No.085 惑星防衛システム(その2)
先週末に山梨県道志村にあるやぐら沢キャンプ場に行ってきました。
そこで39度の熱を出してテント内で12時間ほど寝てました。
砂防ダムの滝の前に陣取ったのにフラフラでした。
ご興味のある方はこちらへ
https://www.youtube.com/watch?v=zw-FMii1Yro
カルルは、惑星防衛システム内にいて飛空艇の外にテーブルと椅子を並べて、お茶を飲みながら指定された魔石の錬成を行っている。
今回、惑星防衛システムから依頼されたのは、前回と同じ魔力の魔石、ゴーレムの魔石、重力の魔石の3種類だ。
カルルの頭の上には、いつものように小さな梟に姿を変えた暗黒龍が気持ちよさそうに寝ている。
アリスは、魔術師といえども体を鍛えるのも仕事だといって飛空艇の周囲を1時間ほど走ったり、ハンドやパトリシアと模擬線を行い、対人戦闘と対魔獣戦闘の違いのレクチャーを受けている。
ハンドは、筋トレと剣の練習を毎日欠かさず行い、パトリシアはハンドやアリスと魔術師として支援攻撃のタイミングやフォーメーションの試行を繰り返している。
そしてカルルが魔石を錬成しているテーブルから少し離れた場所には、ヴィスターク王国の2艇の飛空艇が防壁によって隔離され、防壁内ではこちらの状況を恨めしそうに見つめる12人の兵士の姿があった。
カルル達が惑星防衛システムに来て魔石の錬成を始めてから既に3日が経過しているが、その時からヴィスターク王国の飛空艇の兵士達は、飛空艇の周囲に防壁を張られて外に出ることができずにいる。
では、どうしてこんなことになったのは、3日前にさかのぼる。
カルルの飛空艇は、ゴーレム闘技大会への参加申請を行ったあと、地図の魔石に示された場所に向かうためベルラード大陸の内陸へと進路を向けた。
いくつもの山脈が連なる険しい地形が続き、国も街も村すらない地域を眼下に収めつつ、ときたま空を飛ぶ大型の魔獣と編隊飛行を楽しみながら惑星防衛システムが着陸した場所へと向かう。
カルルは、落下する隕石からこの星を守る惑星防衛システムを修理するために、ベルラード大陸を訪れた。
地図の魔石によって映し出された地形図を見ると、この山脈が連なる地域には、国は無く住んでいる人もいないことが分かる。
理由は実に単純で、危険だからだ。
つまりベルラード大陸の中央部は、強力な魔獣が住む魔の空白地帯であり、人が立ち入ることができない危険地帯なのだ。
そんな場所に着陸した惑星防衛システムの魔石の交換を行うため、カルルの飛空艇は高度10000mの上空を飛んでいる。
なぜそんな高度を飛んでいるのかというと、眼下に広がる山脈に標高8000mから9000m近い山が点在していて、高度5000m程度の高さを飛ぶと標高の高い山々を避けながら飛ぶ必要があるからだ。
さらにベルラード大陸の中央部に住む魔獣の中には、飛行する大型の魔獣も多数いるため、カルルの飛空艇がその縄張りに入ると容赦なく襲ってくるのだ。
カルルの飛空艇は、重力の魔石により高速で高高度を飛ぶことができるため、魔獣よりもより速くより高く飛ぶことができるとはいえ、いつどんな攻撃を受けるかは分からないため、安全を考慮して高高度を飛行している。
さて、カルルの飛空艇が地図の魔石が指し示す場所の近くへとやってきた。
飛行速度と高度を下げつつ目的の惑星防衛システムが着陸している場所へ向かうと、そこには多数の飛空艇が飛んでいた。
「惑星防衛システムの周りに飛空艇が群がってますね」
「それに大きな飛空艇もいます。あれは飛空戦艦でしょうか」
「鑑定の魔石で調べたら、あの飛空艇は全てヴィスターク王国軍の飛空艇だそうです」
「ヴィスターク王国って例の麻薬の製造をモンデレーザ王国に依頼した国よね」
「ヴィスターク王国では、麻薬と言わずに魔法薬って言ってます。まあ方便だと思いますが」
「そういえば、モンデレーザ王国はヴィスターク王国から飛空艇を購入しているって話もあったわね」
「恐らく惑星防衛システムの周囲を飛んでいる飛空艇がそうなんでしょう」
「惑星防衛システムに多数の飛空艇が群がっているみたいだけど、あれは何をしているのかしら」
「多分、惑星防衛システムにお宝でもあると考えて探索を行っているのではないでしょうか。1000年前に作られたものとはいえ、使える魔石があれば大発見ですからね」
「まるで迷宮に群がる冒険者みたい」
「その言い方は心外ですな。まるで冒険者が砂糖に群がる蟻みたいではないですか。ははは」
カルル、アリス、ハンド、パトリシアが思い思いの言葉を発しながら眼下で繰り広げられている探索の様子を見ていると、不意に飛空艇が動き出した。
「カルル。また飛空艇が勝手に動いているみたい」
「あっ、そうでした。惑星防衛システムは、僕の飛空艇を動かすことができるのを忘れてました」
「まずいです。あの数の飛空艇の中を飛ぶのは自殺行為です」
「魔法防壁と物理防壁を展開。防壁の魔法強度を最大に設定。最悪の場合を想定してハンドさんとパトリシアさんは、魔道砲と分解砲の準備をお願いします」
カルルが出した指示のもとハンドとパトリシアは、操術席の後ろにある砲術師の席に座り、魔道砲と分解砲をいつでも発射できる体制に入る。
カルルの飛空艇は、徐々に高度を下げて惑星防衛システムへと接近していく。
「ヴィスターク王国の飛空艇の中に入ったわよ。攻撃されないかしら」
「ここで魔石砲を撃ったら同士討ちになると思うから撃ってはこないと思うけど、防壁を最大の魔法強度で展開しているからもし撃ってきても大丈夫!」
アリスが心配そうな言葉を口にするが、カルルはアリスの不安を払拭するように言葉を返す。
さらに高度を下げていくカルルの飛空艇を操っているのは、カルルでもアリスでもなく惑星防衛システムである。
眼前にまで迫った惑星防衛システムの上にも多数の飛空艇が着陸していて、惑星防衛システムの船体の上では多数の兵士が何かを探している様子が見て取れる。
すると、惑星防衛システムの船体の扉が開き始めカルルの飛空艇はその中へと吸い込まれていく。
カルルの飛空艇が惑星防衛システム内に入ると同時に、扉は閉じはじめたがそこにヴィスターク王国の2艇の飛空艇
が飛び込んできた。
彼らが捜していたのは、惑星防衛システム内に侵入できる入り口だったのだ。
カルルの飛空艇は、惑星防衛システムの操作により広い倉庫の様な場所へとゆっくりと着陸をしたが、ヴィスターク王国の2艇の飛空艇は、勢いよく倉庫の床へ激突すると飛空艇の下半分が砕けて破片をばら撒いていく。
飛空艇から降りたカルル達は、案内と称するゴーレムに今回の依頼内容を確認すると、さっそく魔石の錬成に取りかかる。
だがカルルの飛空艇を追って惑星防衛システム内に侵入したヴィスターク王国の飛空艇は、床に激突したことで飛ぶことはおろか動くことさえできなくなっていた。
さらに床に激突したことで飛空艇に乗っていた兵士達は、打撲や骨折で飛空艇から這い出すので精一杯だ。
しかも2艇の飛空艇の周囲には惑星防衛システムが展開した防壁が張り巡らされ、外に出ることはできない。
そして3日が経過し冒頭のシーンへと繋がっていく。
カルルの飛空艇には、4人が1カ月間は飲み食いできる水と食料が収納の魔石に備蓄されている。
それにより惑星防衛システム内での作業も問題なく行えるのだが、ヴィスターク王国の飛空艇に乗っていた兵士達は水も食料も尽きていて、防壁越しにこちらをじっと見つめている。
カルル達は、朝、昼、晩の3食を取り、お茶を飲み余裕のある食生活を送っている。
対してヴィスターク王国の兵士達は、簡素な携帯食と僅かな水をやりくりしながら何とか持ちこたえていたが、それも限界に達したようで、防壁を叩いたり両手を振って何かを必死訴えていた。
「彼らの水と食料が尽きた頃なので、話をしてみますか」
カルルは、惑星防衛システムを管理するゴーレムに彼らと話がしたいと提案をすると、ゴーレムは防壁に小さな穴を開けて彼らと会話ができるようにしてくれた。
カルルは、ヴィスターク王国の飛空艇に近づくと惑星防衛システムが展開した防壁越しに声をかける。
「そちらの飛空艇の指揮官はいますか?」
カルルがそう話を切り出すと、ひとりの兵士が防壁の向こう側に立ち話し始めた。
「私は、ヴィスターク王国軍のリオール中尉だ。我らはなぜ防壁に閉じ込められているのだ。早急にこの防壁を撤去したまえ!」
「それは僕には出来ません。僕達はこの施設に依頼されて来ましたが、皆さんは許可もなく勝手に入った侵入者です」
「この施設は、我がヴィスターク王国が接収したものだ。よってヴィスターク王国の所有物である」
「で、ヴィスターク王国とやらはこの施設の所有者の許可を得て接収したのですか?」
「許可など必要ない。ヴィスターク王国軍は力によってこの施設を接収したのだ!」
「なるほど。それで防壁で囲まれて身動きもとれず、水も食料も尽き、ケガ人の治療もできない状態で3日間もここに居る訳ですね」
「何だと。我らを愚弄するか!」
カルルの言葉に思わず激高するもリオール中尉と名乗った兵士も足を負傷しているのか、体が震えて自身で支えるのがせいいっぱの様子だ。
「僕達は、仕事でここに来ているので水も食料も薬も準備していますが、皆さんはそうではないのでしょう。既に水も食料も尽きているのは知っています。しかも殆どの方はケガで動くこともできない状態で、まだ虚勢を張られても恥ずかしいだけですよ」
「なっ、何だと!」
リオール中尉は、腰にぶら下げた剣を抜くと防壁に向かって切りつけたが、剣如きでどうにかなる防壁ではないことは誰の目にも明らかであった。
「僕達は、仕事であと10日はここに居ます。もし水や薬が欲しかったら多少は融通してもよいですが、それはあくまで僕個人の施しです。この施設の持ち主は、あなた方をいますぐにでも外に放り出したいそうです」
そう言い残すとカルルは、ヴィスターク王国軍の飛空艇の周囲に展開された防壁から離れ、再び魔石の錬成を始める。
そして惑星防衛システム内に入って5日が過ぎた頃、リオール中尉とは別の兵士が両手を振って何かを訴える姿が目に入った。
「頼む。水と食料を分けてくれないか。それと薬も分けて欲しい。殆どのものが打撲と骨折で身動きが取れないのだ」
「それは構いませんが、僕達もこれだけの人数を食べさせるほど水と食料に余裕がある訳ではないので、最低限になりますよ」
「それで構わない」
「そういえば、リオール中尉はどうされたのですか」
「2日前から高熱で倒れている」
カルルが探査の魔石と鑑定の魔石で調べたところ、ヴィスターク王国軍の兵士12人のうち、重症の者が6人、軽傷は4人、ケガを負っていない者は2人であった。
ヴィスターク王国軍の2艇の飛空艇は、正面の下部が破損していて魔道回路の破断により魔石に魔力が伝達されない
ため飛ぶことはできない。
ヴィスターク王国軍の兵士達は、何日も食事を取っていないためかなり衰弱している。
カルルは、そろそろ食事を与え飛空艇を修理することで、彼らを懐柔させる頃合いだと考えていた。
さて、カルル達が惑星防衛システムに入って5日が過ぎた頃、魔石錬成で座ってばかりでは体がなまるということで、惑星防衛システム内を散歩することになった。
とはいえ惑星防衛システムは直径1kmにも及ぶ建造物である。
ドーナツ型の星防衛システム内を1周するだけでもかなりの距離になるため、時間を決めて許可された通路を運動と称して歩いていると、とある部屋の扉が開いているのが目に入った。
その部屋の中を覗いてみると薄暗い部屋の中には朽ち果てたゴーレムの残骸が横たわっていた。
惑星防衛システムのゴーレムの体は、カルルのゴーレムと同じ液体金属であるが、残骸と化したゴーレムの体を形成していた液体金属は粘性を増して固まりかけている。
カルルは、その光景を見てふとあることを思いつき、ゴーレムの残骸へ近づくと粘性が強くなった液体ゴーレムの体の中へ手を入れると何かを探し始めた。
そして見つけたものは、数種類の魔石の破片である。
残骸となったゴーレムは、動かなくなってから相当な年月を経ていると思われたが、魔石の破片は粘性が強くなった液体金属の中で完全に砕け散ることもなく残っていた。
その魔石の破片を持ち帰ると、魔石の錬成の合間に魔石の修復を試みることにしたのだが、魔石の破片の中には思いもよらぬ収穫があった。
それは"知能の魔石"の欠片であった。
◆飛空艇の外殻と躯体を作る魔法
・土魔法
◆飛空艇を創るために必要とされる魔法
・強化魔法
・固定魔法
◆飛空艇を飛ばすために必要な魔石など
・浮遊の魔石
・飛空の魔石
・魔力の魔石
・魔道回路
◆カルルが創った飛空艇
飛空艇:264
1000艇まで残り736
◆カルルが創った飛空艇の内訳
・飛空艇試作一号艇
・飛空艇試作二号艇 ※両親が使用
・飛空艇試作三号艇 ※カルルが使用
◆北ラルバード大陸
王国向け飛空艇
・アリーア王国向け飛空艇 53艇(通常型20艇、戦闘型30艇、早期警戒飛空艇3艇)
・アリーシュ王国向け飛空艇 30艇
・ハイリシュア王国軍向け飛空艇 80艇(通常型30艇、戦闘型50艇)
・フルーム王国軍向け飛空艇 22艇(通常型10艇、戦闘型10艇、早期警戒飛空艇2艇)
・マレーナ王国沿岸警備隊向け飛空艇 20艇(戦闘型20艇)
・カヌーナ王国沿岸警備隊向け飛空艇 20艇(戦闘型20艇)
錬金術ギルド用飛空艇
・グランドマスター用兼商談用戦闘型飛空艇
・薬草栽培兼治療用飛空艇
・トーデスインゼル(死の島)救助隊用飛空艇 8艇
・トーデスインゼル(死の島)物資補給用飛空艇 2艇
・遊覧用飛空艇 4艇
◆北コルラード大陸
王国向け飛空艇
・ユグドリア王国向け飛空艇 50艇(戦闘型50艇)




