隅で会議が行われることとなった。
◆飛空艇の外殻と躯体を作る魔法
・土魔法
◆飛空艇を創るために必要とされる魔法
・強化魔法
・固定魔法
◆飛空艇を飛ばすために必要な魔石など
・浮遊の魔石
・飛空の魔石
・魔力の魔石
・魔道回路
◆カルルが創った飛空艇
飛空艇:264
1000艇まで残り736
◆カルルが創った飛空艇の内訳
・飛空艇試作一号艇
・飛空艇試作二号艇 ※両親が使用
・飛空艇試作三号艇 ※カルルが使用
◆北ラルバード大陸
王国向け飛空艇
・アリーア王国向け飛空艇 53艇(通常型20艇、戦闘型30艇、早期警戒飛空艇3艇)
・アリーシュ王国向け飛空艇 30艇
・ハイリシュア王国軍向け飛空艇 80艇(通常型30艇、戦闘型50艇)
・フルーム王国軍向け飛空艇 22艇(通常型10艇、戦闘型10艇、早期警戒飛空艇2艇)
・マレーナ王国沿岸警備隊向け飛空艇 20艇(戦闘型20艇)
・カヌーナ王国沿岸警備隊向け飛空艇 20艇(戦闘型20艇)
錬金術ギルド用飛空艇
・グランドマスター用兼商談用戦闘型飛空艇
・薬草栽培兼治療用飛空艇
・トーデスインゼル(死の島)救助隊用飛空艇 8艇
・トーデスインゼル(死の島)物資補給用飛空艇 2艇
・遊覧用飛空艇 4艇
◆北コルラード大陸
王国向け飛空艇
・ユグドリア王国向け飛空艇 50艇(戦闘型50艇)




